5月19日(土)と20日(日)の2日間に渡って、長野県の木島平村で「2days race in 木島平村」が開催された。2日間計3ステージで争われたレースの内容と、主催者がこのレースを通して伝えたいメッセージをレポートする。



適度なアップダウンのあるコース適度なアップダウンのあるコース photo:Itaru Mitsui
5月20日に日本最大のステージレースであるツアー・オブ・ジャパンが大阪で開幕した裏で、長野県の木島平村ではアマチュアレーサーをターゲットとしたステージレースが開催された。

会場は長野県北部に位置する木島平村にあるローラースキー場。1周3.4kmで適度なアップダウンのあるコースだ。

レース形式は2日間で3ステージを走り、3ステージの合計タイムで争われる。初日はステージ1aとしてコースを2周する個人タイムトライアルと、ステージ1bとしてコースを24周する合計81.6kmのロードレースで、2日目はステージ2としてコースを38周する合計129.2kmのロードレースでステージが構成される。また、2日目のステージ2の前にはコンソレーションレース、通称「残念レース」が開催される。前日のステージ1bを完走できなかったとしても、2日間しっかり走れるよう主催者がレースを運営しているのもこのレースの伝統だ。

初日は非常に寒い中でのレースとなった初日は非常に寒い中でのレースとなった photo:Itaru Mitsuiタイム差によってはすれ違いも発生るタイム差によってはすれ違いも発生る photo:Itaru Mitsui

このレースに参加できるのはクラブチームの選手や学連で走る選手、同時期に開催されるUCIレースに出場しないコンチネンタルチームの選手達だ。主催者の想定レベルはJBCFのE2カテゴリー以上であり、そのレベルに合わせたレースプログラムが組まれている。1チームあたりの選手は5名とされているがが、他チームから選手をレンタルして参加することも認められている。その際は上半身のジャージのみ統一することが義務だ。

そして、この大会は全日本選手権への出場資格が獲得できる対象のレースとなっており、総合順位でエリートとアンダー23カテゴリーの選手は3位まで、ジュニアカテゴリーの選手は10位までに入れば、来年の全日本選手権に出場する権利を獲得することができる。さらに、ツール・ド・熊野のワイルドカード枠の選考レースでもあり、アマチュアレーサーでは出場すら難しいレースへの出場資格を獲得できることも大会の特徴の1つである。

バイクからボトルを補給するために手を伸ばす選手バイクからボトルを補給するために手を伸ばす選手 photo:Itaru Mitsui
昨年との変更点は、ロードレースのスタート方法およびレースのボトルの補給方法である。これまでは、各賞のジャージを保有する選手以外は特に並び順に指定はなかったが、今年はタイムトライアルの結果をもとにグループ分けを行い、それぞれのグループでローリングをしながら隊列を1列に近づけていく方法でスタートする形が取られた。

また、ボトルの補給も昨年までは指定周回での路上からチームスタッフによる補給のみだったが、今年は集団後方を走る補給用のバイクからボトルを受け取る方法が追加された。レースディレクターの藤森氏が海外のレースにより近づけることを目的に導入したものだ。



リーダージャージが落車でまさかのリタイア

ステージ1aで一番時計を出した松下綾馬(京都産業大学)ステージ1aで一番時計を出した松下綾馬(京都産業大学) photo:Itaru Mitsuiステージ1aで2位となった香西真介(FIETS GROEN日本ロボティクス)ステージ1aで2位となった香西真介(FIETS GROEN日本ロボティクス) photo:Itaru Mitsui

ステージ1aの個人タイムトライアルは時折雨もぱらつき、前日までの暖かさとは一変した非常に寒い中で行われた。

序盤、中里仁(Wednesday racing)が9分58秒台のタイムを出して暫定トップの証であるホットシートに座るが、佐藤文彦(ロードレース男子部)や香西真介(FIETS GROEN日本ロボティクス)が9分47秒台のタイムを出してトップタイムを更新する。

その後、終盤まで香西のタイムを更新する選手は現れなかったが、昨年のインカレ男子個人追い抜きを制した松下綾馬(京都産業大学)が9分41秒台のタイムを出してステージ優勝した。松下は「チームメイトにも力があるので、チームでリーダージャージを守っていきたい」とコメント。

ステージ1b 落車の傷が痛々しいリーダージャージの松下綾馬(京都産業大学)ステージ1b 落車の傷が痛々しいリーダージャージの松下綾馬(京都産業大学) photo:Itaru Mitsuiステージ1b 中盤から逃げ続けた先頭の5名ステージ1b 中盤から逃げ続けた先頭の5名 photo:Itaru Mitsui

続くステージ1bでは、リアルスタートしてすぐにリーダージャージを着る松下が落車で遅れ、その後リタイアするという波乱が起きる。その後レースはアタックと吸収を繰り返しながら進行。レース中盤、中里のアタックをきっかけに5名の先頭集団が形成され、少しずつタイム差を広げていく。メイン集団は、雨が降り始めて気温も10度近くまで下がる厳しいコンディションとパンクなどのトラブルも重なって徐々に人数を減らしていく。

ステージ1b ゴールスプリントを制した中村龍太郎(イナーメ)ステージ1b ゴールスプリントを制した中村龍太郎(イナーメ) photo:Itaru Mitsui先頭集団はメンバーの脚が揃っていたことも幸いし、最終的にメイン集団に26秒の差をつけてそのまま逃げ切り。最後は中里とのスプリントを制した中村龍太郎(イナーメ)がステージ優勝。ステージ1aで4位の野口悠真(FIETS GROEN日本ロボティック)が総合トップに立ってリーダージャージに袖を通した。

ステージ優勝した中村は「脚の揃ったメンバーでしっかりローテーションを回せたことが大きかった。最後は頭を使ってコーナーのイン側からスプリント出来たことが勝因だと思う。」とコメントした。



終盤に先頭集団から抜け出した松島が独走でステージ優勝

2日目は天候に恵まれた中でのレースとなった2日目は天候に恵まれた中でのレースとなった photo:Itaru Mitsui
2日目のステージ2は風はあるものの好天に恵まれる中でのレースとなった。

序盤から数秒のタイム差を逆転しようとする選手や逃げ切りでステージ優勝したい選手たちによるアタック合戦が行われ、5秒差で総合3位につける中里を含む11名の先頭集団が形成される。メイン集団との差は1分まで開き、中里がバーチャルリーダーに。しかしこの逃げはレース中盤に吸収され、新たに10名以上の選手が飛び出す。さらに、4秒差で総合2位につける中村が単独でブリッジをかけて先頭集団に合流する。

ステージ2 レース後半に形成されて最後まで逃げ切った先頭集団ステージ2 レース後半に形成されて最後まで逃げ切った先頭集団 photo:Itaru Mitsuiステージ2 リーダージャージを着るチームメイトのためにメイン集団を牽引する高橋伸成(FIETS GROEN日本ロボティクス)ステージ2 リーダージャージを着るチームメイトのためにメイン集団を牽引する高橋伸成(FIETS GROEN日本ロボティクス) photo:Itaru Mitsui

ステージ2 優勝した松島拓人(なるしまフレンドレーシングチーム)ステージ2 優勝した松島拓人(なるしまフレンドレーシングチーム) photo:Itaru Mitsui
レース終盤、リーダージャージを着る野口のチームメイトがメイン集団を牽引するが、タイム差は2分以上に開く。先頭集団の逃げ切りが見えてきた頃、松島拓人(なるしまフレンドレーシングチーム)が飛び出して独走。そのまま逃げ切り、ステージ2を制した。後続集団とのタイム差によっては松島に総合優勝の可能性もあったが、中村を含む集団が16秒差まで縮めてゴール。この結果、中村の総合優勝が決まった。

2days Race In木島平村 個人総合表彰式2days Race In木島平村 個人総合表彰式 photo:Itaru Mitsui各賞のジャージを獲得した4選手各賞のジャージを獲得した4選手 photo:Itaru Mitsui

ステージ優勝した松島は「行くしかないと思って全力で踏み続けた。総合順位も狙っていて、最終的に2位まで上げることができ、とてもうれしい」とコメント。

総合優勝した中村は「先頭集団へブリッジを仕掛けた時に、リーダージャージの野口選手や1秒差の中里選手をメイン集団に残せたことが大きかった。終盤で松島選手が飛び出してタイム差が広がった時は焦ったが、最後はリーダージャージを獲得することができ、ほっとしている。」とコメントした。



落車を減らし、安全な競争ができるレースを運営するために

国内外のUCIレースでコミッセールを担当し、今大会ではレースディレクターを務める藤森信行さんからお話を伺った。

レースディレクターの藤森さん(右側)レースディレクターの藤森さん(右側) photo:Itaru Mitsui「日本のレースでは落車で骨折したとしても骨折で済んでよかったという話や、転んで走り方を覚えるものという話をする関係者がいます。しかし、一般的には骨折は重傷であり、転ばない走り方を身につけるべきだと私は考えています。また、力の差がある選手同士が同じ集団で走ると、技量の差から落車が発生しやすくなり、大きな事故につながる可能性があります。

そのため、今大会では個人タイムトライアルのタイムが近ければ技量も近いであろうと想定し、ステージ1aの結果からステージ1bのスタート位置を4つのグループに分け、ローリングスタートで各グループを一列に伸ばしながら集団を一つにしてリアルスタートを切る方法を取りました。その結果、今大会では救急車が呼ばれるような大きな落車は発生せず、安全なレースが運営できたと思っております。

グループを分けてローリングしながら徐々に隊列を 伸ばしていくグループを分けてローリングしながら徐々に隊列を 伸ばしていく photo:Itaru Mitsui自転車学校で実技を練習する高校生たち自転車学校で実技を練習する高校生たち photo:Itaru Mitsui

海外では小さい頃から自転車に乗る練習を積んでいます。しかし、日本では高校生や大学生、さらには社会人になってからレースに出る選手がほとんどで、基礎的な技術を身につけずにレースを走っているケースも多く見られます。そのため、今大会では地元の高校生向けに自転車学校という形で講習会を開き、選手へ基礎的な技術の大切さを実技含めて教える機会を作りました。

「地元の部」でタイムトライアルに挑戦する中学生「地元の部」でタイムトライアルに挑戦する中学生 photo:Itaru Mitsuiまた、チームカーも海外では15歳ぐらいの選手が出るレースから運用されています。しかし、日本のレースでチームカーが運用されるようなレースはほとんど無く、アマチュアレーサーでチームカーが運用されるようなレースを経験できることはほとんどないでしょう。そのため、アマチュアレーサーも走りながら車両からボトルを補給する経験が積めるように、今年からボトル補給用のバイクをレースに導入しました。実際にレース中に選手がバイクからボトルを補給してくれて、本当に良かったと思います」



地元選手が走れる場の提供や、レース終了から表彰式開始までの早さ、1日に開けるシャンパンの本数、毛皮といったユニークな副賞など、他の大会にはない取り組みをこれまで実行してきた「2days race in 木島平村」。他のレースでは経験できない貴重な経験を積むためにも、来年の出場を是非検討して頂きたい大会だ。

大会期間中、ある審判から若手の審判が足りていないというお話を伺った。特にバイクで移動しながら審判業務を行うモトコミッセールができる人材が不足していると言う。モトコミッセールはレースを最も近い距離から見守れる位置にいる。もしレースの運営に興味があれば、審判資格やバイクの免許を取得して、モトコミッセールを目指してみてはいかがだろうか。
2days race in 木島平村 2018結果
1位中村龍太郎(イナーメ)5時間27分06秒
2位松島拓人(なるしまフレンドレーシングチーム)+17秒
3位水野貴行(FIETS GROEN日本ロボティクス)+32秒
4位加藤淳一(Team 光)+42秒
5位西谷雅史(Wednesday racing)+46秒
6位小出樹(京都産業大学)+47秒
スプリント賞
1位中里仁(Wednesday racing)
U-23賞
1位小出樹(京都産業大学)
O-40
1位加藤淳一(Team 光)
text&photo:Itaru Mitsui
edit:Satoru Kato
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