ローハン・デニスの2勝目に終わったブエルタ第16ステージ個人TT。「このブエルタは世界選手権に向けての最高の準備レースになった」と語るデニスや、「明日からもチャンスがあれば攻撃を仕掛けたい」と語る総合首位サイモン・イェーツらのコメントを紹介します。


ステージ1位 ローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)

序盤と終盤を抑えて走り、中盤にかけて全力でプッシュする作戦がはまった。パワーの数値を見ながら、きっと良いタイムが出ると思っていた。指標となるのはカストロビエホのタイムだけだったので、後半スタートの選手たちがどれだけタイムを伸ばしてくるのか気が気ではなかった。

コーチと一緒に登り一つ一つにターゲットとなるパワー数値を決めて、落ち着いてその作戦に沿って走ったんだ。中盤の丘のエリアでいかに自分をコントロールするかがトップタイムにつながった。最高のチームメイトであり、チームバスの中で最も気楽なジョセフ・ロスコフが2位に入ったことも本当に嬉しい。

正直言うとクウィアトコウスキーがもっと良いタイムを出すと思っていた。おそらく落車の影響もあったし、前半のステージで総合に関係する走りをしていたことが影響したのだと思う。自分はと言うと、リラックスしながら山岳ステージをこなして、このタイムトライアルに挑むことができた。

世界選手権の個人タイムトライアルとチームタイムトライアルに向けて良い状態にある。今日を最後にブエルタを離れて、帰宅して最後の調整を行いたい。シーズンの最後にもう一つ大きなタイトルが欲しい。このブエルタは世界選手権に向けての最高の準備レースになった。

スプリントすることなく流してフィニッシュするローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)スプリントすることなく流してフィニッシュするローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji

ステージ2位 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシング)

すでに開幕から2週間走っているけど、予想以上の脚がよく回った。実際に何が起こるかは走ってみないとわからないと実感したよ。バイクにまたがってみて空っぽに感じる日もあれば、とてもよく脚が動く日もある。幸い今日は後者だった。ローハンに次いで2位に入るのはこの上ない結果であり、目的意識を持ちながら集中力を絶やさずに走った甲斐があった。

ステージ2位/50秒差 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシング)ステージ2位/50秒差 ジョセフ・ロスコフ(アメリカ、BMCレーシング) photo:Luca Bettini

ステージ4位&総合3位 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)

良い走りをしたいと思っていたタイムトライアルで素晴らしい結果を残すことができた。調子が良ければステージトップ10に入ることができると思っていたけど、ステージ4位は想定外だ。自分向きのコースだと思っていたけど、レースは始まってみないとわからない。序盤は少し突っ込みすぎたけど、中盤以降も良いペースを刻むことができた。デニスとの差が1分以内(51秒差)というのは良い走りの証拠だ。明日以降も毎日展開に合わせてしっかりレースをこなしたい。チームとして全力で攻撃を仕掛けて、悔いのないよう日曜日を迎えたい。

ステージ4位/51秒差 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ)ステージ4位/51秒差 ステフェン・クライスヴァイク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:Luca Bettini

ステージ5位 ミカル・クウィアトコウスキー(ポーランド、チームスカイ)

今日はステージ優勝だけを狙って走った。第1計測通過の時点では良かったけど、トップタイムの更新には届かなかった。ローハン・デニスは素晴らしい走りをしたと思う。

ステージ6位&総合5位 エンリク・マス(スペイン、クイックステップフロアーズ)

スタート前から調子の良さを感じていた。気持ちも入っていたし、このアップダウンコースで総合ライバルたちからリードを奪えると自信を持っていた。このまま調子を上げながら明日からの山岳ステージを戦いたい。総合表彰台が近づいているのは事実だけど、そのことは気にせず、地に足をつけて走るよ。チームの信頼を裏切らないように戦い続ける。

ステージ13位&マイヨロホ サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)

自分の走りにはとても満足している。良い走りだったし、総合リードを広げることもできた。タイムトライアル能力の改善にずっと取り組んでいるので、今日のレースに不安はなかった。不安どころか、楽しみながら走ることができた。

でもまだ総合争いは終わっていない。3つの山頂フィニッシュが残っているし、マドリードはまだまだ遠くに感じる。総合ライバルたちとのタイム差はまだ小さく、苦しい戦いを強いられる日も来ると思う。ジロで失速した原因もまだつかめていないし、バッドデーがやってこないことを願うばかり。世界選手権も視野に入れているので、このブエルタの期間中に調子を上げる作戦が今のところ上手く進んでいる。攻撃は最大の防御であり、明日からもチャンスがあれば攻撃を仕掛けたい。

マイヨロホのリード拡大に成功したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)マイヨロホのリード拡大に成功したサイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji

ステージ14位&総合8位 ヨン・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)

調子の良さを結果につなげることができたと思う。総合順位を上げる良い走りは明日以降の戦いの自信になる。開幕からすでに16ステージを走って疲労は溜まっているけど、明日は地元バスクを走るステージ。最後の1級山岳(バルコン・デ・ビスカヤ峠)を試走して感じたのは、タイム差がつく登りだということ。今日のタイムトライアルの疲労からいかに回復するかが鍵になる。

ステージ15位&総合2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

走りの感触は悪くなかった。前半から飛ばしてしまったので、後半の向かい風区間で少し苦しむことになってしまった。でも残り数キロにかけてペースを上げて、タイムを挽回することができたと思う。イェーツ、マス、クライスヴァイクからタイムを失ったものの、全体的に見て良い走りだった。

まだ自分がモビスターの単独リーダーであるとは言えない。確かにイェーツに近いのは自分だけど、ナイロ(キンタナ)もそう遠くないポジションにつけている。モビスターのチーム力と、2人で総合上位に残っている状況を利用して、マイヨロホを狙い続けたい。明日のバルコン・デ・ビスカヤ峠は破壊力のある登りであり、自分よりもイェーツ向きだと思う。総合上位陣が総攻撃を仕掛ける展開になると思うけど、現状イェーツが最も強いのは間違いない。個人的には、すでにこのブエルタでの目標を達成しているので、仮にどこかで大崩れしても満足度は変わらない。

ステージ15位/1分35秒差 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)ステージ15位/1分35秒差 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Luca Bettini

ステージ26位&総合4位 ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

自分の脚質(クライマー)を考えると、タイムロスを最小限に抑えることができたと思う。タイムを失うことは想定済みで、問題はどれだけタイムロスを少なくするかだった。今日失ったタイムを挽回する戦いが待っている。残る3つの山頂フィニッシュのうち、明日のバルコン・デ・ビスカヤ峠が大きな鍵を握っている。タイムトライアルで出し切った脚をどこまで回復できるかがレース展開に大きく影響する。もちろん脚は疲れているけど戦い続ける。バルベルデがコンディションをキープしているのはチームにとって重要なこと。依然として総合上位に2人を揃えている強みを生かして戦うよ。

ステージ31位&総合6位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)

最善を尽くした。まだ総合上位に残っているし、明日とアンドラの2つのステージは挽回のチャンス。3つの山頂フィニッシュで一か八かの攻撃を仕掛けたい。

ステージ31位/2分19秒差 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)ステージ31位/2分19秒差 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Luca Bettini


text:Kei Tsuji in Torrelavega, Spain

最新ニュース(全ジャンル)