最高気温36度の暑さに体調を崩す選手が続出する中、オランダのボエルス・ドルマンスが平坦コースを快走。ディフェンディングチャンピオンのキャニオン・スラムを打ち破り、初のチームタイムトライアル制覇を果たした。



UCI女子チームTT 高速道路を快走するボエルス・ドルマンスUCI女子チームTT 高速道路を快走するボエルス・ドルマンス photo:Kei Tsuji


UCI女子チームTT 48分41秒のトップタイムで優勝したボエルス・ドルマンスUCI女子チームTT 48分41秒のトップタイムで優勝したボエルス・ドルマンス photo:Kei Tsuji10月9日にカタール・ドーハで開幕したロード世界選手権。最初の種目はUCI登録した女子チームによるチームタイムトライアル。ドーハ北部に位置するルサイルのスポーツ複合施設をスタートし、高速道路を走って「ザ・パール」でフィニッシュを迎える40kmコースは真っ平らだ。

UCI女子チームTT 48秒差の2位に入ったキャニオン・スラムUCI女子チームTT 48秒差の2位に入ったキャニオン・スラム photo:Kei Tsuji50分弱の高強度走行を行う選手たちを最高気温36度(38度との情報も)の熱波が襲った。熱中症により後半にかけて大きくペースを落とす選手が続出。フェンスと接触して落車したラボバンクLIVのアノウスカ・コスターは怪我を免れたものの自力で立ち上がれず、ふらついてバイクに跨がれないシーンも。他にもフィニッシュ後に倒れこみ、医療スタッフによる治療を受ける選手が多く見られた。

UCI女子チームTT 3位に入ったサーヴェロ・ビグラUCI女子チームTT 3位に入ったサーヴェロ・ビグラ photo:Kei Tsuji過酷なコンディションの中、スペシャライズド・ルルレモンから数えて大会5連覇がかかったドイツのキャニオン・スラムが前半から好走。第1計測ポイントでトップタイムを叩き出したキャニオン・スラム。しかし後半にかけてペースを落とし、代わってボエルス・ドルマンスが第2計測でトップに立つ。2名を失いながらもハイペースを維持したボエルス・ドルマンスが、平均スピード49.298km/hで40kmコースを走りきった。

UCI女子チームTT 48分41秒のトップタイムで優勝したボエルス・ドルマンスUCI女子チームTT 48分41秒のトップタイムで優勝したボエルス・ドルマンス photo:Kei Tsujiエレン・ファンダイク(オランダ)やイヴリン・スティーヴンス(アメリカ)、リジー・ダイグナン(イギリス)を揃えたオランダチームが最終的にキャニオン・スラムを48秒引き離し、チームタイムトライアル初制覇を果たした。

「シーズンを通して調子の良さをキープしていたボエルス・ドルマンスの強さを改めて証明できたと思う。こうして金メダルでシーズンを締めくくることができてよかった」と語るのは2015年ロード世界チャンピオンのダイグナン(旧姓アーミステッド)。ボエルス・ドルマンスは今シーズンのUCI女子ワールドツアー17戦のうち10戦で勝利。8月19日にスウェーデンで行われたヴァーガーダ・チームタイムトライアル(UCI女子ワールドツアー)でも勝利していた。

大会後半の個人タイムトライアルとロードレースには出場せず、このチームタイムトライアルをもって現役を引退するスティーヴンスは「オランダでサウナに入って特訓し、早めに現地入りしてこの暑さに順応した。もうこの暑さの中で自転車に乗りたくないけど、チームとして周到に準備してその結果を残すことができてよかった」と語る。47.980km/hのアワーレコード保持者スティーヴンスが金メダルでキャリアに終止符を打った。



UCI女子チームTT 金メダルを獲得したボエルス・ドルマンスUCI女子チームTT 金メダルを獲得したボエルス・ドルマンス photo:Kei Tsuji


ロード世界選手権2016UCI女子チームタイムトライアル結果
1位 ボエルス・ドルマンス           48’41”(Ave 49.298km/h)
2位 キャニオン・スラム             +48”
3位 サーヴェロ・ビグラ            +1’57”
4位 ビーピンク                +2’46”
5位 トゥウェンティ16             +2’47”
6位 ハイテクプロダクツ            +3’24”
7位 BTCシティ・リュブリャナ         +3’43”
8位 ラボバンクLIV               +6’03”

text&photo:Kei Tsuji Doha, Qatar