フルクラムのロード用カーボンエアロホイール「SPEED」シリーズに新規登場した「SPEED 55T」をインプレッション。ランプレ・メリダが平坦ステージで愛用する55mmリムハイトのチューブラーホイールの性能を体感した。



フルクラム SPEED 55Tフルクラム SPEED 55T (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
カンパニョーロの兄弟ブランドとして広く人気を集めているFULCRUM(フルクラム)。中でも近年、ランプレ・メリダの使用によって急速にその認知度を高めているのが「SPEEDシリーズ」であり、今回インプレッションを行った「SPEED 55T」は、今年からラインナップに追加された最新モデルだ。

SPEEDシリーズは、長年に渡りプロチームに愛用されてきたフルカーボンチューブラーホイール「RACING SPEED」のアップデート版であり、ワイドリム化や素材の刷新など、近年のトレンドを網羅した製品群。現在はラインナップとして55T(55mm、チューブラーのみ)、40T(40mm、チューブラー)、そして40Tの弟分にあたる40C(40mm、クリンチャーのみ)という3種類を有している。

ワイドタイヤに対応した24.2mm幅、55mmハイトのリム。横風を受け流す断面形状を採用したワイドタイヤに対応した24.2mm幅、55mmハイトのリム。横風を受け流す断面形状を採用した ブレーキ面には平滑度を高めることで安定した制動を可能とする「3Diamant処理」を施したブレーキ面には平滑度を高めることで安定した制動を可能とする「3Diamant処理」を施した


ワイド化するタイヤ事情に合わせるべくデザインされたリム幅は、RACING SPEEDシリーズから4mm広げた24.2mmに。55mmのリムハイトと組み合わせることで高い剛性を発揮し、横風を受け流すべくリム断面形状も最適化されているため、ハンドリングへの影響も最小限に留められているという。

カーボンホイールが不得意とされていたブレーキングに関しても、近年は大幅に改善されてきたが、このSPEED 55Tもブレーキ面には網目の細かな3Kカーボンを配し、更に平滑度を高めることで安定した制動を可能とする「3Diamant処理」を施している。

シンプルなフロントハブ。ストレートプル方式のスポークを採用しているシンプルなフロントハブ。ストレートプル方式のスポークを採用している 駆動側を大径としたハイロー設計を採用したリアフランジ駆動側を大径としたハイロー設計を採用したリアフランジ

シマノ/スラム用はプラズマ電解酸化処理(PEO)を施したアルミフリーボディ仕様だシマノ/スラム用はプラズマ電解酸化処理(PEO)を施したアルミフリーボディ仕様だ ニップルは外出し式であり、タイヤを接着したまま振れ取り作業が可能だニップルは外出し式であり、タイヤを接着したまま振れ取り作業が可能だ


ハブ本体はカーボン製シェルとアルミ製フランジで構成され、リアフランジには駆動側を大径としたハイロー設計を採用し、左右のスポークテンションを最適化。ベアリングはフルクラムの最高峰グレード「CULT」で、高精度なセラミックボールと高硬度スチール製レースの組み合わせにより回転性能を高めている。フリーボディはシマノ/スラム用とカンパニョーロ用の2種類が用意され、シマノ/スラム用はプラズマ電解酸化処理(PEO)を施したアルミ製を採用する。

スポークはエアロ形状のステンレス製で、ニップルは軽量なアルミ製。フロントはラジアル組、そしてリアは駆動側を非駆動側の2倍のスポーク数とするフルクラム独自の「2:1スポークレシオ」組であり、55mmハイトながら1,280g(前後ペア)という軽量性と併せて軽快な加速感に期待できそうだ。

登場と同時にランプレ・メリダへと供給され、平坦レースを中心に広く使われたSPEED 55T。インパクトあるルックスに隠された実力を検証した。



ー インプレッション

「高速域からの伸びが際立つ、扱いやすいホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)

カンパニョーロのBORAと方向性は同じながら、より作りが洗練されている印象を受けました。リムハイトこそ55mmと高めですが、リム外周部が軽いこと、そしてチューブラーということもあって同時にテストしたSPEED 40Cよりも踏み出しは軽いですね。

「リム外周部が軽量で、踏み出しの軽さが光る」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)「リム外周部が軽量で、踏み出しの軽さが光る」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)
「高速域からの伸びが際立つ、扱いやすいホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE)「高速域からの伸びが際立つ、扱いやすいホイール」杉山友則(Bicicletta IL CUORE) 例えばカンパニョーロのBORAで言うと、50mmよりも80mmに近いフィーリングです。リムの剛性が高くハイトも深いため高速域からでもグングンとスピードが伸びていきますね。どんな速度域からでも「もっと伸びるよ!」とホイールが言っているかのようで、正直私の脚では踏み切れないほどの力強さを感じました。

高いリム剛性に対して、スポークテンションは比較的低め。そのため思い切りダンシングで捻るとブレーキが擦りましたが、そのしなりが加速に「タメ」を生んでいるので、トルクフルな踏み味になっているのだと思います。タメのある加速感を好むスプリンターにはバッチリ合う製品ではないでしょうか。見た目通り、もしくはそれ以上の高速型ホイールですね。

ディープリムと聞くと扱いづらさに心配する声も挙がるでしょうが、意外と横風を受けても挙動が安定していることが気に入りました。RACING SPEEDよりも影響を受けにくくハンドリングは良好でした。中速域や、最も得意とする高速域でのハンドリングは安定していて扱いやすいんです。高速での集団走でも必要以上に気を使うことがないかもしれません。

それから、ブレーキング時の挙動も良好です。純正ブレーキシューとの相性が優れていますし、雨でもしっかりと制動してくれそうな印象がありました。カップアンドコーン式のハブ精度が高いのはフルクラム/カンパニョーロの美点ですし、カートリッジ式ベアリングよりも負荷が掛かった際のたわみ量が少なくなるのでオススメできます。

高速走行する時にこそ威力を発揮するホイールですし、更にその最後のスプリントで勝ちたい方にはオススメしたい製品です。このホイールを踏み切った時の加速感は鮮烈なものがあるでしょう。ぜひパワー派の選手に使っていただきたいホイールだと感じました。

インパクトのある55mmハイトのリムとSPEEDロゴインパクトのある55mmハイトのリムとSPEEDロゴ
フルクラム SPEED 55T
リム形式:チューブラー
リム:フルカーボン/3Kカーボンフィニッシュ
ブレーキ面:3Diamant処理
リムハイト:55mm
リム幅:24.2mm
ハブ:カーボン製ボディー/アルミ製フランジ、アルミ製アクスル
ハブベアリング:CULT
フリーボディ:シマノ用HG(プラズマ電解酸化PEO処理済み)、カンパニョーロ用UD
スポークキング:フロント18本(ラジアル)/リア21本(2:1、左7本/右14本)
スポーク:ステンレス・スチール製、エアロ形状、ストレートプル仕様
ニップル:アルミ製
重 量:1,280g(シマノ/スラム用)
価 格:345,000円(税抜)



インプレッションライダーのプロフィール

杉山友則(Bicicletta IL CUORE)杉山友則(Bicicletta IL CUORE) 東京都台東区のBicicletta IL CUORE 下谷本店店長。ダミアーノ・クネゴがジュニアチャンピオンだったころからクネゴのファンだという、自他ともに認めるミーハー系自転車乗り。グエルチョッティやコルナゴ、ルックなどヨーロピアンブランドへの造詣が深い。ショップ店長としては、ユーザーがサイクルライフを楽しめる遊び方の提案を心がけている。

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