UCIワールドツアーチーム、ディメンションデータが来季は「チームNTT」となることが決まっている。つまり日本の会社がスポンサードする南アフリカ共和国籍のUCIワールドツアーチームが誕生する。チーム代表のダグラス・ライダーGMにこれからの展望を訊いた。



ディメンションデータのダグ・ライダー ゼネラルマネジャーディメンションデータのダグ・ライダー ゼネラルマネジャー photo:Makoto.AYANO
―毎日NTTの各国の支社の方々がチームに帯同されていますね?

ライダー氏:そう、毎日10人から15人ぐらいのグループがチームに帯同し、チームの活動を見てもらっています。数日ごとに違う国、地域のNTTグループ会社からの関係者が入れ替わりながら帯同しているのです。

帯同していたNTT関係者:私たちは今日だけの帯同で、ブラジルやメキシコ、南米各国からのグループです。NTTの社員や、その関連会社の関係者などです。NTTはツール・ド・フランスのテクニカルパートナーとなっています。つまり顧客でもあり、我々のテクノロジーを生かして運営されています。バイクに取り付けた測定器により採取した選手たちの現在位置や走行データなどを、ヘリコプター経由で受信し、リアルタイムで測定するテレメトリー(遠隔測定法)は大変優れたものですよ。

ディメンションデータを訪問したNTT欧州の社員たちディメンションデータを訪問したNTT欧州の社員たち photo:Makoto.AYANO
―あなた方NTTが、来年はチームのメインスポンサーにもなりますね。

帯同していたNTT関係者:そのとおり、我々はその現場を観て、雰囲気やバイブレーションを感じているのです。そして来年からがとても楽しみです。ツール・ド・フランスの大会だけでなく、チームを支援することができるのですから。

ライダー氏:この週末には日本からのグループもやってきます。またそのときに取材に来てください。日本の会社がチームのスポンサーになるなんて、クールだと思いませんか?

―そのとおり、日本人にとってとてもエキサイティングです。来年はNTTがシングルスポンサー? セカンドスポンサーはどこかがつきますか?

いえ、シングルのタイトルスポンサーです。ディメンションデータと呼んでいるチームが「チームNTT」となります。

NTTがつくノロジー提供する選手の位置や走行データを測定するITソリューションNTTがつくノロジー提供する選手の位置や走行データを測定するITソリューション photo:Makoto.AYANO
NTTがテクノロジーパートナーをつとめる(ツール・ド・フランス公式ブックより)NTTがテクノロジーパートナーをつとめる(ツール・ド・フランス公式ブックより) photo:Makoto.AYANO
―1つどうしても質問したかったのが、日本のスポンサーになることで、日本人選手のチーム加入がありますか?

私たちも実際、日本人選手を探しています。なぜならNTTは2020東京オリンピックのスポンサー(通信サービスのゴールドパートナー)でもありますから、日本人選手の加入のチャンスはおおいにあります。タイミングとしては絶好の機会ですからね。

―ワールドツアーチームの選手としてですか?それともディベロップメント(育成)チームとしてですか?

実際、ワールドツアーチームのほうであれば良いと私は思っています。可能性はあります。楽しみにしていてください。

―チームスポンサーとしての運営母体は、NTTのどの国のブランチがオペレーションを担当するのですか?

現況はイギリスに拠点を持つディメンションデータ(Dimension Data Holdings plc)が行っています。
その海外事業を統合したNTTグループの特定子会社であるNTT Limited (※)が7月1日、つい2週間ほど前に設立されたばかりです。そのNTTグループの会社がチームに出資します。それでディメンションデータがチームNTTとなるわけです。(※ロンドンに拠点を持ち、法人向けITサービス、通信・インターネット関連サービスの提供を事業とする)

南アフリカ共和国籍のディメンションデータ 南アフリカ共和国籍のディメンションデータ photo:Makoto.AYANO
―UCIの方針で、近々発表されることですが、ワールドツアーチームはデベロップメントチームを持たなければならないことになっていますね。チームはすでにデベロップメントチームを持っていますか?

はい。すでにイタリアのトスカーナ、ルッカに拠点をおいているディメンションデータ・コンチネンタルチーム(イタリア登録)があります。活動を始めてから4、5年になります。毎年、そのチームからワールドツアーチームに選手を昇格させています。今年も来月に2人の選手がメンバーとなることが発表されますよ。

―あなたのチームには今季ヘンドリック・ルダン氏(元ユナイテッドヘルスケアチームGM)がマネジメント&監督として就任しましたね。ルダン氏はツアー・オブ・ジャパンに何度も来て采配してます。

そのとおり、ルダン氏は日本やアジアのレースもよく知っています。そして何より日本が大好きなようです。彼が日本とのつながりにおいて重要なキーになるのは間違いありません。

ロルフ・アルダグ監督もかつて日本の国際ロードを走った経験を持つロルフ・アルダグ監督もかつて日本の国際ロードを走った経験を持つ photo:Makoto.AYANOデータ計測を行うNTTのスタッフデータ計測を行うNTTのスタッフ photo:Makoto.AYANO


―1つ疑問は、チーム運営方針の基礎となっている「クベカ」はアフリカへの支援を意味していますね。それが日本のスポンサーとなることで、方向性の違いや違和感を少し感じてしまうのですが、いかがですか?

いえ、NTTの企業方針としては、企業としての社会貢献やそれを支援する責任に強くフォーカスするという企業風土を持っています。「世界を良くする」といった姿勢で、すでに我々の、アフリカに生活のための移動手段としての自転車を贈る活動「クベカチャリティー」を支援してくれています。もちろんチームはクベカへのサポートを続けます。そしてディメンションデータからNTTになってもその関係が続くのです。

「クベカ」はアフリカへの支援を意味する「クベカ」はアフリカへの支援を意味する photo:Makoto.AYANO
来週末、日本からのNTTグループの方々が訪問してくれるのを私もとても楽しみにしています。ともかく日本のNTTがタイトルスポンサーになるのはとてもクールでエキサイティングですね。これからはチームと日本とのつながりが深くなっていくでしょう。


interview&photo:Makoto.AYANO in Saint Flour FRANCE

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