リドレーの2019年国内展開ラインアップで唯一の完成車モデルである「FENIX SL DISC」をインプレッション。アンドレ・グライペルに敬意を表した、”ゴリラ”イラストをあしらったオールラウンドエンデュランスロードを紹介しよう。



リドレー FENIX SL DISCリドレー FENIX SL DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
春のクラシックレースやシクロクロスなど自転車競技において熱狂的な盛り上がりを見せるベルギー・フランドル地方のバイクブランド、リドレー。塗装業を起源としたメーカーながら高性能なレースバイクを多数ラインアップし幾多の勝利に貢献してきた。ワールドチームのロット・スーダルを、前身チームであるロット・ベリソル時代からサポートしており、その関係性は今年で8年目にも及ぶ。

2019シーズンはアンドレ・グライペルが移籍してしまったものの、新たに獲得したカレブ・ユアンをエースにスプリント列車を走らせるロット・スーダル。スプリンターが使用するエアロロード「NOAH(ノア)」、山岳ステージで選ばれる軽量オールラウンドモデル「HELIUM(ヘリウム)」とともに、特にクラシックレースでプロ選手の走りを支えるのがエンデュランスレーサーの「FENIX(フェニックス)」である。

シートステーを扁平形状とすることで振動吸収性を高めるシートステーを扁平形状とすることで振動吸収性を高める グライペルのポリシーである#LET THE LEGS TALKが刻まれるグライペルのポリシーである#LET THE LEGS TALKが刻まれる フロントフォークは緩くベンドしており、振動吸収性や直進安定性を高めるフロントフォークは緩くベンドしており、振動吸収性や直進安定性を高める

2013年モデルから登場したFENIXは、”北の地獄”パリ~ルーベを始めとするモニュメントでも使用実績のある生粋のレースモデル。石畳の路面でもスムーズな走りを見せる快適性と、プロレースに必要な高い剛性を両立させたバイクに仕上がる。2016年にはディスクブレーキモデルも登場し、リムブレーキモデルと合わせて2タイプから選べるラインアップで展開されている。

そんな中、今回インプレッションを行ったのは2019年モデルで完成車販売されている「FENIX SL DISC」だ。トップグレードである”SLX”モデルからカーボン素材を変更することで、優れた走行性能と価格をバランスしたモデルとなっている。フレーム素材には30tと24tのHMカーボンを適材適所に使用し、ディスクブレーキに最適化した剛性を持たせつつ、セカンドグレードとして万人に扱いやすい硬さに調整されている。

リドレー独自のダイアモンドシェイプを採用しねじれ剛性を強化リドレー独自のダイアモンドシェイプを採用しねじれ剛性を強化 ヘッドチューブにはグライペルのトレードマークであるゴリラが描かれるヘッドチューブにはグライペルのトレードマークであるゴリラが描かれる

BBシェル幅を広げ剛性を上げる事ができるBB86を採用BBシェル幅を広げ剛性を上げる事ができるBB86を採用 ディスクブレーキはフラットマウントとスルーアクスルの組み合わせディスクブレーキはフラットマウントとスルーアクスルの組み合わせ

ディスクキャリパーが取り付けられるフォーク、チェーンステーなどは特にカーボンレイアップが強化されており、ブレーキングのストレスに対応させた設計に。結果としてキャリパーブレーキと比較し15%のストッピングパワー増を果たしており、ディスクブレーキ特有のコントローラブルな操作性と合わせて安全性も高めている。

また前後12mmスルーアクスルとしエンドのねじれ剛性も強化。リムブレーキモデルでは28Cまでだったタイヤクリアランスも、今作では30Cまで対応しており、ワイドタイヤによる乗り心地の良さもプラスする設計となっている。

FORZAのサドルがアッセンブルされるFORZAのサドルがアッセンブルされる シマノ105をアッセンブルした完成車で販売されるシマノ105をアッセンブルした完成車で販売される

FENIXに特徴的な緩くカーブを描いたトップチューブはそのままに、リア三角のデザインはリムブレーキモデルから変更され、シートステーの接合位置を下げたコンパクトな形状へとアップデートされた。HELIUMシリーズのテクノロジーを応用した極細のシートステーと合わせて振動吸収性と路面追従性を高め、悪路でも快適な走り心地を実現している。

ダウンチューブにはリドレー特有のエッジチュービングを用いた複雑な角断面を持つダイヤモンドシェープを採用し、優れたねじれ剛性や耐久性を獲得。加えてシェル幅が広いプレスフィットBB86や、リドレー伝統の上側1-1/8、下側1-1/2のテーパードヘッドチューブ、左右非対称のチェーンステーなどが各所に最適な剛性を生み出すことで、高い推進力や安定性、ハンドリング性能を実現している。

シートチューブ後ろには小さくリドレーロゴが入りブランドをアピールシートチューブ後ろには小さくリドレーロゴが入りブランドをアピール 快適性の向上を狙い、キャリパーモデルに比べシートステーとシートチューブの接合位置は下に下げられた快適性の向上を狙い、キャリパーモデルに比べシートステーとシートチューブの接合位置は下に下げられた 完成車にアッセンブルされるホイールはフルクラムRACING700完成車にアッセンブルされるホイールはフルクラムRACING700

緩くベンドさせたフロントフォークや、やや長めのホイールベースを採用することで直進安定性や快適性のアップも狙った設計はエンデュランスモデルならでは。フォーククラウン部はヘッドチューブと統合したインテグレートな造形とすることで、エアロ性能にも配慮した工夫が窺える。

完成車仕様のFENIX SL DISCは、シマノ105の油圧ディスクブレーキを搭載。赤青白のトリコロールカラーをあしらった通常モデルと、グライペルのトレードマークであるゴリラのイラストをペイントした限定モデルで販売されている。価格は334,000円(税抜)だ。



― インプレッション

「ロングライドからキャンプツーリングまで用途を選ばない1台」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)

オンロードでロングライドやツーリングなどはもちろんのこと、セッティングによってはグラベルなども楽しむことができるオールラウンドエンデュランスバイクだと感じました。最新のシマノ105ディスクブレーキコンポーネントがアッセンブルされていることもあり、ホイールとタイヤの組み合わせによって様々な自転車の楽しみ方ができるバイクですね。

リアトライアングルの柔軟性が非常に高く、振動吸収性に優れていますし、荒れ道の路面追従性も非常に高いのが特徴的です。フルサスXCマウンテンバイクのように積極的にリアトラクションを稼いでくれるので、荒れ道での安定感が非常に高いですね。リドレーのバイクはどのモデルも路面追従性が優れていますが、このFENIX SL DISCは特にその傾向を感じます。

「ロングライドからキャンプツーリングまで用途を選ばない1台」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)「ロングライドからキャンプツーリングまで用途を選ばない1台」遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)
リア三角に柔軟性を感じる一方、BB周りと前後のエンド部分はスルーアクスルの影響もあり、しっかりとした剛性を持っています。例えば登りではシッティングでもダンシングでもパワーをしっかりと掛けてあげると気持ちよく進んでくれる推進力を見せてくれますね。

やはりディスクブレーキが付いているというのはメリットだと思います。天候が悪くてもストレス無く走ることが出来ますし、タイヤクリアランスも広がるので、タイヤとホイールの選択肢も多くなりますよね。オンロードで楽しむのであれば、もう少し軽量なホイールにチューブレスタイヤを合わせるなどで快適性を高めてあげるとさらに楽しくライドできることでしょう。

対してグラベルを走ることを前提に太めのタイヤを組み合わせても面白いと思います。それこそ思い切って少しブロックパターンのあるタイヤをセットすれば走破性も高まりますし、新しいロードバイクの楽しみ方ができると思いますね。リムブレーキですとタイヤ幅の制約がありますが、ディスクブレーキは自由度が高いので、楽しみ方別にホイールを用意しておくだけで違ったバイクへと変わるかもしれません。

用途を選ばない1台ですからオンロードのロングライドからツーリング、グラベルの林道ライドまで何でも楽しめると思います。バイクパッキングでキャンプツーリングも楽しそうですね。そういったオールマイティな楽しみ方ができるバイクは初めてのロードバイクとしても最適だと思いますね。

「腰を据えて乗ることができる安定感」宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)

ホイールベースが長く、走行時の安定感を感じる事ができるバイクだなと感じました。フレーム全体の剛性もしっかりとしていますし、重厚感があるので腰を据えて安心して乗ることができるバイクだと思います。

踏んだ時の反応はじっくりと加速していく印象で、フレームからの反発も少なく、踏み続ける事ができるフレーム剛性を持っています。踏み続けてスピードを上げていけば高速域で走ることも可能ですので、サイクリングロードなどの長く真っ直ぐな道を高速巡航するようなライドには最適な乗り味だと感じました。

「腰を据えて乗ることができる安定感」宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)「腰を据えて乗ることができる安定感」宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)
また登りに関しても、急な勾配をトルクをかけながら登るよりは、緩やかな勾配で長めの登りをじわじわと踏みながら登っていく走りに合っていると思います。シッティングで一定のペースで登っていくのが良いですね。ダンシングでペースを乱すと少しギクシャクしてしまう部分はあるかもしれません。

ハンドリングに関しては直進安定性が強めの仕上がりになっています。荒れた路面でもハンドルが暴れることなく、安心感がありますね。一方、クイックにハンドルを切るような動きには対応しづらいかもしれませんが、前もって曲がる心構えさえしておけば、ダウンヒルのコーナリングでも安心して曲がることが出来ます。

新型のシマノ105がアッセンブルされていますが、クランクはFSAがセットされていますね。これでも性能的には問題ないのですが、クランクを変えるとバイクの雰囲気も変わるので、アルテグラなどの上位グレードのものに変更してもいいでしょう。より全体のルックスが引き締まってくると思います。全体的にミドルグレードのパーツで構成されているため、バイクをカスタマイズしていく楽しみもあるでしょうね。

総じてなだらかな丘陵地帯を一定のペースで走るロングライドには最適なバイクだと思います。100km~150kmくらいの距離でサイクリングを楽しむには良き相棒となってくれるでしょう。グライペルのレプリカモデルのような、ゴリラのイラストがヘッドチューブに描かれている点も所有欲も満たしてくれそうです。

リドレー FENIX SL DISCリドレー FENIX SL DISC (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
リドレー FENIX SL DISC
素材:30ton/24ton HMカーボン
コンポーネント:シマノ105 R7000
クランク:FSA Gossamer Pro
ホイール:フルクラム RACING700
カラー:JP19-02As、JP19-02Bs、D718As
サイズ:XXS、XS、S、M
価格:334,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)遠藤健太(サイクルワークス Fin’s) 遠藤健太(サイクルワークス Fin’s)

新潟県長岡市に店舗を構えるサイクルワークス Fin’sの店長。学生時代にBMXから始まり、MTBやロードバイクまで幅広く自転車を楽しむバリバリの走れる系店長。2012年には全日本選手権ロードに出場した経験も。お店は完璧なメカニックサービスを提供するべく、クオリティの高い整備が評判だ。ショップ主催のサイクリングやレース活動に積極的で、初めての人から実業団レースで活躍したい人まで手厚いサポートを心がける。

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サイクルワークス Fin’s HP

宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi) 宗吉貞幸(SPORTS CYCLE SHOP Swacchi)

千葉県流山市にある「SPORTS CYCLE SHOP Swacchi」のスタッフ。自転車歴は95年からはじめて、2019年で25年目を迎える。レース活動も行っており、ニセコクラシックやツール・ド・おきなわ、実業団レースなどにも積極的に出場。日本体育協会自転車公認コーチの資格を有し、ロードバイクスクールの開催にも力を入れる。週末はショップライドをアテンドし、ショップのお客さんと一緒に自転車を楽しむことを重視している。

SPORTS CYCLE SHOP Swacchi HP


text:Yuto.Murata
photo:Makoto.AYANO
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