2019/10/10(木) - 10:40
記念すべき開催100回目のミラノ〜トリノ(UCI1.HC)でマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)がライバルたちを圧倒。ジャパンカップに参戦予定のウッズが、新城幸也と中根英登も出場したイタリアのセミクラシックを制した。
ミラノ〜トリノは1876年に初開催された世界最古のワンデークラシック。1892年初開催のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュよりも歴史は古いが、何度かの中断を含むため開催は100回目。現在はジロ・デル・ピエモンテとイル・ロンバルディアとともに『トリッティコ・ディ・アウトゥンノ(秋の3連戦)』を構成している。
「ミラノからトリノまで」という名前の通りスタート地点はミラノ近郊のマジェンタで、そこからロンバルディア平原を走ってトリノへ。150kmにわたる平坦路を走ってから2012年から採用されているスペルガ周回コースを2周する。最後はスペルガ(登坂距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%)を駆け上がってフィニッシュを迎えるクライマー向きのクラシックだ。なお、フィニッシュ地点となっているスペルガ聖堂がある標高669mの丘は、1949年に地元トリノのサッカーチームを乗せた飛行機の墜落場所(選手を含む31名が死亡)として知られている。
雨が降るロンバルディア平原を最大5分のタイム差をもって逃げたのはレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やジョアン・ボウ(スペイン、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)ら5名。しかしUCIワールドチームが16チーム揃う(アージェードゥーゼールとユンボ・ヴィズマを除く)プロトンが平均スピード46km/hオーバーのペースで平坦区間をこなしたため、1回目のスペルガ突入時には1分差にまで縮まっていた。
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス)の集団牽引によって1回目のスペルガ登坂中に逃げは捉えられ、その後の下り&平坦区間でアタックしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)も引き戻される。50名弱に縮小した集団による登坂距離4.9km/平均勾配9.1%の登坂勝負が始まった。
スペルガ最終登坂を開始するとすぐ、フィニッシュまで4kmを残してヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がアタックするとここにアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)とマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が合流。このクライマーたちによる高速登坂によってメイン集団は形を失ってしまう。
先頭で活発に動いたウッズがジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)とともに抜け出したが、単独追走をかけたゴデュが追いついて残り3km。Aイェーツとバルベルデとともに追走したツール・ド・フランス覇者エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が残り2kmで先頭ウッズとゴデュを捉えた。
攻撃の手を緩めずに再び加速したウッズは、同じく積極的な走りを見せたゴデュとともに再び抜け出した状態に。追走3名(バルベルデ、Aイェーツ、ベルナル)から5秒程度のリードを奪った先頭2名(ウッズとゴデュ)だったが、残り1kmを切ってから先頭は5名に戻った。
牽制が入った先頭グループには、淡々と追走していたティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)とバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が合流。しかしゴデュが加速すると再び先頭グループが割れ、冷静にアタックを封じ込めたウッズが残り400mから先頭に立ってダンシングで踏み始める。世界チャンピオンジャージからスペインチャンピオンジャージに衣替えしたバルベルデが追走したものの、ダンシングを続けるウッズがフィニッシュまで先行を貫いた。
「天候も悪く、大きな目標である土曜日のイル・ロンバルディアのことが頭をよぎったので全開で行くべきか悩んだけど、自分向きのレイアウトだったので勝利を狙うことにした。この(スペルガの)登りは攻撃的にアタックするのが得意な選手向き。何度もアタックすることでライバルたちにプレッシャーを与え、やる気を削ぐことができるんだ」と、今シーズン2勝目を飾った元陸上競技中距離〜長距離選手のウッズは語る。
ウッズはスペルガ(登坂距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%)を13分39秒、平均スピード20.8km/h、平均出力434W(体重60kg)で登坂。残り400mから平均出力579Wでフィニッシュラインまで踏み切った。なお、1回目のスペルガ登坂は平均出力398W。下り区間の最高スピードは79.6km/hに達している。
「ここで勝利を収めた今、ロンバルディアの優勝候補に挙げられるのは当然の流れだけど、実際はまだトップ10にも入ったことがない。だからとにかく今年はロンバルディアで表彰台に登って、いずれ勝利を手にしたい」。4日前のジロ・デッレミリアで2位の成績を残していたウッズは10月12日のイル・ロンバルディアに出場後、来日して10月20日のジャパンカップを走る。ジャパンカップ前に東京五輪ロードレースのコース試走を行う予定だ。
「マイケル・ウッズは勝利に値する走りだった。今回は全開で踏むタイミングを待ちすぎてしまった。少しの自信のなさが敗因。イル・ロンバルディアに向けて準備はできている」と2位のバルベルデはコメント。バルベルデは2013年と2014年にイル・ロンバルディアで2位に入っているがまだ勝利はない。
新城幸也(バーレーン・メリダ)は63位完走、中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)はDNFという結果に。ヨーロッパでの戦いを終えた新城の次戦はジャパンカップ。中根は10月10日のジロ・デル・ピエモンテに出場する予定だ。
ミラノ〜トリノは1876年に初開催された世界最古のワンデークラシック。1892年初開催のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュよりも歴史は古いが、何度かの中断を含むため開催は100回目。現在はジロ・デル・ピエモンテとイル・ロンバルディアとともに『トリッティコ・ディ・アウトゥンノ(秋の3連戦)』を構成している。
「ミラノからトリノまで」という名前の通りスタート地点はミラノ近郊のマジェンタで、そこからロンバルディア平原を走ってトリノへ。150kmにわたる平坦路を走ってから2012年から採用されているスペルガ周回コースを2周する。最後はスペルガ(登坂距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%)を駆け上がってフィニッシュを迎えるクライマー向きのクラシックだ。なお、フィニッシュ地点となっているスペルガ聖堂がある標高669mの丘は、1949年に地元トリノのサッカーチームを乗せた飛行機の墜落場所(選手を含む31名が死亡)として知られている。
雨が降るロンバルディア平原を最大5分のタイム差をもって逃げたのはレミ・カヴァニャ(フランス、ドゥクーニンク・クイックステップ)やジョアン・ボウ(スペイン、NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)ら5名。しかしUCIワールドチームが16チーム揃う(アージェードゥーゼールとユンボ・ヴィズマを除く)プロトンが平均スピード46km/hオーバーのペースで平坦区間をこなしたため、1回目のスペルガ突入時には1分差にまで縮まっていた。
タオ・ゲオゲガンハート(イギリス、チームイネオス)の集団牽引によって1回目のスペルガ登坂中に逃げは捉えられ、その後の下り&平坦区間でアタックしたフィリップ・ジルベール(ベルギー、ドゥクーニンク・クイックステップ)も引き戻される。50名弱に縮小した集団による登坂距離4.9km/平均勾配9.1%の登坂勝負が始まった。
スペルガ最終登坂を開始するとすぐ、フィニッシュまで4kmを残してヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ)がアタックするとここにアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)とマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ)が合流。このクライマーたちによる高速登坂によってメイン集団は形を失ってしまう。
先頭で活発に動いたウッズがジャック・ヘイグ(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)とゴルカ・イサギレ(スペイン、アスタナ)とともに抜け出したが、単独追走をかけたゴデュが追いついて残り3km。Aイェーツとバルベルデとともに追走したツール・ド・フランス覇者エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス)が残り2kmで先頭ウッズとゴデュを捉えた。
攻撃の手を緩めずに再び加速したウッズは、同じく積極的な走りを見せたゴデュとともに再び抜け出した状態に。追走3名(バルベルデ、Aイェーツ、ベルナル)から5秒程度のリードを奪った先頭2名(ウッズとゴデュ)だったが、残り1kmを切ってから先頭は5名に戻った。
牽制が入った先頭グループには、淡々と追走していたティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル)とバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)が合流。しかしゴデュが加速すると再び先頭グループが割れ、冷静にアタックを封じ込めたウッズが残り400mから先頭に立ってダンシングで踏み始める。世界チャンピオンジャージからスペインチャンピオンジャージに衣替えしたバルベルデが追走したものの、ダンシングを続けるウッズがフィニッシュまで先行を貫いた。
「天候も悪く、大きな目標である土曜日のイル・ロンバルディアのことが頭をよぎったので全開で行くべきか悩んだけど、自分向きのレイアウトだったので勝利を狙うことにした。この(スペルガの)登りは攻撃的にアタックするのが得意な選手向き。何度もアタックすることでライバルたちにプレッシャーを与え、やる気を削ぐことができるんだ」と、今シーズン2勝目を飾った元陸上競技中距離〜長距離選手のウッズは語る。
ウッズはスペルガ(登坂距離4.9km/平均勾配9.1%/最大勾配14%)を13分39秒、平均スピード20.8km/h、平均出力434W(体重60kg)で登坂。残り400mから平均出力579Wでフィニッシュラインまで踏み切った。なお、1回目のスペルガ登坂は平均出力398W。下り区間の最高スピードは79.6km/hに達している。
「ここで勝利を収めた今、ロンバルディアの優勝候補に挙げられるのは当然の流れだけど、実際はまだトップ10にも入ったことがない。だからとにかく今年はロンバルディアで表彰台に登って、いずれ勝利を手にしたい」。4日前のジロ・デッレミリアで2位の成績を残していたウッズは10月12日のイル・ロンバルディアに出場後、来日して10月20日のジャパンカップを走る。ジャパンカップ前に東京五輪ロードレースのコース試走を行う予定だ。
「マイケル・ウッズは勝利に値する走りだった。今回は全開で踏むタイミングを待ちすぎてしまった。少しの自信のなさが敗因。イル・ロンバルディアに向けて準備はできている」と2位のバルベルデはコメント。バルベルデは2013年と2014年にイル・ロンバルディアで2位に入っているがまだ勝利はない。
新城幸也(バーレーン・メリダ)は63位完走、中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)はDNFという結果に。ヨーロッパでの戦いを終えた新城の次戦はジャパンカップ。中根は10月10日のジロ・デル・ピエモンテに出場する予定だ。
ミラノ〜トリノ2019結果
1位 | マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト) | 4:03:48 |
2位 | アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) | |
3位 | アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) | 0:00:05 |
4位 | ティシュ・ベノート (ベルギー、ロット・スーダル) | 0:00:10 |
5位 | ダヴィ・ゴデュ(フランス、グルパマFDJ) | |
6位 | エガン・ベルナル(コロンビア、チームイネオス) | |
7位 | バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード) | 0:00:23 |
8位 | ヤコブ・フルサング(デンマーク、アスタナ) | 0:00:33 |
9位 | ケビン・リベラ(コスタリカ、アンドローニジョカトリ・シデルメク) | |
10位 | エンリク・マス(スペイン、ドゥクーニンク・クイックステップ) | 0:00:38 |
63位 | 新城幸也(バーレーン・メリダ) | 0:08:33 |
DNF | 中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) |
text:Kei Tsuji
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