ルクセンブルグでのシクロクロス世界選、開幕一番のレースとなったジュニアは、まだ気温の上がりきらないうちからのスタート。雪と氷で凍った路面は前日からのままの過酷なコンディションだ。日本からは村上功太郎(松山工業高校) が出場した。


スタート直後の落車に巻き込まれた村上功太郎(松山工業高校)スタート直後の落車に巻き込まれた村上功太郎(松山工業高校) photo:CorVos
路面は極端に滑りやすく危険極まりないものだった路面は極端に滑りやすく危険極まりないものだった photo:CorVos落車してメカの破損に泣く選手が続出した落車してメカの破損に泣く選手が続出した photo:CorVosスタートしてすぐ、舗装路からダート区間に飛び込んだ集団の選手はスリップして次々と落車してしまうカオスな状況に。集団の大半が落車の影響を受けることになった。好スタートを切って先頭を行くのはマキシム・ボンセルジャン(フランス)。

ティモ・キーリッヒ(ベルギー) 、アントワン・ベノワス(フランス) 、トーマス・ピッドコック(イギリス)、ベン・ターナー(イギリス) らが追う展開に。コース上のいたるところでスリップによるクラッシュが発生。リタイアも続出した。

フランスのマキシム・ボンセルジャンに追いついたイギリスのトーマス・ピッドコックがリードして2周めに入ると、同じイギリスのベン・ターナーとダニエル・ターレットベルギーのティモ・キーリッヒと続く。キーリッヒは落車し、チェーンサックによって順位を落とすと、3周目に入る頃にはピッドコックが後続に22秒差をつけて独走に入った。

ジュニアCX世界選初挑戦の村上功太郎(松山工業高校)は30位ジュニアCX世界選初挑戦の村上功太郎(松山工業高校)は30位 (c)Kei Tsuji/TDWsportテクニックに秀で、かつ小柄な身体を活かしてセクションの立ち上がりごとに鋭い加速によって差をつけるピッドコック。2位争いをしていたボンセルジャンはスリップダウンしてリアディレイラーを壊し、さらにシューズも壊してしまう。バイクを担ぎ、片方のシューズを脱いで片足はソックスのみで駆け出すも、戦線は離脱してしまう。2周を残してイギリスが上位3位のポジションを占めることに。

ピッドコックは卓越したテクニックで危なげなく走りきり、独走で勝利。続く2位・3位もイギリスが独占し、見事イギリスのワン・ツー・スリー勝利となった。

ジュニアチャンピオンとなったトーマス・ピッドコックはナミュールでのワールドカップレースのジュニアでも圧勝、ヨーロッパ選手権U19でも優勝しているイギリス期待の星。イギリス人によるシクロクロス世界選のジュニアでの優勝は1992年のロジャー・ハモンドの勝利があるが、CX大国ベルギーやオランダを差し置いての表彰台の独占は驚くべき結果だ。

安定した走りでイギリスにアルカンシェルをもたらしたトーマス・ピッドコック(イギリス)安定した走りでイギリスにアルカンシェルをもたらしたトーマス・ピッドコック(イギリス) photo:CorVos
「路面はとても危険だったから、絶対にクラッシュしないようにと心がけて走った。上体を起こし、そのぶん脚を使って走るようにした。僕らは歴史を作った。3人での表彰台独占は素晴らしい」とピッドコックは喜ぶ。

日本の村上功太郎(松山工業高校) はスタート直後の落車に巻き込まれるトラブルもあり、5分18秒遅れの30位となっている。本人のコメントは入り次第この記事内でお伝えする。

シクロクロス世界選手権2017男子ジュニア結果
1位 トーマス・ピッドコック(イギリス) 41’24”
2位 ダニエル・ターレット(イギリス) +38”
3位 ベン・ターナー(イギリス) +44”
4位 ローリス・ローリエ(スイス) +52”
5位 アントワン・ベノワス(フランス) +1’23”
6位 イェーレ・カンプス(ベルギー) +1’37”
7位 ティモ・キーリッヒ(ベルギー) +1’55”
8位 トーン・ファンデボッシュ(ベルギー) +1’56”
9位 デンツェル・ステフェンソン(ベルギー) +2’07”
10位 ニクラス・マークル(ドイツ) +2’10”
30位 村上功太郎(松山工業高校) +5’18”

text:Makoto.AYANO
photo:Nobuhiko Tanabe,CorVos, Kei Tsuji/TDWsport