ラグナ・セカサーキットにゴールするカリフォルニア第3ステージで逃げが決まる。スプリンターの追い上げを抑えたトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)が大会3勝目を飾った。



スタート前のインタビューに答えるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)スタート前のインタビューに答えるペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)Amgen Tour of Californiaファンの声援に応えるマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン)ファンの声援に応えるマルセル・キッテル(ドイツ、カチューシャ・アルペシン) (c)Amgen Tour of California


山岳バトル翌日のツアー・オブ・カリフォルニア(UCIワールドツアー)第3ステージは、逃げ切りの可能性を秘めたアップダウンコースが用意された。キングシティから「乾いた内海」を意味するラグナ・セカサーキット(正式名称ウェザーテック・レースウェイ・ラグナ・セカ)を目指す197kmのロングコース後半には2級、2級、2級、3級と山岳ポイントが集中しており、最後はサーキットのホームストレートにフィニッシュする。

この日も積極的に動いたのはアメリカのプロコンチームだった。ラリーサイクリングは昨年逃げ切りで2勝を挙げたエヴァン・ホフマン(アメリカ)とロビン・カーペンター(アメリカ)を送り込み、イアン・ガリソン(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン)もジョイン。チームスカイ率いる集団が、最大5分差まで広がった3人のリードを徐々に削りながらレースが進んでいった。

逃げグループ内ではホフマンが山岳ポイント1位通過を重ねたが、ダウンヒル中にチェーンを落とし、復帰に手間取ったことで脱落。カーペンターもペースが合わずに遅れ、メイン集団から単独抜け出したローソン・クラドック(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)は先頭に残ったガリソンに届かず引き戻されている。

序盤に逃げたエヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング)序盤に逃げたエヴァン・ホフマン(アメリカ、ラリーサイクリング) (c)Amgen Tour of Californiaゴールドカラーのバイクを駆るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)ゴールドカラーのバイクを駆るペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) (c)Amgen Tour of California

メイン集団ではチームスカイが前方を固めるメイン集団ではチームスカイが前方を固める (c)Amgen Tour of California
アップダウンが集団からのアタックを誘発し、この日3つ目のKOM「カチャグア・ロードサミット(登坂距離3km、平均勾配7.6%)」ではトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)とローガン・オーウェン(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)が抜け出しに成功する。2名はガリソンを捉えたが、この時既に集団が背後に迫っていた。

吸収を嫌い加速したスクインシュが単独となり、メイン集団からはシーン・ベネット(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン)が合流に成功する。2名を見送った集団は状況を落ち着かせるべく瞬間的にペースを緩めた。

集団内で走るエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)集団内で走るエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) (c)Amgen Tour of California
こうしてベネットとスクインシュは、追撃したアナス・エイトエルアブディア(モロッコ、UAEチームエミレーツ)とアレックス・ハウズ(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)を振り切って逃げを開始。リードは最大25秒までしか広がらなかったが、協調体制を組む二人は強力だった。

メイン集団はラグナ・セカに進入する登り勾配で一気に人数が減り、スプリンターチームのアシストがほとんど遅れたことも手伝ってペースを上げられない。お見合いでペースを落とすペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)たちを尻目に、スクインシュがやや抜け出す形で15m近くの高低差を下るS字シケイン「コークスクリュー」前のコース最高標高地点をクリアした。

長いガッツポーズで勝利を喜ぶトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)長いガッツポーズで勝利を喜ぶトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) (c)Amgen Tour of California
8秒届かなかった集団の先頭はカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が抑える8秒届かなかった集団の先頭はカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が抑える (c)Amgen Tour of California元所属チームの選手と勝利を喜ぶトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード)元所属チームの選手と勝利を喜ぶトームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) (c)Amgen Tour of California


ハンドルに顔を埋めるように下りを飛ばしたスクインシュは、独走で最終コーナーを抜け、ベネットの位置を確認して長い長いガッツポーズを披露。落車による脳震盪で昨年大会をリタイアした26歳が、2015年、2016年に続く3度目の逃げ切りを成功させた。

「残り300mでようやく勝利を確信した。集団から誰かが追いかけてくると思っていたけれど、ハイペースが祟ったんだと思う。過去大会で同じコースを走っていたことが味方になったよ。どう攻略すれば良いのか理解していたんだ」とスクインシュは勝利を喜ぶ。

8秒後にフィニッシュラインにやってきた集団の先頭はカレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)が獲り、2年前の同コースで勝ったサガンはユアンに次ぐステージ4位に。エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)やアダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)がその後ろでなだれ込み、総合上位に大きな変動は生まれなかった。

ステージトップスリーが表彰台に並ぶステージトップスリーが表彰台に並ぶ (c)Amgen Tour of Californiaリーダージャージはエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がキープリーダージャージはエガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)がキープ (c)Amgen Tour of California

ステージ結果
1位 トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 4h52’47”
2位 シーン・ベネット(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン) +03”
3位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) +08”
4位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ)
5位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ)
6位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット)
7位 アレックス・ハウズ(アメリカ、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
8位 トムイェルト・スラフテル(オランダ、ディメンションデータ)
9位 ブレント・ブックウォルター(アメリカ、BMCレーシング)
10位 ウィリアム・バルタ(アメリカ、ハーゲンスベルマン・アクセオン)
個人総合成績
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) 12h09’08”
2位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) +25”
3位 アダム・イェーツ(イギリス、ミッチェルトン・スコット) +31”
4位 アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ) +40”
5位 クリスティアン・デュラセク(クロアチア、UAEチームエミレーツ)
6位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
7位 マティアス・フランク(スイス、アージェードゥーゼル) +50”
8位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング) +1’00”
9位 ルーベン・ゲレイロ(ポルトガル、トレック・セガフレード) +1’11”
10位 ローレンス・デプルス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) +1’14”
ポイント賞
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) 21pts
2位 カレブ・ユアン(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット) 21pts
3位 ペテル・サガン(スロバキア、ボーラ・ハンスグローエ) 16pts
山岳賞
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) 15pts
2位 トームス・スクインシュ(ラトビア、トレック・セガフレード) 13pts
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、ボーラ・ハンスグローエ) 13pts
ヤングライダー賞
1位 エガン・ベルナル(コロンビア、チームスカイ) 12h09’08”
2位 アントワン・トルホーク(オランダ、ロットNLユンボ) +40”
3位 ダニエル・マルティネス(コロンビア、EFエデュケーションファースト・ドラパック)
チーム総合成績
1位 トレック・セガフレード 36h32’66”
2位 チームスカイ +2’21”
3位 BMCレーシング +2’26”
text:So.Isobe
photo:Amgen Tour of California

最新ニュース(全ジャンル)