TUE(治療使用特例)の申請を怠ったまま禁止薬物を含むぜんそく薬を使用し、ドーピング陽性とされていた阿曽圭祐について、日本アンチ・ドーピング規律パネルは11月19日付で違反が認められるとする決定を公表した。これにより、6ヶ月の資格停止が確定する。



今年のツアー・オブ・ジャパン期間中に行われたドーピング検査で、陽性とされていた阿曽圭祐の違反が確定する決定が出された。資格停止期間は、2018年8月19日から6ヶ月間。

阿曽は持病のぜんそくの治療のため、主治医から処方されていた治療薬を服用していたが、禁止薬物が含まれていたため陽性とされていた。TUEを事後申請したものの却下され、日本スポーツ仲裁機構に不服申し立てを行なったが棄却されていた。

この決定を受け、阿曽が所属していた愛三工業レーシングチームは、阿曽の今期活動停止と、2019年の契約を更新しないことを発表していた。(関連記事

日本アンチ・ドーピング規律パネルが公表した内容によると、「検出された禁止薬物はビランテロール(Vilanterol)であり、競技者(阿曽)の気管支喘息の治療のために主治医から処方された治療薬に起因するもので、治療薬の使用がアンチ・ドーピング規律による「意図的」であった事実は認められない」とした。

一方で、TUE申請を必要と認識していながら、検査結果で陽性反応が出るまで申請しなかった点を問題視。「検査後にTUE申請する機会があったにもかかわらず、陽性反応が出なければ禁止薬物を含む治療薬を使用していたのにTUE申請しなくても構わないと受け取られかねない行動だった」としている。

また、検査の際に7日以内に使用した医薬品やサプリメントを申告するが、ぜんそく治療薬のことを一切記入していなかった点について「競技者は治療薬の製品名を忘れてしまい、製品名を特定しない形での記載が可能とは思わなかったとしているが、説得的とは考えられない」としている。

さらに「自転車競技ではこれまで世界的にドーピング違反事例が報道され、アンチドーピングに関するより一層の教育・啓蒙活動が重要視されているにも関わらず、元所属チームでそれが行われていないことは大変遺憾」としている。

これらを踏まえ、「過誤・過失が重大なものであったとは言えず、今回の違反が1回目であること」が考慮され、聴聞パネルが決定を下した2018年8月19日から6ヶ月間資格停止が決定された。

詳しい決定内容については、下記リンクの「日本アンチ・ドーピング規律パネル決定」を参照されたい。

text:Satoru Kato