ジャイアントのロードバイクラインアップの内、快適性を司るDEFYシリーズ。今年行われたモデルチェンジによって、更にその性能に磨きをかけたコンフォートバイクの実力に迫る。



ジャイアント DEFY ADVANCED PRO 1ジャイアント DEFY ADVANCED PRO 1 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
コンフォートバイクの代名詞として、多くのサイクリストから人気を集めてきたジャイアントの定番モデルがDEFYシリーズだ。2009年に、それまで同社のコンフォートラインとして長い間ラインアップされてきたOCRに代わる新モデルとして、鳴り物入りで登場したのが、DEFYの歴史の始まりだ。

登場以来、コンフォートバイクのスタンダードとしてその立ち位置を確固たるものとしてきたDEFY。2014年に施された最初のフルモデルチェンジでは、ほぼ全車種をディスクブレーキ仕様とし、一気にディスクブレーキロードを身近なものとするトレンドセッターとしての役割も果たしてきた。

そして、2019年モデルにおいて、2度目のメジャーアップデートを施されることに。新たなDEFYの開発に際して掲げられたのは3つのスローガン。「エンジニアード・コンプライアンス(D-Fuseによる各所の快適性)」、「トータルコントロール(最新規格のディスクブレーキによるコントロール性能)」、そして「バーサタリティ(広いタイヤクリアランスやフェンダーマウントなど汎用性)」という3つの要素が生み出すシナジーが、新型DEFYのエンデュランスレーサーとしての性能の源泉となる。

極薄のシートステーで振動吸収性を確保極薄のシートステーで振動吸収性を確保 シートチューブとの交点を下げたリアバックは先代から受け継ぐDEFYに基本的なルックスの一つシートチューブとの交点を下げたリアバックは先代から受け継ぐDEFYに基本的なルックスの一つ 大きくベンドしたフロントフォークも快適性を重視したもの大きくベンドしたフロントフォークも快適性を重視したもの


とはいえ、基本的なシルエットは以前のDEFYとそう大きくは変わらない。推進力を受け止める極太のダウンチューブ、スローピングされたトップチューブ、コンパクトなリアトライアングルを形成する極薄のシートステイなど、エッセンスとなるデザイン要素は前作から多くを受け継いでいる。

もちろん、カーボン繊維の積層やレイアップスケジュールの見直しや、ジオメトリーの再調整などによって、基礎となる性能は更なる向上を果たしている。だが、最もエポックメイキングな部分は、今作で新たに採用されたコックピット周りの設計にある。

Contact SLR D-Fuseハンドルバー、と名付けられた新型ハンドルこそが今回のモデルチェンジのコアとなるテクノロジーである。D-Fuseとは、ジャイアントが採用する断面形状の一つで、D型断面によってしなり量を強化するためのもの。もともとはシクロクロスバイクTCXのシートピラーに採用され、先代のDEFYのシートピラーにも採用されていた技術である。

ブラックカーボンカラーに鮮やかなレッドが入るカラーだブラックカーボンカラーに鮮やかなレッドが入るカラーだ 上下方向への柔軟性を大幅に向上させたContact SLR D-Fuseハンドルバー上下方向への柔軟性を大幅に向上させたContact SLR D-Fuseハンドルバー


変形三角断面を採用したダウンチューブはエアロではなく剛性と快適性を高める形状変形三角断面を採用したダウンチューブはエアロではなく剛性と快適性を高める形状 POWERCOREを採用したボトムブラケットPOWERCOREを採用したボトムブラケット


そこで得たノウハウを、今度はハンドルへと応用したのがContact SLR D-Fuseハンドルバーとなる。31.8mmのクランプ部から一気に絞り込まれた上ハンドル部分をD-Fuse形状とすることで、上下方向への柔軟性を大幅に向上させることに成功したのだ。

ただ、ハンドルに求められる役割というのは、決して衝撃や振動を吸収することだけではない。ダンシング時にはしっかりとライダーの体重を受け止める剛性が求められるし、柔らかすぎればハンドリングへの影響もあるだろう。

もちろんジャイアントのエンジニアは、そのあたりの事情は熟知している。彼らが開発したこのD-Fuseハンドルバーは、その独特の形状により快適性と剛性という相反する要素をバランスさせることに成功した。

フロントディスクローター径は140mmがチョイスされているフロントディスクローター径は140mmがチョイスされている ホイールはジャイアント SLR1 DISC Carbonがアッセンブルされるホイールはジャイアント SLR1 DISC Carbonがアッセンブルされる


丸形状を採用する同グレードのContact SLRハンドルバーとの比較において、路面からの突き上げる力が加わった際には10%の快適性の向上が見られる一方、反対にスプリント時にハンドルを引き上げる動作が加わった際には30%の剛性向上が確認されたという。

それは、快適性につながる上下方向への変化量を増加させつつ、スプリントなどでハンドルへ加わる斜め方向への変化量を抑えるというD型の断面形状の特性によるものだ。突飛なメカニズムやギミックに頼らず、高次元で求められる性能をバランスさせる解法は、ジャイアントのエンジニアたちのスマートさを証明するようだ。

さらに、この断面形状には剛性と快適性のバランスを調整できるという機能まで盛り込まれている。つまり、ハンドルの角度を変えることによって、上下方向への厚みを変化させることができ、しなり量のコントロールを行うことが出来るのだ。

28Cタイヤでも余裕のクリアランスが与えられている28Cタイヤでも余裕のクリアランスが与えられている 最大12mmもの動きを実現したD-Fuseシートポスト最大12mmもの動きを実現したD-Fuseシートポスト 先代に比べ5mm短くなったヘッドチューブは「OverDrive 2」採用先代に比べ5mm短くなったヘッドチューブは「OverDrive 2」採用


このように革新的な設計のハンドルに加え、32mmまで対応するタイヤクリアランスや、ジャイアントが近年力を注ぐチューブレスタイヤシステムGAVIA「AC」、また特殊なフォームを採用することで快適性を向上させたContact SL Neutralサドルといったトータルのパーツアセンブルもコンフォートバイクとしての実力を大きく高めてくれる要素である。

既に完成の域にあった前モデルを越えるべく、4年の時を掛けて磨きに磨かれた新型DEFY。新たな定番コンフォートバイクとして注目集まる1台をどのように評価するのか。それではインプレッションをお届けしよう。



― インプレッション

「本気で長距離を走る方でも満足のいくパッケージ」藤岡徹也(シルベストサイクル)

まず第一印象として本気で長距離を走る方でも満足のいく完成されたパッケージのバイクだなと感じました。エンデュランスロードとして非常に良く走りますし、長野県や山梨県などの山間部に行って、登りと下りが連続するロングライドを楽しみたいなと思わせてくれます。これで45万円という価格に驚きです。

エンデュランスロードというと、まず振動吸収性といった目先の快適性にフォーカスを当てがちですが、このバイクの快適性は後ろ寄りの重心バランスに肝があると感じました。これにより自転車そのものが安定するため、長距離を走っていてもストレスが少ないというトータルで見た快適性があります。直進性の高さに繋がるだけでなく、絶妙な重心バランスによってコーナーリング中のライン変更も軽い力で思った通りの挙動を見せてくれる総合的な安心感に繋がっています。

「本気で長距離を走る方でも満足のいくパッケージ」藤岡徹也(シルベストサイクル)「本気で長距離を走る方でも満足のいくパッケージ」藤岡徹也(シルベストサイクル)
振動吸収性という部分に焦点を当てれば、カーボン製のハンドルは絶妙なしなりで強い衝撃をいなしてくれているように思います。段差を超えたというロードインフォメーションは伝えるけれども、疲労に繋がるような振動はいなすという印象です。カーボンハンドルは快適性の向上に効果的なパーツですが、それが最初からアセンブルされているのは良いですね。またベンドしたフロントフォークもその振動吸収性の向上に一役買っていると思います。

バイクの推進性については初速から中速域にかけての軽い加速感が持ち味ですね。チューブレスレディ対応のカーボンホイールが標準装備されているということも要因かもしれませんが、走りの軽さは印象的です。ポジションを調整すればサーキットエンデューロにも最適な乗り味になると思います。

また前後140mmのローター径を採用しているというのはエンデュランスロードに合ったチョイスだと思いました。レーシングバイクではないので、スピード域もややゆっくりしたものになりますし、コーナー前に急ブレーキをかけることも無いと思いますので、140mmをチョイスすることでコントロール性を重視するのは効果的だと思いますね。

エンデュランスモデルとして、やはりこのバイクが一番向いてるのはアップダウンのある景色が綺麗なコースを走るロングライドでしょう。仲間と一緒に軽いローテーションしながら160kmくらいの山岳ロングコースを1日かけて走るような楽しみ方がベストです。登りも軽快ですから気持ちよく登って山頂で美しい景色を見て帰ってくる、そんなライドに使って欲しいと思います。

それと、軽快な登坂性能を生かして乗鞍などのヒルクライムイベントに出るのもいいと思いますし、レースではないですが身体を鍛えるためのトレーニングツールとしてサイクリングを楽しむ人にもいいかもしれません。ロングライド志向の方でも少し登りたい、速く走りたいと思う方にマッチすると思いますね。

「身体が起き上がるポジションで視界が開け心も開放的に」遠藤誠(GROVE港北)

まず乗ってみて、一番印象的だったのは視界が広いと感じたことですね。ハンドルが高いというのも要因かもしれませんが、身体が起き上がるようなジオメトリーによって、普段のロードバイクより景色が見えるなという印象を受けました。それによって心が開放的になるので、ロードバイクそのものを楽しんで乗ることが出来るようになったと感じます。

「身体が起き上がるポジションで視界が開け心も開放的に」遠藤誠(GROVE港北)「身体が起き上がるポジションで視界が開け心も開放的に」遠藤誠(GROVE港北) このジオメトリーはバイクの挙動にも影響を与えていて、真っ直ぐ走っても、コーナーを走っても、良い意味で癖が全くないですね。ヘッドアングルやフォークオフセットが工夫されていて、非常にナチュラルなハンドリングとなっています。ですので何も気にせず、開放的な気分でただ景色を楽しむといった走りができるバイクだと思います。

乗り味に関しては細身のシートステーや、標準装備されている28Cのチューブレスレディタイヤによって高い快適性を生み出していると感じました。だからといってまったりとしていて遅いということはなく、フレームの走行性能は上々。カーボン製のシートピラーやハンドルの完成度も高く、そういったパーツ達が全体の性能を底上げしているように思います。快適でありながら総合的なベース性能が高いバイクといった印象ですね。

また、登りが得意なバイクだとも感じました。もちろん大出力で踏んでいくバイクではありませんが、ペダルをクルクルを小刻みに回していけば、ロングライドの途中で現れた登り坂も軽快にこなすことが出来ると思います。正直、思いの外登るバイクだなと思いました。

カーボンホイールとシマノアルテグラの油圧ディスクブレーキのパッケージで45万円というのは非常にコストパフォーマンスが高いですよね。価格だけ見れば大きな額ではありますが、満足度という部分では大きく満たすことが出来るパッケージだと思いますね。

多くのサイクリストはやはり快適なバイクを求めていると思いますし、その中でも走りの性能も両立されたこのDEFYはかなり良いチョイスとなるはずです。DEFYから始めて、よりスピードを求めるようになればレーシングモデルに乗り換えるという流れもアリではないでしょうか。その上でスピードを求めない景色を楽しむロングライドやバイクパッキングでツーリングとかエンデュランスライドをする方には、その全てを満たしてくれるバイクとなることでしょう。

ジャイアント DEFY ADVANCED PRO 1ジャイアント DEFY ADVANCED PRO 1 (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
ジャイアント DEFY ADVANCED PRO 1
フレーム:Advanced-Grade Composite OLD142mm,D-FUSE SL Composite Seat Pillar
フォーク:Pro-Spec,Advanced-Grade Composite,Full Composite OverDrive 2 Column 12mm Axle
コンポーネント:SHIMANO ULTEGRA
ホイール:GIANT SLR1 DISC Carbon
タイヤ:GIANT GAVIA AC 1 700x28C Tubeless Ready
サイズ:410(XS),445(S),480(M),515(ML)mm
重 量:7.7kg(445mm)
価 格:450,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

藤岡徹也(シルベストサイクル)藤岡徹也(シルベストサイクル) 藤岡徹也(シルベストサイクル)

大阪府箕面市にあるシルベストサイクルみのおキューズモール店で店長を務める。マトリックスやNIPPOに所属した経歴を持つ元プロロードレーサーで、ツール・ド・フクオカ優勝、ツール・ド・熊野の個人TT2位などの実績を持つ。現在は実業団レースやロングライド、トライアスロンなど幅広く自転車を嗜みスタッフとして「自転車の楽しさを伝える」ことをモットーに活動している。

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遠藤誠(GROVE港北)遠藤誠(GROVE港北) 遠藤誠(GROVE港北)

神奈川県横浜市のプロショップ、GROVE港北の店長。元々はMTB乗りとして自転車を嗜む内に現在の系列店舗スタッフとして働くように。自転車歴は10年以上でロードバイク、MTB両方に精通する豊富な知識と経験から、メカ・ポジション・乗り方まで幅広いアドバイスを提供する。”初心者にもわかりやすく”を常に心がけ、お客さんと一緒に自転車を楽しむことを重視している。

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ウェア協力:Funkier(ファンキアー)

text:Naoki.Yasuoka
photo:Makoto.AYANO
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