千森体育主催のUCI Class1レース、Qiansen Trophy2戦目は昨年と同様に河北省ハンダン市峰峰区で9月8日に行われた。織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)が3位となり、大会史上初のアジア人初の表彰台登壇、自身にとっても実力の向上を確認できた結果となった。小坂光と西山みゆきもトップ10入りしている。



男子エリート

男子エリートのスタート男子エリートのスタート photo:Masakazu.Abe
第1戦と同じ55名がグリッドに並ぶ。スタートはスロバキアのナショナルチャンピオン、オンドレイ・グラーザと前戦スタート時の落車でトップチューブを折ったはずのオーストラリアのナショナルチャンピオン、クリス・ジョンジュワードが飛び出し、グラーザがホールショットをとりつつシングルトラックに飛び込む。直後の20名ほどの集団前方にはフランス、ベルギー、オランダの若手勢にアイルランドナショナルチャンピオンのデビッド・コンロイ、小坂光(宇都宮ブリッツエン)、織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)らも確認できる。

ホールショットを取りシングルトラックに入ったスロバキアのグラーザホールショットを取りシングルトラックに入ったスロバキアのグラーザ photo:Masakazu.Abeフランスのチームシャザルの若手2人が揃って階段を登るフランスのチームシャザルの若手2人が揃って階段を登る photo:Masakazu.Abe


クリス・ジョンジュワードをマークして階段を上る織田聖クリス・ジョンジュワードをマークして階段を上る織田聖 photo:Masakazu.Abe
河川敷のようなシングルトラック、織田は11番手。小坂も14番手で最初の周回に飛び込み、ポジションが固定される前に前方をめざす。20番手に斎藤朋寛(RIDE LIFE GIANT)、21番手に移動日からここ数日体調を崩してる向山浩司(SNEL CYCLOCROSS TEAM)が気力で踏み込んでいる。

階段をゆく積田連と斎藤朋寛。暑さが苦手な積田は冷却水作戦が功を奏した階段をゆく積田連と斎藤朋寛。暑さが苦手な積田は冷却水作戦が功を奏した photo:Masakazu.Abeピット手前のドロップオフブリッジを下る織田聖ピット手前のドロップオフブリッジを下る織田聖 photo:Masakazu.Abe


スタートライン側からコースに入り半周終えてフライオーバーをくぐる手前のストレートではフランスの若手ミカエル・クリスピン(シャザル・キャニオン)がスロバキアのグラーザを引き連れ先頭。追走パックにはジョンジュワード、クリスピンのチームメートのヤン・グラス、そして第1戦と昨年も2位になっているニコラス・サンパリジの3名。昨年の千森杯完全勝者ゴス・ファンデルメア(今季UCI チーム未登録)は8番手、9番手で織田聖が直後をマーク。小坂は12番手で上げてきている。途中、斎藤20位、積田21位で、後方では小島37位、向山39位と続くが体調の悪い向山はかなりきつそうに見えた。

ニコラス・サンパリージをマークする織田聖。ここで4番手かニコラス・サンパリージをマークする織田聖。ここで4番手か photo:Masakazu.Abeゴス・ファンデンメアを追う小坂光は10位前後の争いゴス・ファンデンメアを追う小坂光は10位前後の争い photo:Masakazu.Abe


アウトフローの階段は隣のゴールエリアに向かうインフローの階段より5mほど短いが、2周目2回目のその階段を先頭で登ってきたのはフランスのグラス。クリスピン、3位にサンパリジ。ジョンジュワードは少し遅れ7位、8位ゴス、9位に織田、12位小坂。

向山浩司。後方には先頭に立ったヤニク・ペータースが迫る 向山浩司。後方には先頭に立ったヤニク・ペータースが迫る  photo:Masakazu.Abe小島大輝(SNELCYCLOCROSSTEAM)小島大輝(SNELCYCLOCROSSTEAM) photo:Masakazu.Abe


3周目にはそれまで5位付近に居たベルギーのヤニク・ペータース(パウエルス・サウゼン-ヴァストゴサルビス)が突然トップで現れ、そしてフランスのクリスピンを挟んでアルノ・ファンデンブルク(ベルギー)が3位、驚くことに織田聖が4番手で来た。ピットもどよめく。見えないエリアで何があったのか?先頭にいたフランスのグラスは8位まで落ちた。

そして5周目ピット前、織田がベルギーのペータースに次いでやや遅れながらも2番手で通過。後ろにファンデンブルックを従えて表彰台の期待が高まった。その後も織田は2番手を維持して周回を重ねる。後ろにいるファンデンブルックに使われている感もあるが、前を引き続ける。

ペータースは後方に1分の差をつけたのち千森杯に敬意を表してフィニッシュペータースは後方に1分の差をつけたのち千森杯に敬意を表してフィニッシュ photo:Masakazu.Abe
ゴールスプリントで引き離されマルノ・ファンデンブロクに次ぐ3位フィニッシュの織田聖ゴールスプリントで引き離されマルノ・ファンデンブロクに次ぐ3位フィニッシュの織田聖 photo:Masakazu.Abe
織田は2位で最終周回に入るが、6分後に最終コーナーに現れたのはファンデンブルック。織田は惜しくも3位でゴールした。しかしハイスピードレースに耐え、かつ積極的に前に出る展開で自身初のUCI-Class1での表彰台を獲得した。今夏のフランスのロードクラブチームに遠征合宿した成果と成長が十分に感じられる走りを示した。

キャプテン小坂光も終盤まで垂れることなくむしろ徐々に上げていく展開を見せ、終盤4人以上を抜き前戦を上回り過去6回の本大会出場の中でも最高位8位の好結果となった。斎藤も前戦22位から今回15位と大幅ジャンプアップとなりUCIポイントと賞金を得た。レース速度に十分対応できなかったという若手二人は積田30位、小島40位。しかしこの経験は国内シーズンで活かせることだろう。また不調を押して走った向山も意地を見せ48位完走を得た。

表彰台に立つ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)表彰台に立つ織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Masakazu.Abe
織田聖のコメント
前戦アオハンはオーストラリアチャンピオンのジョンジュワードの落車で始まり、運・不運のあるすっきりしないレースだったので今回は前戦より良い6位以内を現実的な目標に設定し、挑みました。実は本音で言うと今年の千森杯ではポディウムに乗ろうと決めて遠征にきました。展開がうまくはまって本当にそれが獲れて満足しています。展開は序盤に抜けて先頭になったベルギーのペータースはダントツに速くて及ばないので、2番手パックの中で速度に対応しつつも脚をため、展開を待ちました。

記者会見に応える織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)記者会見に応える織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) photo:Masakazu.Abe中盤はずみで2位パックの先頭に出てしまいそのままパックの先頭を引いて1周回りましたが、その際ジョンジュワードも上がってきてパックが破壊されそうになったので貯めていた脚を使って加速するとジョンジュワードが遅れだしたので、今だと思いその時上がってきた若いベルギー人(ファンデンブルック)と二人で抜け出しました。そのあとは彼に使われるような形になり、最終周の階段で振り切ろうとしましたが叶わず、逆に最終コーナーからのゴールスプリントでやられてしまいました。2位と3位の差は大きいですが、4位になるよりよっぽど良いですからね。今年はロードシーズンをフランスで過ごした分パフォーマンスも上がっているはずで、それが結果に結びつき自分でも確認、納得できたのがよかったです。

小坂光コメント
第2戦の課題は暑さ対策と試走初日に痛めた脚だったんですが暑さのほうはチームスタッフの段取りでホテルの部屋で凍らせた冷たい水を毎周回給水してもらえて助かりました。脚については日数がたって落ち着いたのと痛み止めも効いて、レースではアドレナリンも出てるからかあまり気にならず問題なく走ることができました。

レース展開は序盤トップグループのスピードに噛み合わずそこから落ちてしまいましたが、いった先でポジションを落ち着かせ同程度の脚の選手とパックで走り、さらに協調しながら抜け出しトップ10に向けて徐々に上げていくことができて良かったです。内容含め今のベストの走りができました。チームの体制もパンク対策や暑さ対策とか課題が出てもメカニックの修正が早く感謝しています。レースの成果についても各自の目標を達成できたようですし、織田選手が3位表彰台に登るなど良い遠征が出来たと思っています。

男子エリート リザルト
1位 ヤニク・ペータース(パウエルス・サウゼン-ヴァストゴサルビス)00:59:24 
2位 アルノ・ファンデンブルク(ベルギー) 00:59:47  
3位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)00:59:497
4位 クリス・ジョンジュワード(オーストラリア)01:00:36        
5位 ミカエル・クリスピン(フランス、シャザル・キャニオン) 01:00:49 
6位 メルウィン・デーヴィス(USA) 01:00:59  
7位 ゴス・ファンデルメール(オランダ)01:01:10   
8位 小坂光(宇都宮ブリッツエン) 01:01:18
9位 斎藤朋寛(RIDELIFEGIANT) 01:03:23
30位 積田連(SNELCYCLOCROSSTEAM) -4 LAPS
40位 小島大輝(SNELCYCLOCROSSTEAM)  -6 LAPS
48位 向山浩司(SNELCYCLOCROSSTEAM) -7 LAPS



女子エリート

エリート女子のスタートエリート女子のスタート photo:Masakazu.Abe
昨年の大会ではスペインナショナルチャンピオンのアイダ・ヌノ・パラシオがベルギーの元ナショナルチャンピオンのジョイス・ファンデルベッケンを破って勝利した。今年もこの二人の戦いになると予想されたが、その予想を上回る白熱した展開となった。昨シーズンの戦績はUCIランキング13位のアイダが36位のジョイスを圧倒していた。西ヨーロッパの選手同士ということで直接対決するレースも多かったが、C1のレースでは度々優勝しているアイダがジョイスを上回る。しかしそんな予想に反して千森杯は終始ジョイスのペースでアイダとのドッグファイトが展開された。

アイダ・ヌノ・パラシオとジョイス・ファンデルベッケンのスピードは異次元アイダ・ヌノ・パラシオとジョイス・ファンデルベッケンのスピードは異次元 photo:Masakazu.Abe1ラップ目、西山みゆきは9位パックで展開1ラップ目、西山みゆきは9位パックで展開 photo:Masakazu.Abe


レースは21名がグリッドに並びスタートを待った。前戦アオハンでジョイスの後塵を拝したアイダはリベンジを誓ったはずだ。そしてレース前半アイダはトップに出てペースメイク、5分台を出し7周のレースとした。しかしジョイスはその背後に着き遅れることなく追う。4周回目アイダは全力で逃げ続けたためか、ペースが落ちたところジョイスが抜き去りトップに立つ。この際ジョイスは5分そこそこのラップで一気にアイダとのギャップを広げたが、すでにアイダに再び加速して追う余力は無く、むしろ1分後方のイングランド18歳の無印選手ケティ・スコットに前に出られぬよう対応しなければならなかった。

須藤むつみはレルデ・アルダーバ(ラトビア)としばらく並走する須藤むつみはレルデ・アルダーバ(ラトビア)としばらく並走する photo:Masakazu.Abe5周目で西山みゆきは単独の10番手につける5周目で西山みゆきは単独の10番手につける photo:Masakazu.Abe


トップのジョイスが1周6分台前半で周回した結果「カンチブレーキ最速」の西山みゆき(Toyo Frame Field Model)は目標とした周回遅れを免れるためベストエフォートで一時間近く走らせられることになった。そしてやはり目標としていた前戦を上回る9位シングルリザルトを得、2戦でUCIポイントも計22ポイントを得た。須藤むつみ(ReadyGoJapan)も西山の活躍が刺激になったようで前戦15位からジャンプアップし −1Lapの12位、再び賞金とUCIポイントも得た。

優勝したジョイス・ファンデルベッケン(ベルギー) 優勝したジョイス・ファンデルベッケン(ベルギー) photo:Masakazu.Abe女子エリート表彰 優勝はジョイス・ファンデルベッケン(ベルギー) 女子エリート表彰 優勝はジョイス・ファンデルベッケン(ベルギー) photo:Masakazu.Abe


西山みゆきのコメント
前戦は全然走れず10位だったので今回は一周5分台ラップ、シングルリザルトでトップから同一周回、つまり先頭から6分以内の遅れで済ませたいという目標をたてました。コース自体は初見で走って楽しい好きなコースだと思いました。暑さの影響も予想されたのでレース前に脚を十分休めてスタートに臨み、2周くらいは楽しく走れたんですが、やはり暑さの影響が出て3周目くらいから脚に来たのを踏ん張って最後まで走りぬきました。またマシンサポートなども日本で仕上げてきたセッティングをベースにきっちり調整してくれて安心して乗ることができました。おかげさまで初海外でしたが、結果含め良い遠征ができたと思います。

女子エリート リザルト
1位 ジョイス・ファンデルベッケン(ベルギー) 00:49:02
2位 アイダ・ヌノ・パラシオ(スペイン) 00:49:54
3位 ケイティ・スコット(イギリス) 00:50:42
9位西山みゆき 00:55:18    
12位 須藤むつみ -1 LAP



中国シクロクロス遠征の旅とノウハウ
遠征の合間に中国観光する日本チーム遠征の合間に中国観光する日本チーム photo:Masakazu.Abe第2戦の会場は第1戦の行われた内モンゴル自治区敖汉(あおはん)からは北京市を挟んで南西の反対側。1000km近い距離があり、昨年はバスで1泊2日かけて移動したが日程的にきつく、今年は2泊3日での移動になった。そのぶん全体日程もやや伸びて、日本遠征隊の場合でも金曜から日曜の10日間の行程となった。長い道のりの途中は名勝地などの近くに用意されたホテルにつくと周辺の観光や買い物なども楽しめた(例年用意された万里の長城観光が今年は無かった)。

内モンゴル自治区を南下すると数時間で抜けて河北省。このあとは目的地まで二日間ずっと河北省という中国の広さを実感できた旅だった。1泊目は承徳にある避暑山荘(中国四大名園のひとつ、歴代旧王朝時代の庭園)前の観光ホテルに泊まり夕方ガイド付きの庭園散策を楽しんだ。2泊目はようやく北京を過ぎた石家荘市郊外のスキー場なども近くにあるリゾートホテル。後方の山の稜線上に万里の長城が見えた。

3日目の9月4日(水)昼過ぎにHanDan市峰峰のホテルに到着、機材を下ろしランチを取った後各自自転車の組立て調整を行う。コース試走はすでに可能だが内モンゴルからはだいぶ南下して、気温・湿度とも高い地域。さらに土曜のレースまで中2日あるので最初からダメージを蓄積しないよう、男子日本チームメンバーは二泊三日のバスの長旅で弛緩した筋肉に刺激を与える程度の軽いゆっくりしたトレーニングに留める選手がほとんど。しかし女子二名は早めにコース入りし、比較的長く周回を重ね、初参加ながら前戦で見事トップ10入りを果たした西山は更に順位を上げるべくコース習熟、ベテラン須藤も西山に刺激を受け昨年の記憶をベースに細かな修正を行うチェックランを始めているようだった。

溜まった洗濯をしてから歩いてホテルから30分弱のレース会場に行っても試走している各国選手も少なく、気温が下がり出す夕方になってぼつぼつ繰り出してくる程度。人手不足からか今回主催側からの大会日程や行程の事前情報が少なく、第1戦からその日の予定が前日の夜か当日の朝知らされるというある種ミステリーツアーが続いたが、千森杯の定評のあるホスピタリティーが失われるはずも無く、5日木曜午前中はHandan市街の観光、6日午前中はレース会場~ホテル背後にある景勝地6世紀に建立が始まった洞窟仏教寺院響堂山石窟へ700段あると言う階段を上ってのハイキング、6日金曜夜は第2戦の前夜祭ウェルカムパーティー、7日土曜レース日午前中は海外選手と地元高校生との交流会、レース後夕方~夜中までレース会場の仮設ステージで「千森音楽祭」と目白押しで試走する時間のやりくりがたいへんなほどだった。

響堂山石窟寺院を観光した日本チーム響堂山石窟寺院を観光した日本チーム photo:Masakazu.Abe5日はハンダン市街観光ショッピング。20kmほど東の市内へバスで移動。古くから陶器の町としても有名だったらしく老人ホームの脇を通って町はずれの丘にある陶器博物館にバスを停め歩いて市内観光。旧市街を残した土産物屋街や広場でのにぎやかな市の見学、博物館ショップでの買い物などを堪能。6日は響堂山石窟ハイキングで、ホテルから歩いて登る。標高差は300mほどだろうか。石窟寺院構造や仏像群(一部破壊や盗掘されている)が見事だった。破壊がこれほどでなければ世界文化遺産級だと思う。寺院からの眺めもPM2.5で霞んでいたものの峰峰鉱区が一望できた。

6日夜は第2戦歓迎前夜祭。行政区長や中国体育局、主催者のあいさつに始まり、各国参加チームの紹介のあと参加選手のこの大会への参加回数によってそれぞれ記念品の贈呈。全7回開催のうち6回参加の小坂光選手が地元名産の大きな壺を頂く。その後伝統芸能や歌謡、人気の地元少女舞踏団などのエンターテイメントが楽しめた。

7日の午前にクリスティン、ゴス、ジョイス等主な欧米ライダーと地元高校生の「国際交流会」。あわせて今年アオハンでは開催されなかったアマチュアのオープンレースも開催された。

レースに話を戻すと、第2戦ハンダン市峰峰は会場もホテルも昨年と同じ、内モンゴルの会場のようにフライオーバーや美しい木製のドロップオフブリッジが去年のまま残され常設コースとして普段はMTBなどのコースとして解放されているようだった。大会中も試走日などには混じって走る中国人MTBライダーが少数ながら見られた。

第1戦で選手たち(とメカニック)を悩ませたマキビシ草が一年で中国全土を席捲したのか?まさかの第2戦会場でも繁殖撒種していた。試したところ基本的にタイヤシーラントを注入していればなんとか大丈夫との事なので試走でタイヤトレッドに刺さった鋭い種を抜きシーラント剤の管理を行うメカニック達。使い勝手の分かっている国産のシーラント剤は持ち込み量も少なく品薄なので、前戦で主催者が調達販売した中国製シーラント剤も使うことになる 効き目はいかに?

またシーラントを注入するためにはバルブコアが外れるタイプが必須だが、ブランドやモデルによってはバルブコアが外せないチューブラタイヤもありその場合は注入不可となるので あとはお祈り以外パンク回避の術は無くなってしまう。しかし 来年参戦する場合のノウハウとはなるだろう。シーラントに続いて主催側はクリンチャー用チューブの(果てはチェーンまで!)仕入れ販売を始めたが 残念ながらバルブコア非分解タイプのものであった。

もう一つは暑さ対策、第1戦同様 例年に倣ってバイクへのボトルの装着、ピットエリア内での給水をチーフコミッセールより認める旨のコミュケがあった。しかしこのコースはフライオーバーに加えWピットそれぞれの後に30mほどの階段があり その際の担ぎのスムーズさも重要なファクターとなる。その場合 装着したボトルが担ぎの邪魔になりタイムロスにつながることもあることを懸念し、メカニックはボトル装着無でピットでの給水のみを基本オペレーションする提案を行った。それに際しては給水による身体の冷却効率を高めるためホテル各部屋の冷蔵庫で主催者支給のミネラルウォーターを分散して冷蔵冷凍し当日ピットへ冷たい水が用意できることとなった。(そのため冷蔵庫に入れていたワインやビール一時退避となったのは言うまでもなかった)

またピットでのメカニック配置も上下2名ずつに距離を置いて分散し給水やトラブル時対応の柔軟性が向上するようアレンジした。このあたり有志参加のチームでありながら海外経験値の高いシクロクロス世界選手権派遣メカニックが何気に揃っているという強みだろう。普段はそれぞれに活動する選手やスタッフも後半に向けてチームとしてのまとまりも良くなって行ったようだった。

2019 QiansenTrophyCyclo-cross 日本チーム陣営
QiansenTrophy Cyclo-cross日本チームQiansenTrophy Cyclo-cross日本チーム photo:Masakazu.Abe
〈Men Elite〉
小坂光(宇都宮ブリッツエン)
織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)
斎藤朋寛(RIDELIFEGIANT)
積田連(SNELCYCLOCROSSTEAM)
向山浩司(SNELCYCLOCROSSTEAM)
小島大輝(SNELCYCLOCROSSTEAM)
〈WomenElite〉
西山みゆき(Toyo Frame Field Model)
須藤むつみ(ReadyGoJapan)
〈Staff〉
諏訪孝浩
橋本剛
小島哲也
小松聖義

photo&text:Masakazu.Abe