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サイクルワークス Fin’s(フィンズ)

人との繋がりを大切にする、長岡のアットホームなプロショップ
東京から上越新幹線で2時間ほどとアクセスの良い新潟県長岡市。市街地から車で15分ほど離れた場所に、当県を代表するスポーツサイクルプロショップの一つ「サイクルワークス Fin’s(フィンズ)」はある。表通りから一歩入った場所だけに最初は分かりづらいかもしれないが、探してでも訪れてみる価値は絶対にある、と私は思う。

およそ100台ほどの展示車が所狭し並ぶ本店と、徒歩すぐ場所にある、余裕を持った空間が広がるクラブハウス。この2店舗が現在のフィンズの形だ。スポーツバイク専門店として有名なフィンズだが、1973年の創業当時はオートバイや実用車の整備・販売を軸とした「輪業」としてスタート。1991年にスポーツバイク専門として舵を切った際に現在の名称に切り替わり、その後移転。そして常連さんがゆったりとくつろげるクラブハウスの増設を経て、現在の形態に落ち着いたという。

3名のスタッフをまとめるのは、マネージャーを務める遠藤健太さん。「気さくなお兄さん」という雰囲気の遠藤さんに加え、創業者でお父様である剛さんも今だ現役で作業場に立ち、常連さんとの会話に花を咲かせている。お客さんやスタッフの会話が常に行き交う、活気のあるショップだ。

本店の1階はパーツやウェア、アクセサリーやサプリメントなどの販売コーナーと広いメカニックスペースで、2階がほぼ全ての在庫が並べられる完成車コーナーだ。ロードバイクが主力ながら、話題のファットバイクを含むMTBラインアップやクロスバイク、キッズバイク、常時数種類が用意されている女性用バイクなど、その幅はかなり広い。「最終」を表す「FIN」’S、つまり「スポーツバイクライフの最初から最後まで全てが揃うお店」という意味合いそのままのラインナップだ。ちなみにトライアスロン方面にも力を入れており、30年ほど前からオリジナルのウェットスーツを作ったりしていたそうだ。
メインとなる本店の1階。様々な商品が所狭しと並ぶ様は圧巻だ
マネージャーを務める遠藤健太さん。BMX、MTB、ロードバイクまで幅広い自転車経験を持つ。チームジャージは地元長岡のオンヨネ製
フィンズ本店で忙しく働くスタッフさんたち
フィンズが第一のモットーに据えているのが「完璧なメカニックサービス」。納車時の整備はBBもフォークもすべてバラしてフェイスカットとグリスアップを施す。完成車の場合はワイヤーも全て交換し、ホイールの振れ取り・センター出し…。そうしたチューンナップを徹底的に行い、さらにスタッフ同士によるダブルチェックを経て、ようやくユーザーの手に渡る。しかも整備内容は価格を問わず、100万円のバイクにも5万円のクロスバイクにもほぼ同様のメニューを施すというのだ。ここまで徹底的な整備工程を踏むショップは、日本広しと言えどそうそう無い。

「安くないお金を頂く以上、金額以上のクオリティを実現したいんです」とは遠藤さん。曰く、「学生時代に大手自転車販売店でアルバイトをしていたのですが、そこでなるべく整備の手間を省いて値段の割引に繋げている場面を見てきました。でもそうすると、後々各所の整備が絶対出てくる。ならば一番初めから後に出てくるであろうトラブルの元を全て潰してしまおうと。ユーザーさんも絶対にその方が良いし、僕らも完璧に仕上げた自転車を渡しているという自信や気概に繋がりますから」。

東京での学生時代にBMXフラットランドに魅せられ、自転車のある生活を始めたという遠藤さん。全国を転戦した後に長岡に戻って家業を継ぎ、そこでMTBやロードバイクの面白さに初めて気づき、のめり込んだという。練習相手には当時トライアスロン選手を目指していたガールズケイリンのトップ選手である加瀬加奈子選手らがいたそうで、徐々に規模が拡大したことで現在のクラブチームの礎が出来上がった。充実した整備内容にはエリートホビーレーサーとして走る遠藤さんの経験則もプラスされている。

「ゆったりサイクリングやロングライド、レースなど、自転車の遊び方はユーザーの数だけあります。でも僕らが求めるクオリティは、どんな用途に使う自転車でも一緒。目指すレベルから落ちないよう、スタッフ間でのダブルチェックも欠かしません。正直、手間は掛かりますが、それでも品質は大切にしたいですから」。

そしてパーツ選びでも的確なアドバイスをできるよう、遠藤さんをはじめとしたスタッフ間で気になる製品を積極的に試し、レースなどを通して継続使用することも忘れない。「やっぱり、乗ったりいじったりするのが好きなんですよね。自分で使ってみて、価格以上のものをオススメしたい。それはメンテナンスにも通ずる部分ですし、全てにおいて完璧を目指したい」と遠藤さん。テキパキと作業をこなすそれぞれのスタッフにも、その思いは受け継がれているようだ。
フィンズが第一のモットーに据えているのが、完璧なメカニックサービス
「安くないお金を頂く以上、金額以上のクオリティを実現したい」
取材当日はホーバーホール依頼をこなしている真っ只中。多忙の中にも丁寧な作業が光る
冬は雪に閉ざされる地域のため、秋のロードシーズンが終わると整備依頼が急増するのだそう
さて、フィンズが位置する長岡市は、サイクリングに絶好のフィールドに囲まれた場所。日本海側には魚介で有名な寺泊や、出雲崎、柏崎が近い。信濃川河川敷沿いに長く続く平坦路も、急峻なワインディングが続く山古志村もある。特に走り応えたっぷりな山古志はグループライドでも頻繁に訪れ、後述する越後長岡チャレンジサイクリングを開催している場でもある。都会に住んでいるサイクリスト垂涎もののロケーションが無限に広がっている。

そんなフィールドを使ったクラブ活動も盛んに行われ、毎週末には土日それぞれでグループライドを必ず開催。脚力に合わせて実業団チームは6時、ホビーレースチームは8時、ゆっくり走る「おはようサイクリング」は9時集合と、それぞれ練習している。実業団チームが活躍しているだけに走り系のイメージが強いが、実は大多数がサイクリング派。佐渡ロングライドといったイベントを完走するために練習に参加する方も多いのだそうだ。

最近急増した女性や初心者に優しいお店づくりも忘れてはいない。「弱虫ペダルのブームで自転車を買って満足してしまっている方も少なくないんです。”自転車は走って楽しいものなんですよ!”とどうしても伝えてくて」と遠藤さん。Facebook上で女性ユーザーのグループを作ったり、自らの脚で美味しいものを巡るグルメサイクリングといった、誰にでも楽しめる企画も人気を博しているそうだ。

さらにSNSでは地域のサイクリストをグループ化したFacebook上のコミュニティも進めているのだという。「ショップやチームといったしがらみを無視して、枠や世代を超えたお友達の輪を作っていきたいんです。新潟の自転車コミュニティを作り上げるためにも絶対必要ですから」と遠藤さんは言う。なんとボーダーレスな考えなんだろう!と筆者は感心させられてしまった。
コアなファンに向けたクロモリフレームたち。ブランドも幅広く扱っている
不変の人気があるランドナーも在庫している
常連のお客さんがゆっくりとくつろげるように用意されたクラブハウス。ゆったりとしたスペースが広がる
そしてフィンズが主導しているサイクリングイベントが、前述した山古志地区で開催される越後長岡チャレンジサイクリング。今や1000人規模という人気大会だが、もともとは中越地震で被害にあった山古志の道を使って何かできないか?という部分から始まったそうだ。

それを後押ししたのは「復興でお世話になった分を恩返ししたい!」という地元の声。最長の100kmコースは獲得標高2,100m以上という超山岳コースだが、山古志名物の山古志汁や、栃尾の油揚げといったご当地グルメ、そして温かいおもてなしに遠方からもリピーターが後を絶たないそうだ。

さらにロードバイクのみならず、MTBシーンを盛り上げるべく2015年から「長岡MTBフェスティバル」も立ち上げた。「長岡地区でスポーツバイクを盛り上げたいですし、MTBの面白さを知ってもらいたいんですね。まだ今年始まったばかりのローカルイベントですが、もう”あのイベントに出るためにMTBが欲しい!”というお客さんも現れているんです。東京オリンピックも控えていますし、ロードだけではないスポーツバイクの文化をここ長岡から発信できたらいいな、と思いますね」と遠藤さんは言う。あくまで初心者に優しい大会というスタンスは崩さず、限りなく敷居は低くありたい、とも。そして、これはショップのスタンスとも共通することだ。

そういった活動を支えているのは、フィンズの根幹にある「自転車というツールを通して、人生をより豊かなものにしたい」という思いだ。そうでなければ雪に閉ざされるウインターシーズン、クラブのメンバー同士スノーシューで山に出かけたり、ほぼ月一で開催されているという飲み会といった楽しいアクティビティも無かったことだろう。

妥協の無い整備販売と、誰でも楽しめる充実した環境やイベントの整備。遠方から通うユーザーも多いそうだが、すぐに納得できてしまうほど魅力的な環境がフィンズには整っていた。
クラブハウス内のメカニックブースで作業に当たるお父様の剛さん(左)
取材時はハブベアリングのアップグレード作業を行っていた。常連さんが集う楽しい空間だった
シマノのフィッティングマシンを設置。冬のオーバーホール中にポジション出しを依頼するお客さんが多いそう
座ってくつろげるようにテーブル&チェアも用意。ソフトドリンクの準備も
店舗情報
郵便番号 
940-1161
住所 
新潟県長岡市左近2-53
営業時間 
11:00~20:00
日曜、祝日11:00〜19:00
定休日 
第2・第4火曜日、毎週水曜日
TEL 
0258-33-8823
FAX 
0258-33-1433
ブログ更新情報
アクセス 
長岡駅からタクシーで10分。旧長岡市役所からすぐ。
スタッフからのメッセージ
サイクルワークス Fin’s スタッフの皆さん
新潟県長岡市で活動しているサイクルワークス Fin’sです。自転車の本当の楽しさは買った後からやってきます。自然を感じたりはもちろん、仲間と一緒に楽しんでの思い出作りなど、人生が豊かになる趣味だと信じていますし、それを実現するべくソフトとハード両面から質の高いサービスを提供できるように日々頑張っています。レース派のショップだと思われがちですが、お客様の大半はロングライド派なので、安心していらして下さい(笑)。ぜひみんなで自転車を楽しみませんか?

サイクルワークス Fin’s(フィンズ)