54名の大集団スプリントに持ち込まれたロード世界選手権ジュニア女子ロードレース。序盤から連続して発生した落車によって下山美寿々を含む多くの選手が脱落する中、エリーザ・バルサモ(イタリア)が勝利した。細谷夢菜は集団内の35位でレースを終えている。



午前8時半にスタートしたジュニア女子ロードレース午前8時半にスタートしたジュニア女子ロードレース photo:Kei Tsuji


集団内で最終周回に入る細谷夢菜(浦和工業高校)集団内で最終周回に入る細谷夢菜(浦和工業高校) photo:Kei Tsuji15.2kmの周回コースをほぼ5周する全長74.5kmで行われたジュニア女子ロードレース。暑さを考慮して朝8時半にスタートしたものの気温はすぐに36度まで上昇。多発する落車によってレースは序盤からサバイバルの様相を呈す。

落車で序盤に遅れた下山美寿々(大阪教育附属高校)がフィニッシュを目指す落車で序盤に遅れた下山美寿々(大阪教育附属高校)がフィニッシュを目指す photo:Kei Tsujiスタート直後の落車によって集団は早速大きく割れ、下山美寿々(大阪教育附属高校)も後方に取り残されてしまう。左肩を強打しながらも下山は再スタートを切ったが、コーナーが連続するハイスピードコースで集団復帰は叶わず、10分02秒遅れでフィニッシュした。肩の痛みをこらえながら完走した下山は「他の国の選手とローテーションして追いかけたものの届かなかった」と、悔しさをにじませながら振り返る。

集団スプリントで勝利したエリーザ・バルサモ(イタリア)集団スプリントで勝利したエリーザ・バルサモ(イタリア) photo:Kei Tsuji周回を重ねるごとにメイン集団は人数を減らし、逃げという逃げが生まれないままドイツやアメリカがレースをリード。60名弱に絞られた状態で最終周回に入ったメイン集団には細谷夢菜(浦和工業高校)が残った。

イタリア国歌を高らかに歌うイタリア国歌を高らかに歌う photo:Kei Tsuji絶えず進行方向を変える連続コーナーをクリアし、残り1kmを切ったところでイタリアがトレインを組んで先頭に立つ。白と青の「アッズーリ(イタリア代表)」が主導権を握り、タイミングよく解き放たれたエリーザ・バルサモ(イタリア)がスカイラー・シュナイダー(アメリカ)とスザンヌ・アンデルセン(ノルウェー)を下した。

イタリアのロードジュニアチャンピオンで、ジュニアトラック世界選手権の団体追い抜きとオムニアムでも勝利しているバルサモがそのスピードを発揮。「これはチームの勝利。自分のものではなくみんなのもの」とイタリアチームの働きを讃えるバルサモ。「この勝利の流れでイタリアチームが引き続き結果を残してくれれば」と、週末のエリート女子とエリート男子レース出場選手にエールを送った。

細谷は最後まで集団に残ったものの、スプリントの先頭争いには加われずに35位。スタッフから受け取った氷嚢を首もとに入れながら「もっと良い位置でもがきたかった。悔しいです」と細谷は肩を落とす。

「人数を揃えたチームはエースをサポートしながら上手く動いていました。でも強い選手は一人でもしっかりと動けていた。力の差だけではなく、位置取り(のテクニック)が大きく違っていた」と、初めての世界選手権を終えた細谷は語る。周回コースには補給ポイントが2箇所設定されているが、2時間弱のレースで細谷は1本も取れなかったと言う。ボトルの給水を含め、暑さ対策が必須のサバイバルレースとなった。



2位スカイラー・シュナイダー(アメリカ)、1位エリーザ・バルサモ(イタリア)、3位スザンヌ・アンデルセン(ノルウェー)2位スカイラー・シュナイダー(アメリカ)、1位エリーザ・バルサモ(イタリア)、3位スザンヌ・アンデルセン(ノルウェー) photo:Kei Tsuji
トップと同タイムの35位でフィニッシュした細谷夢菜(浦和工業高校)トップと同タイムの35位でフィニッシュした細谷夢菜(浦和工業高校) photo:Kei Tsuji落車で左肩を負傷した下山美寿々(大阪教育附属高校)がフィニッシュ落車で左肩を負傷した下山美寿々(大阪教育附属高校)がフィニッシュ photo:Kei Tsuji


ロード世界選手権2016ジュニア女子ロードレース結果
1位 エリーザ・バルサモ(イタリア)         1h53’04”(Ave 39.534km/h)
2位 スカイラー・シュナイダー(アメリカ)
3位 スザンヌ・アンデルセン(ノルウェー)
4位 カロリーナ・ペレキツコ(ポーランド)
5位 レティツィア・パテルノステル(イタリア)
6位 エマ・ノルスガード(デンマーク)
7位 フランシスカ・ブラウス(ドイツ)
8位 サンドラ・アロンソ(スペイン)
9位 リアーネ・リッペルト(ドイツ)
10位 シモーネ・エグ(デンマーク)
35位 細谷夢菜(浦和工業高校)
70位 下山美寿々(大阪教育附属高校)         +10’02”

text&photo:Kei Tsuji in Doha, Qatar