アルベルト・コンタドール(スペイン)は来シーズン、強力なアシストを従えてツール・ド・フランスに挑む。その名はアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)。ヴィノクロフはジロに出場し、ツールではコンタドールのアシストを務める。アスタナのジュゼッペ・マルティネッリ新監督が語った。

斜塔で有名なピサで行なわれているアスタナのトレーニングキャンプ斜塔で有名なピサで行なわれているアスタナのトレーニングキャンプ photo:Gregor Brown現在アスタナチームはイタリア・トスカーナ州のピサ近郊でトレーニングキャンプを開催中。各選手、2009年シーズンの所属チームのジャージを着てトレーニングを行なっている。

「アスタナは紛れもなくコンタドールのチーム。だがヴィノクロフも重要な切り札としてチームにとって大きな存在だ」。アスタナのマルティネッリ新監督はこう続ける。「ヴィノクロフにはまだレースに勝ちたいという欲望がある。そして、彼にはコンタドールの勝利に貢献したい気持ちもあるんだ」。

アスタナの新監督を務めるジュゼッペ・マルティネッリ監督アスタナの新監督を務めるジュゼッペ・マルティネッリ監督 photo:Gregor Brown「コンタドールこそが真のチームキャプテン。だがヴィノクロフがいてチームは完結する」。

カザフスタンが生んだ英雄ヴィノクロフは現在36歳。母国の支援を受け、2006年にチームを結成した張本人だ。だが2007年のツール・ド・フランス期間中にドーピング陽性が発覚し、2年間の出場停止処分を受けた。ヴィノクロフは8月にチームに復帰。ツールで3勝目を狙うコンタドールをアシストしたいという思いが強まった。

肩を並べてトレーニングをこなすアルベルト・コンタドール(スペイン)とアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン)肩を並べてトレーニングをこなすアルベルト・コンタドール(スペイン)とアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン) photo:Gregor Brownマルティネッリ監督は「ヴィノクロフにはコンタドールと一緒にツールに出場してもらいたいと願っている。今からツールまでの8ヶ月間、彼らにはじっくりと協力体勢を築いてもらいたい」。

コンタドールは2008年にジロ・デ・イタリアで総合優勝を果たしているが、2010年は出場しない。代わりにヴィノクロフがチームリーダーを務める予定で、総合優勝も視野に入れている。

「クライマー向きと言われているジロで、ヴィノクロフがどれだけ走れるかは分からない。だがヴィノクロフは2006年にブエルタ・ア・エスパーニャを制している。彼には総合優勝を狙いたいという強い想いがあり、それを実現する能力を兼ね備えている。どんなライバルがジロに出場するか、全てはそれに掛かっている」。

アスタナのチームマネージャーに着任したのはフランス人のイヴォン・サンケール。ランス・アームストロング(アメリカ)とともにレディオシャックに移ったヨハン・ブリュイネール監督に代わって。サンケールはマルティネッリを監督に起用した。

マルティネッリ監督はこれまで数々のジロ総合優勝者を輩出してきた。例を挙げるならば、1998年マルコ・パンターニ(イタリア)、2000年ステファノ・ガルゼッリ(イタリア)、2003年ジルベルト・シモーニ(イタリア)、2004年ダミアーノ・クネゴ(イタリア)。また、マルティネッリ監督は1998年にパンターニをツール総合優勝に導いている。

text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji