3月24日、ベルギー・フランドル地方で第65回ドワーズ・ドア・フラーンデレン(UCI1.1)が開催され、終盤に飛び出したマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)が勝利。別府史之(レディオシャック)は終盤の逃げグループに入るも、脚の痙攣とメカトラで後退した。

通称「フランドル横断レース」ドワーズ・ドア・フラーンデレン通称「フランドル横断レース」ドワーズ・ドア・フラーンデレン photo:Cor Vosセミクラシックレースの一つに数えられるドワーズ・ドア・フラーンデレンは、今年で開催65回目を迎えるワンディクラシック。フランドル地方を幅広く駆け回るのが特徴で、「フランドル横断レース」とも呼ばれる。

レースにはパリ〜ルーベに代表される「北のクラシック」出場が決まっている別府史之(レディオシャック)も出場。フミはこのドワーズ・ドア・フラーンデレンへの出場経験は豊富だ。

石畳の急坂をクリアするトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)石畳の急坂をクリアするトム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ) photo:Cor Vos204kmのコースには、お馴染み「オウデ・クワレモント」や「パテルベルグ」「ノケレベルグ」など、12の急坂が設定されている。しかもその急坂の多くは石畳に覆われた悪路で、勾配が20%を超えるような激坂も登場。急坂が集約された後半の96kmでレースは加熱した。

レースが動き始めたのは、ゴールの78km手前に設定された「ベレンドリーシュ」の上り。ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)ら4名がアタックを成功させ、大集団とのタイム差を広げて逃げ始めた。

集団内で石畳の急坂をクリアするマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)集団内で石畳の急坂をクリアするマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク) photo:Cor Vos続いてメイン集団からはフミやストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)らが抜け出し、追走グループを形成。トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)を始めとする有力選手たちは終盤の勝負どころに備えて動きを見せず。

やがてゴール37km手前から連続する「オウデ・クワレモント」「カルクホヴベルグ」「パテルベルグ」に突入すると、メイン集団はボーネンがペースアップを図り、続いてファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)が牽引開始。

メイン集団のペースを上げるファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク)メイン集団のペースを上げるファビアン・カンチェラーラ(スイス、サクソバンク) photo:Cor Vosこの世界TTチャンピオンのペースアップによって集団は縮小し、前を逃げていたグループを全てキャッチ。そしてゴールまで3つの急坂を残したラスト22km地点で、デンマークチャンピオンのブレシェルが飛び立った。

積極的に動き続けたシェネルやニキ・テルプストラ(オランダ、チームミルラム)、ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ)の3名が追走グループを形成し、独走態勢に持ち込んだブレシェルを追撃。しかしブレシェルが築いた20秒のリードを切り崩すことは出来ず、ブレシェルが独走のままゴールに飛び込んだ。

独走でゴールに飛び込むマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)独走でゴールに飛び込むマッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク) photo:Cor Vos2008年のブエルタ・ア・エスパーニャで集団スプリントを制し、直後のロード世界選手権(ヴァレーゼ)で3位に入ったブレシェル。サクソバンクを代表するスプリンターだが、同時にタフなワンディクラシックも得意だ。昨年のロンド・ファン・フラーンデレンでは6位に入っており、今後のクラシックレースではカンチェラーラの伏兵として注目される。

「サクソバンクが高い戦力を有しているのは分かっていたけど、問題は、どのタイミングで攻撃を仕掛けるかだった。ファビアン(カンチェラーラ)が僕に近寄ってきて、エースの座を僕に託すと告げたんだ。すると彼は集団を信じられないようなペースで牽き始めた。彼のペースが弱まると、今度は僕がカウンターアタックで飛び出した。今後の重要なレースに向けて大きな自信に繋がるよ。今日のレースで、サクソバンクが2枚のカードを有しているということを証明出来た」。ブレシェルはカンチェラーラとともにクラシックシーズンを闘う。

フミは4分22秒遅れの57位でゴール。しかし逃げグループでレースを展開するなど、積極的な走りを見せた。フミは自身のTwitterの中で「序盤から何度も逃げを試みて、ようやくレースの終盤に19人のいい逃げ集団に入ったのに、オウデクワラモントで足が攣ってしまった。 追走のボーネンのグループにもギアが外れて付いていくことが出来きなかった。 しかし激しいレースだった」とコメント。フミの次戦は3月27日に開催されるE3プライス・フラーンデレン。そして3月28日のヘント〜ウェベルヘムに出場する予定だ。

ドワーズ・ドア・フラーンデレン2010結果
1位 マッティ・ブレシェル(デンマーク、サクソバンク)    4h49'37"
2位 ビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ)     +07"
3位 ニキ・テルプストラ(オランダ、チームミルラム)
4位 ストゥヴ・シェネル(フランス、Bboxブイグテレコム)
5位 マシュー・ヘイマン(オーストラリア、チームスカイ)
6位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
7位 ワウテル・モル(オランダ、ヴァカンソレイユ)
8位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
9位 ステイン・ファンデンベルグ(ベルギー、カチューシャ)
10位 ウィリアム・ボネ(フランス、Bboxブイグテレコム)
57位 別府史之(日本、レディオシャック)            +4'22"

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos