女子チームに続いてサンウェブがロード世界選手権男子チームタイムトライアルで優勝。最後まで6名のメンバーを残したサンウェブがBMCレーシングやチームスカイを下し、男女で二冠を達成した。
メンバー全員を残して終盤の平坦区間を走るサンウェブ photo:Kei Tsuji / TDWsport
長さ1057mのアスコイ橋を渡ってベルゲンに向かう photo:Tim de Waele / TDWsport
中盤に暫定トップに立つも8秒届かなかったBMCレーシング photo:Tim de Waele / TDWsport
前半からハイペースで飛ばしたチームスカイ photo:Tim de Waele / TDWsport
晴れ時々曇り、気温16度のベルゲンで行われたUCIチームによる男子チームタイムトライアル。先立って行われた女子チームタイムトライアルと同様に、北海に浮かぶアスコイ島のラウナンゲルからベルゲンを目指す42.5kmコースを使用する。獲得標高差550mのコースの中で注目は残り10km地点でピークを迎えるビルケルンズバッケン(長さ1.4km/平均勾配7.2%)の登り。最大勾配が10%を超えるこのビルケルンズバッケンの攻略がタイムに大きく影響した。
地元ノルウェーのUCIコンチネンタルチームから順に17チームが3分間隔でスタート。後半のUCIワールドチームの走りが始まるとトップタイムが次々に更新されていく。中でも前半から突っ込んだのはチームスカイ。ブエルタ・ア・エスパーニャを制したばかりのクリストファー・フルーム(イギリス)率いるチームスカイは第1計測(10.5km地点)でトップタイムを叩き出した。
初制覇に向けて好スタートを切ったチームスカイだったが、ビルケルンズバッケンの登りを終えた時点でオウェイン・ドゥール(イギリス)とゲラント・トーマス(イギリス)の2人を失ってしまい、第2計測(31km地点)でBMCレーシングにトップを奪われてしまう。早々に4人になったチームスカイはその後の平坦区間でペースを上げることができずに銅メダルに終わった。
旧市街の倉庫街ブリッゲンを通過するサンウェブ photo:Kei Tsuji / TDWsport
終盤の平坦区間で大きくタイムを伸ばしたサンウェブ photo:Kei Tsuji / TDWsport
メンバー4名となったチームスカイは22秒差の3位に photo:Kei Tsuji / TDWsport
タイトル奪還を目指したBMCレーシングは8秒差の2位 photo:Kei Tsuji / TDWsport
チームスカイに代わってトップに立ったBMCレーシングは第3計測(38.1km地点)でもトップタイムを更新。2年ぶり3度目の勝利に向けて順調に駒を進めたBMCレーシングだったが、チームスカイと同様に2人を失い、タイム計測の最低人数である4人での走行を強いられる。その一方で、6人を残してビルケルンズバッケンを越えたサンウェブが驚異的なペースで追い上げた。
第1計測でトップのチームスカイから10秒遅れ、第2計測でBMCレーシングから3秒遅れ、そして第3計測でBMCレーシングから4秒遅れのタイムにまとめたサンウェブが、ベルゲン市内の平坦区間で大きく挽回した。第3計測からフィニッシュまでの4.4km区間でBMCレーシングとの4秒差をひっくり返し、逆にアドバンテージを奪ってフィニッシュ。最終的にBMCレーシングを8秒、チームスカイを22秒引き離す走りで初優勝を飾った。
サンウェブの優勝タイムは47分50秒で、全体の平均スピードは53.302km/h。残り4.4kmに限定してその平均スピードを比較すると、サンウェブは52.1km/hで走っているのに対し、BMCレーシングは50.0km/h、チームスカイは49.9km/hだった。女子チームと同様に、人数を残してビルケルンズバッケンを終えたサンウェブが作戦勝ちしたと言える。「残り10km地点に登場する長い登りで崩壊しないように走ったことが結果に繋がったと思う」と、トム・デュムラン(オランダ)は勝利の秘訣を明かしている。
「女子に続いて男子チームも勝つなんてクレイジーだ。今日はメンバー全員が均一に力を尽くした。自分が長時間先頭で風を受け続けたように思われるかもしれないけど、実際は全員がスムーズにローテーションを回して走りきった。おかげでフィニッシュまで良いペースを保つことができたんだ」と、初タイトルを獲得したデュムランは語る。「予想外だけど、良い意味での予想外。良いペースだと感じながら走っていたものの、中間計測タイムはフィニッシュするまで聞かさせていなかった。最後はBMCと僅差の戦いになったものの辛うじてトップをキープ。チームとして最高のパフォーマンスを見せることができたと思う」。
最終走者クイックステップフロアーズは35秒届かず4位 photo:Kei Tsuji / TDWsport
43秒差の5位に入ったオリカ・スコット photo:Kei Tsuji / TDWsport
モビスターは1分19秒差の6位に photo:Kei Tsuji / TDWsport
1分20秒差の7位に入ったロットNLユンボ photo:Kei Tsuji / TDWsport
2016年にエティックス・クイックステップに奪われたタイトルの奪還を狙ったBMCレーシングは再び2位。ローハン・デニス(オーストラリア)は「銀メダルは残念だけど、それは世界で2番目に速いチームであるということ。サンウェブのタイムは驚きだけど、妥当な結果であるとも言える。彼らは1年を通して強さを見せていたし、今日改めてそのスピードを披露しただけだ」と勝者を称える。
優勝候補に挙げられながら後半に失速したチームスカイは銅メダル。フルームは「前半のペースをもう少し抑えるべきだったのかもしれない。そして人数を揃えて後半の登りを終えるべきだった」と敗因について述べている。「6人を揃えて登りをこなしたチームと下りで大きなタイム差がついてしまった。元々はゲラント(トーマス)を連れて登りを終える予定だったけど『ダメだ、行ってくれ』と言われたので置いていかざるをえなかった。チームスカイは最高のメンバーを揃えたものの、このチームタイムトライアルに向けてグランツールを早めに切り上げたチームには敵わなかった」。
大会連覇を狙ったクイックステップフロアーズは4位に終わり、2012年のチームタイムトライアル復活以降初めてメダルを逃している。5位にはオリカ・スコット、6位にはモビスターが続き、UCIプロコンチネンタルチームのCCCスプランディ・ポルコウィチェが8位に食い込んだ。
2位BMCレーシング、1位サンウェブ、3位チームスカイ photo:Kei Tsuji / TDWsport
金メダルを獲得したサンウェブのメンバー6名 photo:Kei Tsuji / TDWsport




晴れ時々曇り、気温16度のベルゲンで行われたUCIチームによる男子チームタイムトライアル。先立って行われた女子チームタイムトライアルと同様に、北海に浮かぶアスコイ島のラウナンゲルからベルゲンを目指す42.5kmコースを使用する。獲得標高差550mのコースの中で注目は残り10km地点でピークを迎えるビルケルンズバッケン(長さ1.4km/平均勾配7.2%)の登り。最大勾配が10%を超えるこのビルケルンズバッケンの攻略がタイムに大きく影響した。
地元ノルウェーのUCIコンチネンタルチームから順に17チームが3分間隔でスタート。後半のUCIワールドチームの走りが始まるとトップタイムが次々に更新されていく。中でも前半から突っ込んだのはチームスカイ。ブエルタ・ア・エスパーニャを制したばかりのクリストファー・フルーム(イギリス)率いるチームスカイは第1計測(10.5km地点)でトップタイムを叩き出した。
初制覇に向けて好スタートを切ったチームスカイだったが、ビルケルンズバッケンの登りを終えた時点でオウェイン・ドゥール(イギリス)とゲラント・トーマス(イギリス)の2人を失ってしまい、第2計測(31km地点)でBMCレーシングにトップを奪われてしまう。早々に4人になったチームスカイはその後の平坦区間でペースを上げることができずに銅メダルに終わった。




チームスカイに代わってトップに立ったBMCレーシングは第3計測(38.1km地点)でもトップタイムを更新。2年ぶり3度目の勝利に向けて順調に駒を進めたBMCレーシングだったが、チームスカイと同様に2人を失い、タイム計測の最低人数である4人での走行を強いられる。その一方で、6人を残してビルケルンズバッケンを越えたサンウェブが驚異的なペースで追い上げた。
第1計測でトップのチームスカイから10秒遅れ、第2計測でBMCレーシングから3秒遅れ、そして第3計測でBMCレーシングから4秒遅れのタイムにまとめたサンウェブが、ベルゲン市内の平坦区間で大きく挽回した。第3計測からフィニッシュまでの4.4km区間でBMCレーシングとの4秒差をひっくり返し、逆にアドバンテージを奪ってフィニッシュ。最終的にBMCレーシングを8秒、チームスカイを22秒引き離す走りで初優勝を飾った。
サンウェブの優勝タイムは47分50秒で、全体の平均スピードは53.302km/h。残り4.4kmに限定してその平均スピードを比較すると、サンウェブは52.1km/hで走っているのに対し、BMCレーシングは50.0km/h、チームスカイは49.9km/hだった。女子チームと同様に、人数を残してビルケルンズバッケンを終えたサンウェブが作戦勝ちしたと言える。「残り10km地点に登場する長い登りで崩壊しないように走ったことが結果に繋がったと思う」と、トム・デュムラン(オランダ)は勝利の秘訣を明かしている。
「女子に続いて男子チームも勝つなんてクレイジーだ。今日はメンバー全員が均一に力を尽くした。自分が長時間先頭で風を受け続けたように思われるかもしれないけど、実際は全員がスムーズにローテーションを回して走りきった。おかげでフィニッシュまで良いペースを保つことができたんだ」と、初タイトルを獲得したデュムランは語る。「予想外だけど、良い意味での予想外。良いペースだと感じながら走っていたものの、中間計測タイムはフィニッシュするまで聞かさせていなかった。最後はBMCと僅差の戦いになったものの辛うじてトップをキープ。チームとして最高のパフォーマンスを見せることができたと思う」。




2016年にエティックス・クイックステップに奪われたタイトルの奪還を狙ったBMCレーシングは再び2位。ローハン・デニス(オーストラリア)は「銀メダルは残念だけど、それは世界で2番目に速いチームであるということ。サンウェブのタイムは驚きだけど、妥当な結果であるとも言える。彼らは1年を通して強さを見せていたし、今日改めてそのスピードを披露しただけだ」と勝者を称える。
優勝候補に挙げられながら後半に失速したチームスカイは銅メダル。フルームは「前半のペースをもう少し抑えるべきだったのかもしれない。そして人数を揃えて後半の登りを終えるべきだった」と敗因について述べている。「6人を揃えて登りをこなしたチームと下りで大きなタイム差がついてしまった。元々はゲラント(トーマス)を連れて登りを終える予定だったけど『ダメだ、行ってくれ』と言われたので置いていかざるをえなかった。チームスカイは最高のメンバーを揃えたものの、このチームタイムトライアルに向けてグランツールを早めに切り上げたチームには敵わなかった」。
大会連覇を狙ったクイックステップフロアーズは4位に終わり、2012年のチームタイムトライアル復活以降初めてメダルを逃している。5位にはオリカ・スコット、6位にはモビスターが続き、UCIプロコンチネンタルチームのCCCスプランディ・ポルコウィチェが8位に食い込んだ。


ロード世界選手権2017男子チームタイムトライアル結果
順位 | チーム名 | タイム | 平均スピード |
---|---|---|---|
1位 | サンウェブ | 0:47:50 | 53.310km/h |
2位 | BMCレーシング | 0:00:08 | 53.162km/h |
3位 | チームスカイ | 0:00:22 | 52.905km/h |
4位 | クイックステップフロアーズ | 0:00:35 | 52.668km/h |
5位 | オリカ・スコット | 0:00:43 | 52.523km/h |
6位 | モビスター | 0:01:19 | 51.882km/h |
7位 | ロットNLユンボ | 0:01:20 | 51.864km/h |
8位 | CCCスプランディ・ポルコウィチェ | 0:01:44 | 51.446km/h |
9位 | カチューシャ・アルペシン | 0:01:46 | 51.411km/h |
10位 | ボーラ・ハンスグローエ | 0:01:55 | 51.256km/h |
11位 | アスタナ | 0:02:16 | 50.898km/h |
12位 | トレック・セガフレード | 0:02:50 | 50.329km/h |
13位 | ジョーカー・イコパル | 0:03:08 | 50.033km/h |
14位 | サンジェミニ・MG.Kヴィス | 0:05:02 | 48.235km/h |
15位 | ウノ・Xハイドロゲン | 0:05:10 | 48.113km/h |
16位 | フィックスイット | 0:05:21 | 47.947km/h |
17位 | スパレバンケン・ソル | 0:05:30 | 47.813km/h |
text&photo:Kei Tsuji in Bergen, Norway
Amazon.co.jp
This item is no longer valid on Amazon.