12月9日と10日の2日間、長野県の野辺山高原で第23回シクロクロス全日本選手権が開催される。寒さ厳しい滝沢牧場で繰り広げられる日本一決定戦のコースや天気、注目選手をチェックしておこう。


雪で白く染まったフィニッシュストレート雪で白く染まったフィニッシュストレート photo:Kei Tsuji
高原の牧場を最大限活用した2.9kmのパワーコース

シクロクロス全日本選手権2017コースシクロクロス全日本選手権2017コース image:JCF長野県南佐久郡南牧村野辺山にある滝沢牧場を舞台に、2017年のシクロクロス日本一を決める大会が開催される。日本のシクロクロス界を牽引する存在である野辺山で全日本選手権が開催されるのはこれが初めて。

スタートとフィニッシュの位置は、2週間前に同じ滝沢牧場で開催されたUCIレースのRaphaスーパークロス野辺山と同じ。交通規制した一般道をスタートし、長い舗装路の登りやバギーコース、泥エリア、芝エリア、キャンプ場、フライオーバー(立体交差)を越えていく。構成する要素に大きな変更はないが、舗装路が二分割されるなどレイアウトの変更は有り。フライオーバーの登りは階段からスロープに変更されている。

土曜日にはJCFレースとして開催されるマスターズの他、AJOCCレースのC4やシングルスピード選手権も開催される。日曜日のみ、コースが八ヶ岳側の牧草地まで約600m延長。コース長は1周2.9kmまで伸び、よりパワーが必要なコースに進化している。

レースディレクターとしてコースをデザインした矢野大介氏は「(Raphaスーパークロス野辺山と比べて)技術によって細かい差がつく箇所を追加しています。例えば、両側がスロープになったフライオーバーは今までよりスピードを出してクリアできるので、その先にある段差の処理が大事になる。跳ぶのと跳ばないのとで差がつくような溝や段差もあります。それでいてパワーがさらに求められ、距離が長くなったのでスピードも必要になる。ダブルピットでありながら周回の中で距離のバランスが偏っているので、チームスタッフを含めた動きやピット戦略も大事になる」と、よりテクニカルで総合力を問うコースを説明する。

金曜日の昼から雪が降ったため、設営が完了したコースは一面真っ白な雪に覆われた(午後9時現在積雪5cmほど)、夜にかけて降り続く予報が出ているため、土曜日は泥ではなく雪との戦いになる可能性が高い。

なお、土曜日は最高気温1度/最低気温マイナス8度で、日曜日は最高気温4度/最低気温マイナス4度ほど。降水確率は低いが、雪が解けた場合はシャーベット状の泥が姿を現わすだろう。最低気温が低く、太陽がコースを温めるコンディション。泥が融解と凍結を繰り返すため路面状況は読みにくい。レースの進行とともに刻々と変化する路面にいかに適応するかが勝利の鍵になりそう。

会場にはタベルナエスキーナとBUCYOコーヒー、Raphaルイゾン、地元商工会による販売など食べ物ブースも展開予定。観戦の際は寒さ対策を万全に。そして車でアクセスする方はスタッドレスタイヤならびにタイヤチェーンのご用意を。

金曜日の昼間に降り始めた雪によってコースが白くなっていく金曜日の昼間に降り始めた雪によってコースが白くなっていく photo:Kei Tsujiコースを試走する中里仁(Speedvagen Family Racing)と織田聖(弱虫ペダルサイクリング)コースを試走する中里仁(Speedvagen Family Racing)と織田聖(弱虫ペダルサイクリング) photo:Kei Tsuji
降り続く雪によって白くなっていく滝沢牧場の特設コース降り続く雪によって白くなっていく滝沢牧場の特設コース photo:Kei Tsuji



再びのタイトルを狙う沢田と竹之内と、初タイトルを狙う好調な前田と小坂

ディフェンディングチャンピオンとして野辺山にやってくる沢田時(ブリヂストンアンカー)は、今シーズンのUCIレースでまだ勝利していない。その一方で地元長野の小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)は取手、東北さがえ、マキノでUCIレース3勝を飾っている。沢田と同じ23歳の前田公平(弱虫ペダルサイクリング)は幕張で勝利し、野辺山2日目に日本勢最高位フィニッシュ。さらに前週の宇都宮で小坂を下して表彰台に上るなど、今シーズン前田は調子の良さを見せている。

タイトル奪還を目指すのは2011年から5年連続全日本チャンピオンに輝いた竹之内悠(東洋フレーム)。脚の神経の炎症によりヨーロッパ遠征で思うような成績を残せなかったが、帰国直後のRaphaスーパークロス野辺山で表彰台に上るなど勝負強さを見せつけた。

前田公平(弱虫ペダルサイクリング)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス)前田公平(弱虫ペダルサイクリング)と小坂光(宇都宮ブリッツェンシクロクロス) photo:Kei Tsuji
沢田時(ブリヂストンアンカー)沢田時(ブリヂストンアンカー) photo:Kei Tsuji竹之内悠(東洋フレーム)竹之内悠(東洋フレーム) photo:Kei Tsuji

女子エリートは今シーズンここまでのUCIレースでバトルを繰り広げている與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)と今井美穂(CO2bicycle)の対決に注目。この2人に絡んでくると見られるのは宮内佐季子(Club La.sista Offroad Team)と、怪我によって長期戦線離脱していたディフェンディングチャンピオンの坂口聖香(S-Familia)だろう。坂口は復帰戦となった前週の関西シクロクロスで勝利している。

男子U23はUCIのエリートレースで勝負に絡んでいる織田聖(弱虫ペダルサイクリング)と竹内遼(drawer THE RACING)が有力。数ヶ月ヨーロッパ遠征していた梶鉄輝(伊丹高校)もU23カテゴリー初年度だ。男子ジュニアは2週間前の野辺山で2日間バトルを繰り広げた日野泰静(松山城南高校)や村上功太郎(松山工業高校)、小島大輝(SNEL CYCLOCROSS TEAM)らが有力とみられる。

與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)と今井美穂(CO2bicycle)與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)と今井美穂(CO2bicycle) photo:Kei Tsuji前週の関西シクロクロスでレースに復帰した坂口聖香(S-Familia)前週の関西シクロクロスでレースに復帰した坂口聖香(S-Familia) photo:Kei Tsuji
12月9日(土)
時間 カテゴリー 競技時間
8:40〜9:20 AJOCC C4 30分
9:30〜10:10 JCF 男子マスターズ55-59、60-64、65+ 30分
10:30〜11:10 JCF 女子マスターズ40-49、50+ 30分
11:30〜12:20 JCF 男子マスターズ40-44、45-49、50-54 40分
13:00〜13:50 AJOCC シングルスピード選手権 40分
14:00〜16:00 オフィシャルトレーニング
12月10日(日)
時間 カテゴリー 競技時間
7:30〜8:45 オフィシャルトレーニング         
9:00〜9:50 男子ジュニア 40分
10:20〜11:20 男子U23 50分
11:30〜12:30 オフィシャルトレーニング
12:40〜13:40 女子エリート 45分
14:00〜15:10 男子エリート 60分