アスタナがグリーンマウンテンでライバルたちを圧倒。ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)がツアー・オブ・オマーン第5ステージを制し、チームメイトでステージ2位のアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)が大会制覇に王手をかけた。


オマーン内陸の山岳地帯を走るオマーン内陸の山岳地帯を走る photo:A.S.O.

ツアー・オブ・オマーン2018第5ステージツアー・オブ・オマーン2018第5ステージ photo:A.S.O.気温35度のオマーン内陸部で繰り広げられた総合争い。第5ステージのKOMグリーンマウンテン(正式名称ジャバル・アル・アクダル)山頂フィニッシュは登坂距離5.7km/平均勾配10.2%という難易度で、ここで実質的な総合優勝者が決まる。

大会最大のクイーンステージで逃げたのは6名。マルコ・マルカート(イタリア、UAEチームエミレーツ)とベンジャミン・デクレルク(ベルギー、スポートフラーンデレン)、ピム・リヒハルト(オランダ、ルームポット)、ニコラス・シュルツ(オーストラリア、カハルーラル)、ロビン・カーペンター(アメリカ、ラリーサイクリング)、アダム・デヴォス(カナダ、ラリーサイクリング)が最大5分リードを築くことに成功する。アスタナやバーレーン・メリダがメイン集団を牽引すると、逃げグループとのタイム差は緩やかに、確実に縮小した。

メイン集団から1分50秒リードのままKOMグリーンマウンテンの登坂を開始した逃げグループ。標高1,235mの頂上に向かって延々と10%オーバーが続く登りでマルカートが仕掛けたものの、やがてはカーペンターが先頭を奪う。ハイペースで登りを進むメイン集団からはリーダージャージのグレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング)が早々に脱落した。ヴァンアーヴェルマートは2分20秒遅れでフィニッシュに辿り着いている。

メイン集団はアスタナとバーレーン・メリダが牽引するメイン集団はアスタナとバーレーン・メリダが牽引する photo:A.S.O.
メイン集団をコントロールするバーレーン・メリダやアスタナメイン集団をコントロールするバーレーン・メリダやアスタナ photo:A.S.O.リードを保ったままグリーンマウンテンに向かう逃げグループリードを保ったままグリーンマウンテンに向かう逃げグループ photo:A.S.O.

先頭でペースを崩さずに走り続けた25歳のカーペンターだったが、登りの中腹でついにメイン集団の視界に入る。頂上まで2km地点でカーペンターが吸収されると、レースはアスタナの支配下に置かれた。

ヤン・ヒルト(チェコ)がミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア)とアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン)を引き連れる形で先頭へ。このアスタナ三人衆に唯一食らいついたゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ)もやがては遅れてしまう。アシストとして力を使い切ったヒルトが遅れ、先頭ではロペスとルツェンコの二人旅に。ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス)がイサギレを抜いて3番手に浮上したが、アスタナコンビには追いつかなかった。

ヤングライダー賞ジャージを着るロペスが先頭でフィニッシュし、タイム差なく2位フィニッシュしたルツェンコと手を取り合って喜ぶ。アスタナがワンツー勝利。エラダが12秒差、イサギレが15秒差、そしてネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン)が22秒差でフィニッシュした。STRAVAログによると、ルツェンコは19分35秒かけてKOMグリーンマウンテンを登頂。平均414Wを出力し、平均勾配10.2%の登りを平均16.9km/hで駆け上がっている。

先頭で逃げ続けたロビン・カーペンター(アメリカ、ラリーサイクリング)先頭で逃げ続けたロビン・カーペンター(アメリカ、ラリーサイクリング) photo:A.S.O.
ワンツー勝利を喜ぶアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ)ワンツー勝利を喜ぶアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)とミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) photo:A.S.O.

「チームにとって最高の1日になった。グリーンマウンテンでは誰もアタックすることができないペースを作り、作戦通りそのままルツェンコと先行。スーパーハードな登りだったけど調子が良く、脚が良く回ったんだ。作戦をやり遂げることができてよかった」と、今シーズン初勝利を飾った24歳のコロンビアンクライマーは語る。2016年のツール・ド・スイスで総合優勝を飾るとともに、2017年ブエルタ・ア・エスパーニャを総合8位で終えているロペスは、ファビオ・アル(イタリア)が去ったカザフスタンチームでグランツールのエースを担う存在だ。

「まずはチームに感謝したい」と語るのはリーダージャージを獲得したルツェンコ。ロペスと同じ25歳のルツェンコは第2ステージと第3ステージで3位に入っており、積み重ねたボーナスタイムによって総合優勝に王手をかけた。「スタルノフやカンゲルト、フライレ、そして昨日のステージ優勝者コルトニールセンが0km地点から献身的な走りを見せ、最後はヒルトの完璧なペースメイクからロペスと一緒に飛び出した。今日ロペスが最強だったことは間違いない」。

クイーンステージを終えてアスタナが総合でもワンツー体制を築き、ロペスがヤングライダー賞ランキングの首位を快走中。ステージ2勝目を飾ったアスタナはチーム総合成績でもトップだ。

最終日を前に総合首位に立ったアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)最終日を前に総合首位に立ったアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) photo:A.S.O.
ツアー・オブ・オマーン2018第5ステージ
1位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 3:43:58
2位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)
3位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 0:00:12
4位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:15
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 0:00:22
6位 ピーター・ステティーナ(アメリカ、トレック・セガフレード) 0:00:25
7位 ダニエル・ピアソン(イギリス、アクアブルースポート) 0:00:33
8位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:00:43
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、BMCレーシング) 0:00:47
10位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 0:00:49
個人総合成績
1位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 19:38:21
2位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 0:00:11
3位 ゴルカ・イサギレ(スペイン、バーレーン・メリダ) 0:00:28
4位 ヘスス・エラダ(スペイン、コフィディス) 0:00:30
5位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 0:00:32
6位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップフロアーズ) 0:01:05
7位 ダニエル・ナバーロ(スペイン、コフィディス) 0:01:14
8位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール) 0:01:24
9位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 0:01:29
10位 ルイ・コスタ(ポルトガル、UAEチームエミレーツ) 0:01:37
ポイント賞
1位 グレッグ・ヴァンアーヴェルマート(ベルギー、BMCレーシング) 34pts
2位 ネイサン・ハース(オーストラリア、カチューシャ・アルペシン) 32pts
3位 アレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) 32pts
ヤングライダー賞
1位 ミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア、アスタナ) 19:38:32
2位 オドクリスティアン・エイキング(ノルウェー、ワンティ・グループゴベール) 0:01:13
3位 メルハウィ・クドゥス(エリトリア、ディメンションデータ) 0:01:18
チーム総合成績
1位 アスタナ 58:58:59
2位 バーレーン・メリダ 0:00:58
3位 コフィディス 0:01:07