8日間にわたるロード世界選手権も後半戦に突入。合計5カテゴリーのロードレースがヨークシャーらしい要素が詰め込まれた難関コースで開催される。コースの特性や男女エリートの注目選手をチェックしておこう。


雨、風、急坂、重い路面 例年にも増して難易度の高いヨークシャー大会

勾配1%ほどの直線路に引かれたフィニッシュライン勾配1%ほどの直線路に引かれたフィニッシュライン photo:Kei Tsuji
男子エリートロードレース男子エリートロードレース photo:Yorkshire2019タイムトライアル終了とともにロード世界選手権はロードレースに移行する。9月26日(木)の男子ジュニアを皮切りに5カテゴリーのロードレースが開催。フィニッシュラインはどのカテゴリーもハロゲートに引かれているが、それぞれスタート地点は異なる。

9月29日(日)に開催される男子エリートが今大会のメインイベント。世界一を決めるのは280kmという長丁場で、ミラノ〜サンレモに次いでシーズン2番目に長いワンデーレースである。11kmのニュートラルゾーンを含めると走行距離は300km近い。

リーズからハロゲートまでのライン区間には、クレイ(全長3.9km/平均勾配4.3%/最大勾配9.1%)、バタータブス(全長5.7km/平均勾配5.2%/最大勾配11.6%)、ブリントンムーア(全長4km/平均勾配5.3%/最大勾配8.9%)という3つの登りが設定されている。その3つの登り以外にもヨークシャー地方らしい細かいアップダウンの繰り返しで、平坦区間がとにかく少ない。コースの両側が羊や牛の放牧用に昔から設けられた石垣に覆われているため圧迫感があり、コース幅も常に広がったり狭まったり。風の吹きっさらし区間もあるため、ハロゲート周回コースに到着した時点で集団は大きく人数を減らしている可能性もある。

リーズから183kmにおよぶライン区間を経て、レースは全長14kmのハロゲート周回コースに突入する。エリート選手たちは1周につき250mを登るこの周回コースを7周。コース全体の獲得標高差は3,645mに達する。

男子エリートロードレース男子エリートロードレース photo:Yorkshire2019
周回コースの中で最も長い登りであるハーロウムーア通り(全長1.1km/高低差70m/平均勾配6%/最大勾配10%)は、麓から頂上までトップ選手で約2分30秒のボリューム。このハーロウムーア通りの頂上を越えるとフィニッシュまで残り5km。最終周回だけでなくアタックポイントとして多くの選手がここで動いてくるだろう。しかも周回終盤は街中のテクニカル区間が続くため集団による追走をかけにくい。

大会を締めくくるパーリアメント通りのフィニッシュ地点はマルセル・キッテル(ドイツ)が勝利した2014年ツール・ド・フランス第1ステージと共通だが、当時は郊外からまっすぐ大通りに突入したためハイスピードなスプリント勝負となった。しかし今回の世界選手権では残り1km手前で右折し、3つの連続コーナーを経て最終ストレートに入るためスピードを繋ぎにくい。残り500mで最終コーナーを曲がると、約200mにわたって勾配6%前後の登りが続き、残り300mからフィニッシュラインまでは勾配1%ほどの緩斜面となる。

長い登りの手前には決まってタイトコーナーと細い橋がある長い登りの手前には決まってタイトコーナーと細い橋がある photo:Kei Tsuji
残り5kmを切ってからは住宅街のアップダウンが続く残り5kmを切ってからは住宅街のアップダウンが続く photo:Kei Tsuji
残り500mの最終コーナーを曲がると勾配7%ほどの登りが200mにわたって続く残り500mの最終コーナーを曲がると勾配7%ほどの登りが200mにわたって続く photo:Kei Tsuji
2017年のベルゲン大会や2018年のインスブルック大会の周回コースと比べると、2019年のハロゲート周回コースには大きな登りがないが、街中のコーナーに加えてアウターが踏み切れないような登り返しが数多くあり、リズムは常に変化する。しかも長い登りの手前には決まってラインが1本になるようなテクニカルな下りと幅の狭い橋があるため、集団内の位置どりが勝負に大きく影響する。

イギリスらしいラフな路面は雨が降ってもグリップが効くものの、キメが粗く凹凸があるため抵抗が大きい。そのため280kmという距離以上に体力を奪う路面であると言える。イギリスらしい道路真ん中のチャッターバー(道路鋲)も落車の原因になり得るため、集団走行もナーバスなものになるだろう。

「ヨークシャーの1日には1年分の季節が詰め込まれている」とはよく言ったもので、晴れから雨まで目まぐるしく天候が変わり、気温も上昇と下降を繰り返すのがヨークシャー地方の特徴。大会期間中の天候は芳しくなく、週間天気予報には傘マークが並ぶ。基本的に毎日雨が降り、運が良ければ晴れ間がのぞくという天候だ。

コースを試走するリジー・ダイグナン(イギリス)らコースを試走するリジー・ダイグナン(イギリス)ら photo:Kei Tsuji


男子エリート 280km(183.2km + 7周回)

何を隠そう、現地ハロゲートではマチュー・ファンデルプール(オランダ)に最も大きな視線が注がれている。シクロクロスで2度世界チャンピオンに輝き、MTBクロスカントリーでもヨーロッパチャンピオンに輝いている24歳の才能は、劇的な走りでアムステルゴールドレースを制し、ロンド・ファン・フラーンデレンとヘント〜ウェヴェルヘムを4位で終え、さらに9月のツアー・オブ・ブリテンでステージ3勝&総合優勝という破竹の活躍を見せた。2013年にロード世界選手権ジュニアロードレースで優勝しているファンデルプールは現在ロードレース界で最も走れている選手と言っても過言でもない。

懸念材料としては300km近い距離への耐性が挙げられるが、ファンデルプールは9月21日のプリムスクラシック(197km)終了後にそのままモーターペーサーで100kmを走って仕上げている。オランダはニキ・テルプストラやバウケ・モレマ、ディラン・ファンバーレといった面々でファンデルプールをサポートする。スプリントでもアタックでも、どんな展開からも勝てるファンデルプールを優勝候補に挙げる声は大きく、さらにテクニカルなコースはシクロクロス世界チャンピオンに味方するという声もある。

マチュー・ファンデルプール(オランダ)マチュー・ファンデルプール(オランダ) photo:CorVos
大会連覇を狙うアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)は直前のブエルタ・ア・エスパーニャで総合2位。ツール&ブエルタからの参戦のため疲労が心配されるが、2018年も同様にツール&ブエルタを走って世界選手権を制しているので問題はないはず。ハロゲート周回コースは『アルデンヌクラシック』を得意とするバルベルデ向きであると言える。

7月のフランスを沸かせたジュリアン・アラフィリップ(フランス)も優勝候補の一角。2018年も優勝候補に挙げられていたが、最終山岳で遅れて8位に沈んだ。アラフィリップは直前のGPケベックを7位、GPモントリオールを13位で終えており、そこからさらにコンディションを研ぎ澄ますことができればアルカンシェルが見えてくる。リズム変化が大きく、短時間高出力を出す機会の多いコースでアラフィリップの爆発力が光るだろう。

アレハンドロ・バルベルデ(スペイン)アレハンドロ・バルベルデ(スペイン) photo:Kei Tsuji
ジュリアン・アラフィリップ(フランス)ジュリアン・アラフィリップ(フランス) photo:Luca Bettini
2015年から3年連続で世界チャンピオンに輝きながら、2018年にバルベルデにアルカンシェルを明け渡すことになったペテル・サガン(スロバキア)は直前のGPケベック2位、GPモントリオール18位。2016年前後に見せていたセンセーショナルな強さに少し陰りがあるものの、ツールで6度目のマイヨヴェールを獲得するなどその安定感は抜群。サガンはキッテルが勝利した2014年ツール第1ステージのハロゲートフィニッシュで2位。タイトル奪還を目指す。

出場国の中で最も厚いチーム力を誇るのが強豪ベルギーだ。エースを担うのはGPケベック3位、GPモントリオール優勝のグレッグ・ファンアーフェルマート。略して『GVA』は2016年リオ五輪ロードで金メダルを獲得しているが、世界選手権ではまだ表彰台の経験がない(2010年と2014年の5位が最高位)。『GVA』を中心に、フィリップ・ジルベール、ティム・ウェレンス、そして個人タイムトライアルで2位に入った19歳レムコ・エヴェネプールという強力なラインナップで、対ファンデルプール&対バルベルデ&対アラフィリップ&対サガンのためにチームとして攻撃を仕掛けてくるだろう。

ペテル・サガン(スロバキア)ペテル・サガン(スロバキア) photo:Kei Tsuji
グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー)グレッグ・ファンアーフェルマート(ベルギー) photo:CorVos
ブエルタを制したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア)は、ブエルタ総合3位タデイ・ポガチャルとともに再びスロベニア旋風を巻き起こせるか。両者ともにブエルタの疲労が抜けきれていない場合はマテイ・モホリッチで勝負する可能性も。他にもブエルタの山岳ステージで優勝して調子の良さを示したリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ優勝者ヤコブ・フルサング(デンマーク)も勝負に絡んでくるだろう。

コース特性的には他にもマッテオ・トレンティン(イタリア)、マイケル・マシューズ(オーストラリア)、ボブ・ユンゲルス(ルクセンブルク)、そして優勝経験者ルイ・コスタ(ポルトガル)らにもチャンスがある。可能性は高くないが、スプリンターが残る展開になればアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー)やサム・ベネット(アイルランド)らが先頭を争うことになるだろう。直前のイタリアレースで連勝したアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)もダークホースとして注目したい。

マイケル・マシューズ(オーストラリア)マイケル・マシューズ(オーストラリア) photo:Makoto Ayano
マッテオ・トレンティン(イタリア)マッテオ・トレンティン(イタリア) photo:CorVos
開催国イギリスは2018年ツール覇者ゲラント・トーマスとヨークシャー出身のベン・スウィフトを中心に作戦を組むことになる。他にもオウェイン・ドゥール、タオ・ゲオゲガンハート、イアン・スタナード、アダム・イェーツが出場予定。GBチームには大きなプレッシャーがのしかかる。

日本からは新城幸也(バーレーン・メリダ)と中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)の2名が男子エリートに出場する。両者ともに火曜日に現地入り。水曜日にハロゲート周回コースを試走し、木曜日にリーズからのライン区間を確認している。新城が9位という結果を残した2010年のオーストラリア大会と同じ展開に持ち込み、小集団スプリントで上位に絡む走りに期待したい。

コースを試走する新城幸也(バーレーン・メリダ)と中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ)コースを試走する新城幸也(バーレーン・メリダ)と中根英登(NIPPOヴィーニファンティーニ・ファイザネ) photo:Kei Tsuji



女子エリート 149.4km(107.9km + 3周回)

女子エリートはブラッドフォードから107.9kmにわたるライン区間をこなしてハロゲート周回コースへ。共通の14km周回コースを3周してフィニッシュを迎える。男子エリートと同様にライン区間には登りが組み込まれており、ノーウッドエッジ(全長1.9km/平均勾配7.2%/最大勾配10.8%)とロフトハウス(全長3km/平均勾配4.3%/最大勾配13%)という2つの登りでまずはセレクションがかかる。いずれも急勾配区間を含み、風の影響を受けやすい吹きっさらし区間もあるため、ハロゲート周回コースに到達した時点で集団は小さくなっているはずだ。

女子エリートロードレース女子エリートロードレース photo:Yorkshire2019女子エリートロードレース女子エリートロードレース photo:Yorkshire2019

チーム力で他国を凌駕しているのが過去最多11回の優勝を誇り、2年連続で優勝を飾っているオランダ。ディフェンディングチャンピオンのアンナ・ファンデルブレッヘンを中心に、アネミエク・ファンフルーテン、シャンタル・ブラーク、エイミー・ピーテルス、ルシンダ・ブランドというタレントが揃う。コース特性的に、2006年と2012年、2013年の優勝者であるマリアンヌ・フォスがエースを担うと見られている。

オランダの鉄壁体制に風穴を開けると見られるのが、個人タイムトライアルで圧勝したクロエ・ダイガート擁するアメリカだろう。ダイガートだけでなく、個人タイムトライアル7位のリア・トーマスや、スプリント力のあるコリン・リヴェラを揃えるアメリカチームの攻撃力は高い。

アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ)アンナ・ファンデルブレッヘン(オランダ) photo:Kei Tsuji

クロエ・ダイガート(アメリカ)クロエ・ダイガート(アメリカ) photo:Kei Tsuji
イギリスは地元ヨークシャー出身の2015年大会の優勝者リジー・ダイグナンで勝利を狙う。出産を経験したダイグナン(旧姓アーミステッド)は6月のウィメンズツアー(女性版ツアー・オブ・ブリテン)で総合優勝。出身地オトレーを通過するコースだけに誰よりもアルカンシェルへのモチベーションは高いはずだ。

日本からは與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)と金子広美(イナーメ信濃山形)の2名が出場。個人タイムトライアルを29位で終えた與那嶺は事前にライン区間や周回コースの試走を行うなど準備に余念がない。過去最高位は2014年の22位。アシストとして長いシーズンを走ってきた與那嶺が自分の成績を狙っていく。

コースを試走する與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ)コースを試走する與那嶺恵理(アレ・チポッリーニ) photo:Kei Tsuji
ロード世界選手権2019ロードレース日程
9月26日(木)12:10pm男子ジュニアロードレース148km2171m津田/山田
9月27日(金)8:40am女子ジュニアロードレース92km622m岩元
2:10pm男子U23ロードレース192km1766m石上/松田/今村
9月28日(土)11:40am女子エリートロードレース150km2394m與那嶺/金子
9月29日(日)8:40am男子エリートロードレース280km3645m新城/中根
text:Kei Tsuji in Harrogate, United Kingdom
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