コルナゴのミドルグレードカーボンバイクとして高い人気を得てきたCLXが、マイナーチェンジを経て2.0としてバージョンアップ。トップレーサーも実戦使用するこのバイクは、果たしてどのような変貌を遂げているのか。

コルナゴ CLX2.0コルナゴ CLX2.0 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

北米やアジアのバイクメーカーが勢力を伸ばし、ロードバイクの神髄と言われてきたイタリアンブランドは以前ほどの勢いを見ることはできないが、そんな中にあって依然として輝き続け、世界中のロードバイカーからリスペクトされている老舗イタリアンブランドがコルナゴだ。

その理由は流行に簡単に流されない、創業者エルネスト・コルナゴのロードレースに懸けるひたむきな自転車作りにある。コルナゴのロードバイクはフラッグシップのEPSから入門用のプリマベーラまで、ロードレースのための性能が盛り込まれている。

昨今はロングライド用にヘッドチューブを長く確保し、バックセンターを伸ばしたモデルが各社からリリースされているが、コルナゴの解釈は異なる。2010年モデルとしてコルナゴは初めてロングライド専用モデルのACE(エース)を投入してきた。しかし、それも基本となるジオメトリーはレーシングモデルと同じで、ヘッドチューブの寸法が長いだけ。つまり、乗車位置はアップライトだが、運動性能はバリバリのロードバイクというワケだ。

ボリュームあふれるヘッド周りのラグ形状ボリュームあふれるヘッド周りのラグ形状 ヘッドにはおなじみの四葉のクローバーのシンボルマークがあしらわれるヘッドにはおなじみの四葉のクローバーのシンボルマークがあしらわれる 弓なり形状になっているシートステイ弓なり形状になっているシートステイ


さて、少々前置きが長くなってしまったが、コルナゴの2010年モデルはエースが投入されたことにより、ミッドレンジのCLXがマイナーチェンジを受け《CLX2.0》へと進化することとなった。

元々CLXというモデルは、ロードレースはもちろんのこと、グランフォンドのような走り方にも対応できるよう、快適性も追求した走行性能が実現されている。
しかし、ACEの登場により、既存のCLXが持っていたグランフォンド用、つまりロングライド的な性能をすべてエースに任すことにより、CLXはロードレースに特化したモデルとしてCLX2.0へと進化することが可能になったわけだ。

ツートンカラーの塗り分けが鮮烈な印象だツートンカラーの塗り分けが鮮烈な印象だ ダウンチューブは剛性アップに貢献するコルナゴの専売特許ともいえるジルコ形状ダウンチューブは剛性アップに貢献するコルナゴの専売特許ともいえるジルコ形状


従来のCLXのシンボルマークともいえる、快適性と反応性を両立するアーチシェイプのシートステー、メーンフレームをモノコックで製作し、シートステーとチェーンステーを差し込む3ピースのフレーム構造など、基本となる設計は引き継がれているが、カーボン素材がグレードアップして、よりフレーム剛性が高まっている。しかし重量は200gという大幅な軽量化を達成している。

そして注目はヘッド回り。上位機種のEPSやCX-1にならって、セミインテグラルタイプの「C-HS」コルナゴ・ヘッドシステム(上下とも1-1/8規格のベアリング)を搭載し、それに伴いフォークもリニューアルされている。これによりフロントセクションのスタビリティが向上しているのは言うまでもない。

アーチシェイプされ振動吸収性に効果を発揮するトップチューブアーチシェイプされ振動吸収性に効果を発揮するトップチューブ リーフ形状のチェーンステイはペダリングパワーをパワフルに受け止めるリーフ形状のチェーンステイはペダリングパワーをパワフルに受け止める


コルナゴといえば安定感の高い走りが大きな魅力だが、インテグラルヘッドを得たことにより、高速コーナーでの安定性、ダンシングでの加速やスプリントといった性能が向上しているのはいうまでもない。

また、全体的にはフレーム剛性は上がっているものの、アーチェシェイプのシートステーにより、快適性という部分にも拝領されているのは言うまでもない。

価格もフレーム&フォーク単体で28万3500円、シマノ・アルテグラ完成車で約40万9500円、そしてシマノ・105完成車は33万6000円というように、比較的リーズナブルに設定されているのは、これから本格的にロードレースをはじめるユーザーにとってはうれしい存在だ。派手なモデルチェンではないものの、見た目以上に進化しているのが新型CLX2.0なのだ。

シートステーのメーンフレームへの接合はモノタイプで行われるシートステーのメーンフレームへの接合はモノタイプで行われる シートチューブはタイヤの収まるセミエアロ形状だシートチューブはタイヤの収まるセミエアロ形状だ シートポストは翼断面形状のポスト部分を持つ専用品がセットされるシートポストは翼断面形状のポスト部分を持つ専用品がセットされる



2009モデルのCLX と外観上の差がほとんどない2.0だが、コルナゴには一家言あるという2人のインプレライダーは徹底テストライディングで何を感じ取ったのだろう?





―インプレッション


「優れた軽快感で一般レベルのライダーでもコルナゴの魅力が堪能できる」 佐藤 成彦(SPACE BIKES)


昔、コルナゴのフルカーボンモデル「C40」に乗っていた時期もあるのですが、このCLX2.0に乗っても、C40で体験したときと同じようなコルナゴに共通した独特の乗り味を感じますね。
ハンドリングをはじめ、レースをするためのロードバイクに必要な造り方が分かっている感じを受けます。そのあたりがコルナゴのブランド価値であり、信頼感でしょうね。

フレームはハイモジュールグレードのカーボン素材を使っているようですが、剛性のレベルは固すぎず、かといって柔らかいわけではない。固いという感覚は強くないので、重いギヤをガンガンかけてペダリングするようなパワーのあるライダーじゃないと乗りこなせないというレベルではありません。
ですので、レーサーや上級者じゃなくても、コルナゴが欲しいと思う一般的なレベルのライダーにも扱いやすい性能と言えるでしょう。

「ロードレース入門者からプロレーサーまで対応するレンジの広い高性能がある」(佐藤 成彦)(SPACE BIKES)「ロードレース入門者からプロレーサーまで対応するレンジの広い高性能がある」(佐藤 成彦)(SPACE BIKES)

そして、ダンシングをした際のバイクの振りは軽いですね。どちらかというと大きなギヤを踏んでパワーをかけてダンシングするというより、軽めのギヤで踏んでゆくようなスタイルの方が、本来持っている軽快な乗り味をよりいっそう体感できると思います。

対するシッティングでは、軽いギヤを高めに維持して走るようなシーンでも、重めのギヤでパワーをかけて踏むような場合でもしっかりとパワーを受け止めてくれ、走りは軽いですね。

昨年までのモデルと基本的なフレーム形状は変わっていなくて(セミインテグラルヘッド仕様の「C-HS」に変更されている)、素材がハイモジュールのカーボンに置き換えられているだけだと思うのですが(実際には200g軽量化されている)、以前のCLXと比べるとシャキシャキ感というか、軽快感が増しているので、スピードに乗せるまでの時間が早くなったように思います。

プロレーサーを含む上級者から、ロードレース入門者まで対応するレンジの広い高性能をもっているCLX2.0は、間違いの無いロードレーサーと言えるでしょう。



「ロードバイクに求められる性能がバランスよく実現された高性能」 鈴木祐一(Rise Ride)


コルナゴは好きなブランドで昔からロードバイクからMTBまで、いっぱい持っていいました。思いっきりコルナゴフリークですね(笑)。
いままでいろいろなコルナゴを乗ってきた経験から判断しても、このCLX2.0というバイクは「コルナゴらしさ」という部分にまったくブレが無くて、魅力が引き出されている優れたモデルといえるでしょう。

「光るコルナゴらしさ。レースに使いたい真のロードレーサー」(鈴木祐一)「光るコルナゴらしさ。レースに使いたい真のロードレーサー」(鈴木祐一) コルナゴはこれまで多くのトッププロチームにバイクを供給していることからも分かるとおり、やっぱりロードレースが得意なブランドだと思います。日本では今、ヒルクライム、ロングライド、そしてちょっと競技志向の人だとクリテリウムぐらいが人気の遊び方ですが、純粋なロードレースとなると本場のヨーロッパと比べると、レース距離もそんなに長くない。

ロードレースの本場イタリアで設計されているからこそ、コルナゴは長い距離を速く走るロードレースのことをよくわかっていて、このCLX2.0もそこに必要な性能を目指して作られているバイクですね。

加速性能やハンドリングなど、CLX2.0の中に盛り込まれた個々の性能はどれも魅力的で、それを語るのもいいのですが、性能の全体的なまとまりがいいんです。
フレーム剛性にしても、BB部分の固いのが好きな人、柔らかいのが好きな人もいると思うんですが、そのちょうど真ん中ぐらいのレベルで非常にバランスがいい。

ペダリングは走り始めで脚力が元気な時と、長距離を走って疲れてしまった時だとフレーム剛性の体感も変わってきますよね。でもCLX2.0は、どちらの場合でも無理なくペダリングが行え、推進力へと繋げてくれる「バランスのいい剛性レベル」が実現されているのが秀逸な部分です。


フォークからヘッド周りの剛性もしっかりしているけど、固すぎない。固すぎると荒れた路面ではねてコントロール性が落ちたりするデメリットもあるが、そうしたこともなく非常に扱いやすい優れたバランスに出来上がっている。したがって長距離を乗ってもストレスが少ないんです。

ブレーキングもコントロールしやすいレベルにあるし、振動吸収性についても嫌な周波数帯はしっかカットしつつ、ロードインフォメーションはしっかり伝えてくれる。
というように、レース用のロードバイクに求められるすべての要素がすごくいいバランスでまとめられている部分に感心します。

だから150㎞、200㎞という長距離を走った時に、最後の勝負でもう少し頑張らなきゃいけないようなシーンでも、脚力を発揮することができるフレームに実現されている。
個々の性能を褒めるよりも、この全体のパッケージングの素晴らしさがCLX2.0の最大の魅力と言えます。

市場には「フレーム剛性がしなやかでロングライドはいいけどレースはちょっと向かない」とか、その反面、「フレーム剛性が高くて、レースには良くてもロングライドには疲れる」というキャラクターのバイクもあるけれど、CLXは全体のバランスに優れ、ロードバイクの基礎となる性能がしっかりとできているので、オールラウンドに使えるバイクだと思います。





コルナゴ CLX2.0コルナゴ CLX2.0 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
コルナゴ CLX2.0
フレームマテリアル:HMカーボン
フォーク:CLX2.0カーボン
サイズ:420S、450S、480S、500S、520S、540S、570S、590S
希望小売価格:28万3500円(フレームセット)、40万9500円(アルテグラ完成車)、33万6000円(105完成車)





インプレライダーのプロフィール


佐藤成彦佐藤成彦 佐藤 成彦(SPACE BIKES)

千葉県松戸市の「バイクショップ・スペース」のオーナー。身長179cm、体重64kg。実業団のBR-1クラスを走る現役のレーサーでもあり、近所に住んでいるシマノレーシングの鈴木真理選手と共にトレーニングをこなすほどの実力を有している。2009年の戦歴は全日本実業団BR1クラス3位、実業団富士SW BR1クラス2位など。ハードなロードレースで自らが試して得た実戦的なパーツ選び、ポジションのアドバイスに定評がある。
SPACE BIKES


鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド

ウェア協力:Santini, Sportful(日直商会


text&edit :Tsukasa.Yoshimoto
photo:Makoto.AYANO
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