イタリアの首都ローマの街中を走るジロ・デ・イタリア最終ステージでサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)が今大会3度目の集団スプリント制覇。クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)が総合首位を守り、イギリス人初の栄冠を手にするとともに3連続グランツール制覇を達成した。


コロッセオを通過する選手たちコロッセオを通過する選手たち photo:LaPresse
5月27日(日)第21ステージ ローマ〜ローマ 115km ☆5月27日(日)第21ステージ ローマ〜ローマ 115km ☆ photo:RCS Sport5月27日(日)第21ステージ ローマ〜ローマ 115km ☆5月27日(日)第21ステージ ローマ〜ローマ 115km ☆ photo:RCS Sport

スイス国境に近いチェルヴィニアから750kmの大移動を経て、午後3時55分、ジロ・デ・イタリア第21ステージは首都ローマをスタートした。最終日はローマ市内の名所を巡る11.5km周回コースを10周する115km。マリアローザのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を先頭に150名(ピノはリタイア)がスタートを切った。

序盤はグランツール最終日恒例のスローペースでパレード走行。30km/h強のまったりとしたスピードで、選手たちは談笑しながらコロッセオ、ヴィットリオエマヌエーレ2世記念堂、ヴェネツィア広場、クイリナーレ宮殿、バルベリーニ広場、スペイン広場(裏側)、ポポロ広場、目抜通りのコルソ通り、真実の口、チルコマッシモ、カラカラ浴場跡などの観光地を横目に進んで行く。

部分的に波打った石畳が敷かれ、街中のタイトコーナーや下りが連続するコースを危険視する声がプロトン内で上がったため、マリアローザを着るフルームが代表してその危険性をUCIコミッセールに訴えた。主催者の同意のもと、UCIコミッセールは3周回以降についたタイム差を総合成績に反映させないニュートラル措置を決定。中間スプリントとフィニッシュのポイントは争われるが、ボーナスタイムは争われないことが決まった。

ニュートラル措置決定後、4周目でこの日最初のアタックが生まれる。マッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)が真っ先にアタックを仕掛け、ここにマヌエーレ・ボアーロ(イタリア、バーレーン・メリダ)やニコ・デンツ(ドイツ、アージェードゥーゼール)らが追いついて先頭は18名。クイックステップフロアーズとEFエデュケーションファースト・ドラパックが牽引するメイン集団からは、フルームやトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)ら総合上位陣が危険回避のために脱落した。

逃げグループは45km/hを超える平均スピードを刻みながら周回をこなしたものの、スプリンターチームのコントロールにより常にタイム差は30秒以内。どれだけ遅れても総合成績には関係しないため、フルームやデュムランらを含む集団は3分、5分、10分と遅れて行った。

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂を通過するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂を通過するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:LaPresse
乾杯するマリアローザのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)乾杯するマリアローザのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:LaPresse
アタックの口火を切ったマッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)アタックの口火を切ったマッズウルス・シュミット(デンマーク、カチューシャ・アルペシン)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) photo:Kei Tsuji
クイックステップフロアーズを先頭に周回をこなすクイックステップフロアーズを先頭に周回をこなす photo:Kei Tsuji
ポポロ広場を通過するプロトンポポロ広場を通過するプロトン photo:LaPresse
コロッセオを通過するプロトンコロッセオを通過するプロトン photo:LaPresse
先頭で粘り強く逃げ続けたクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)とビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)も残り13km地点で吸収され、スプリンターチーム率いる約70名の集団が最終周回に突入する。

残り9km地点でトニー・マルティン(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)、ライアン・ミューレン(アイルランド、トレック・セガフレード)、フロリアン・セネシャル(フランス、クイックステップフロアーズ)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、ロットNLユンボ)、マティア・カッタネオ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)がアタックして先行を開始。セネシェルを逃げに送り込んだクイックステップフロアーズは一旦下がり、ボーラ・ハンスグローエがこの動きを封じ込めにかかる。

マルティンらは残り3.5km地点で吸収され、集団はさらにスピードを上げてフィニッシュへ。最も人数を揃えて先頭を固めたのはクイックステップフロアーズで、ゼネク・スティバル(チェコ)を先頭に残り1kmアーチを通過し、そこからミケル・モルコフ(デンマーク)とファビオ・サバティーニ(イタリア)がリードアウトを引き継いだ。

残り600mでニッコロ・ボニファツィオ(イタリア、バーレーン・メリダ)を引き連れるマテイ・モホリッチ(スロベニア)が先頭に立ったものの、モルコフとサバティーニがこれを許さずに先頭を奪い返す。教科書通りのリードアウトを受けたヴィヴィアーニが残り150mから発進した。

ステージ5勝目に向かって勝ちパターンに持ち込んだヴィヴィアーニだったが、そのスリップストリームからベネットが加速する。伸びやかなスプリントを見せたベネットが先頭を奪うと、ヴィヴィアーニはフィニッシュ手前でペダリングを止めた。

逃げ続けるビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)とクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット)逃げ続けるビアチェスラフ・クズネツォフ(ロシア、カチューシャ・アルペシン)とクリストファー・ユールイェンセン(デンマーク、ミッチェルトン・スコット) photo:Kei Tsuji
集団内で周回をこなすクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)集団内で周回をこなすクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)とトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ) photo:Kei Tsuji
ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂を通過するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂を通過するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら photo:Kei Tsuji
コロッセオを背にサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がスプリントコロッセオを背にサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)がスプリント photo:Kei Tsuji
ステージ3勝目をマークしたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)ステージ3勝目をマークしたサム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji
グランツール最終日という特別なチャンスをつかみ、今大会ステージ3勝目を射止めたベネット。「昨日までの疲労で今朝起きた時は脚が死んだように重かった。とてもステージ優勝を想像できるような状態ではなかったけど、レースを走っているうちに脚が回り始めたんだ。勝つための精神を保ち、チームメイトをがっかりさせたくない気持ちで位置取り。二段階加速するヴィヴィアーニに勝つために、スプリントの開始をできるだけ待った」と、勝利の秘訣を語る。ヴィヴィアーニは敗れたものの、ステージ4勝という記録を残すとともに、マリアチクラミーノをキープしている。

「周回コースを走り始めてすぐ、多くの選手が自分のところにやってきて、どうすれば安全にレースできるかを話し合った。(ニュートラル措置は)大勢の観客たちが期待するスプリンターたちの戦いを邪魔しない判断だった。ローマの雰囲気は最高だった」と、チームメイトに囲まれながら先頭から16分以上遅れてフィニッシュし、表彰台でマリアローザとトロフェオセンツァフィーネを受け取ったフルームは語る。

「1週間前、マリアローザを着てローマを凱旋している姿は想像できなかった。今までも総合タイム差3分をひっくり返したことはあったけど、とても非現実的に思えた。だから今こうしてマリアローザを着ていることが夢のようにも思える。この勝利を妻と、8月に生まれてくる娘に捧げたい」。

前年度覇者のトム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)と、マリアビアンカ獲得のミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)とともに総合表彰台に上ったフルーム。イギリス人選手による初のジロ制覇。フルームはグランツール全制覇を果たした7人目の選手となり、さらに2017年のツール・ド・フランスから負けなしのグランツール3連勝を果たした。フルームはマリアアッズーラも同時に手にしている。

フルームを囲んでフィニッシュするチームスカイフルームを囲んでフィニッシュするチームスカイ photo:LaPresse
総合2位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、総合1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、総合3位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)総合2位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)、総合1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)、総合3位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
ジロ総合優勝を果たしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ジロ総合優勝を果たしたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:LaPresse
マリアチクラミーノを獲得したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)マリアチクラミーノを獲得したエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ) photo:Kei Tsujiマリアビアンカを獲得したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)マリアビアンカを獲得したミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:Kei Tsuji
マリアアッズーラはクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の手にマリアアッズーラはクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)の手に photo:Kei Tsujiマリアローザを着てローマの街を見下ろすクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)マリアローザを着てローマの街を見下ろすクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:LaPresse

ジロ・デ・イタリア2018第21ステージ結果
1位サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)2:50:49
2位エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
3位ジャンピエール・ドリュケール(ルクセンブルク、BMCレーシング)
4位バティスト・プランカールト(ベルギー、カチューシャ・アルペシン)
5位マヌエル・ベレッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)
6位サーシャ・モードロ(イタリア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
7位クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、アージェードゥーゼール)
8位パオロ・シミオン(イタリア、バルディアーニCSF)
9位ファビオ・サバティーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)
10位ヤン・ポランツェ(スロベニア、UAEチームエミレーツ
マリアローザ 個人総合成績
1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)89:02:39
2位トム・デュムラン(オランダ、サンウェブ)0:00:46
3位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)0:04:57
4位リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)0:05:44
5位ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、バーレーン・メリダ)0:08:03
6位ペリョ・ビルバオ(スペイン、アスタナ)0:11:50
7位パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・ハンスグローエ)0:13:01
8位ジョージ・ベネット(ニュージーランド、ロットNLユンボ)0:13:17
9位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:14:18
10位ダヴィデ・フォルモロ(イタリア、ボーラ・ハンスグローエ)0:15:16
マリアチクラミーノ ポイント賞
1位エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)341pts
2位サム・ベネット(アイルランド、ボーラ・ハンスグローエ)282pts
3位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)147pts
マリアアッズーラ 山岳賞
1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)125pts
2位ジュリオ・チッコーネ(イタリア、バルディアーニCSF)108pts
3位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)91pts
マリアビアンカ ヤングライダー賞
1位ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)89:07:36
2位リチャル・カラパス(エクアドル、モビスター)0:00:47
3位サム・オーメン(オランダ、サンウェブ)0:09:21
チーム総合成績
1位チームスカイ267:48:47
2位アスタナ0:24:58
3位ボーラ・ハンスグローエ0:43:32
中間スプリント賞
1位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)114pts
2位マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)77pts
3位エウゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ)46pts
逃げ賞
1位マルコ・フラッポルティ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)640km
2位エンリーコ・バルビン(イタリア、バルディアーニCSF)502km
3位エルゲルト・ズパ(アルバニア、ウィリエール・トリエスティーナ)481km
総合敢闘賞
1位ダヴィデ・バッレリーニ(イタリア、アンドローニジョカトリ・シデルメク)67pts
2位エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、クイックステップフロアーズ)59pts
3位サイモン・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)54pts
フェアプレー賞
1位ロットNLユンボ
2位アージェードゥーゼール
3位バルディアーニCSF
text:Kei Tsuji in Rome, Italy