3月10日にイタリアで開幕するティレーノ〜アドリアティコにおいて、マイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)は間違いなく総合優勝候補の一人だ。イタリアのヴァレーゼに住むロジャースは、ルタ・デル・ソル総合優勝、ストラーデビアンケ3位という成績を引っさげて1週間の闘いに挑む。

ルタ・デル・ソル(ブエルタ・ア・アンダルシア)で総合優勝を飾ったマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)ルタ・デル・ソル(ブエルタ・ア・アンダルシア)で総合優勝を飾ったマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos「今まさにコンディションの波が来ている。ティレーノ〜アドリアティコは全開で総合優勝を狙う所存だ。タイムトライアルが外されたことは残念だ。いくつかのステージで登場する短い上りでは、どうしても大きなタイム差がつかない。でも出場するからには勝ちに行く。持てる力を全て出して総合優勝を狙う」。

RCSスポルトは今年のレースから個人タイムトライアルを除外した。タイムトライアルが設定されていれば、過去に3回世界TTチャンピオンに輝いたロジャースにとって大きなアドバンテージになっていたはずだ。

モンテパスキ・ストラーデビアンケで逃げに乗り、最終的に3位に入ったマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア)モンテパスキ・ストラーデビアンケで逃げに乗り、最終的に3位に入ったマイケル・ロジャース(オーストラリア、チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vosロジャースが総合優勝を狙うためには、キエーティにゴールする第4ステージと、コルムラーノにゴールする第5ステージで勝負に出る必要がある。いずれも走行距離が240kmに達するロングコースで、しかも第4ステージの前夜には200kmの移動を強いられる。そして第5ステージは大会最標高点のフォルカ・ディ・プレスタ(標高1535m)を越えるハードなコースだ。

「確かに厳しいステージは登場するが、本格的な山岳ステージは一つもない。バランス良くスプリント力と登坂力を備えた選手が総合優勝に輝くだろう。トーマス・ロヴクヴィスト(チームスカイ)やヴィンチェンツォ・ニーバリ(リクイガス)が優勝候補だ」。臨戦態勢のロジャースは冷静にライバルを分析する。

モンテパスキ・ストラーデビアンケ表彰台 2位ロヴクヴィスト(チームスカイ)、優勝イグリンスキー(アスタナ)、3位ロジャース(チームHTC・コロンビア)モンテパスキ・ストラーデビアンケ表彰台 2位ロヴクヴィスト(チームスカイ)、優勝イグリンスキー(アスタナ)、3位ロジャース(チームHTC・コロンビア) photo:Cor Vos「今年の冬は充実したトレーニングをこなすことが出来た。その成果が今のコンディションとなって現れている。ここ数日はずっと天候が悪いので、ますますタフな闘いになりそうだ」。

ティレーノ〜アドリアティコにおける選手たちの最大のライバルは、その過酷な気象条件かもしれない。開幕前日の火曜日には、強風の影響でレース会場に近いピサ空港のフライトスケジュールが大きく乱れた。更には雪が降り積もり、気温が5度までしか上がらない極寒のコンディション。天気予報によると、この悪条件は1週間に渡って続く。近年稀に見る過酷なレースが繰り広げられるだろう。

text:Gregor Brown in Rosignano Solvay
photo:Cor Vos
translation:Kei Tsuji



Gregor.Brown (グレゴー・ブラウン)

イタリア・レッコ在住のアメリカ人プロサイクリング・ジャーナリスト。2005、2006年ジロ・デ・イタリアとツール・ド・フランス、春のクラシック等で綾野 真(シクロワイアード編集長/フォトジャーナリスト)に帯同し、取材活動を行う。2007年よりサイクリングニュース(イギリス)の主筆ジャーナリストとして活躍後、フリーランスに。2009年12月よりシクロワイアード契約ジャーナリストとなる。今後、主にイタリア・英語圏プロサイクリングメディアに活動の舞台を移す。