秩父宮杯埼玉県自転車道路競争大会が、9月18日に埼玉県秩父市で開催された。大会の一部始終と、表彰式プレゼンターとして来場したリオオリンピック代表の塚越さくらのコメントを併せてレポートする。



雲が垂れこめて秩父の山々を覆う雲が垂れこめて秩父の山々を覆う photo:Satoru.Kato
関東圏のホビーレーサーや高校生には、通称「宮杯(みやはい)」として知られている秩父宮杯。「秩父宮雍仁(やすひと)親王」の名を冠した伝統ある大会は、今年64回目の開催となった。

コースは、秩父市中心街から北西へ車で10分ほどの場所に設定された1周10.8kmの公道コース。平坦基調が2/3、8%から10%の斜度の登り(高低差約100m)を含むアップダウン区間が1/3という構成だ。

ここ数年は秋晴れの下開催されてきた秩父宮杯だったが、今年は台風や秋雨前線の影響で前夜から断続的に雨が降るあいにくの天候。豪雨というほどではなかったものの、一般クラスのレース終盤は本降りに近い雨の中でのレースとなってしまった。



一般男子 終盤の5人の逃げから吉田勝雅が優勝

一般男子 雨が本降りになったレース終盤一般男子 雨が本降りになったレース終盤 photo:Satoru.Kato
一般男子 登りで集団がばらけるが、下りと平地で元に戻る一般男子 登りで集団がばらけるが、下りと平地で元に戻る photo:Satoru.Kato一般男子 3周目の登り区間を先頭で登ってきた吉田勝雅(埼玉北部練習会)一般男子 3周目の登り区間を先頭で登ってきた吉田勝雅(埼玉北部練習会) photo:Satoru.Kato


エリートとアンダー23に相当する一般男子は、コースを6周半する75.3km。今年はクラブチームを中心に96人がエントリーした。

雨で路面が濡れていた事もあってか、序盤はスローペースでレースは進行し、2周目には後発の高校生クラスに抜かれる場面も。4周目に入ると登り区間で抜け出す動きが活性化。5周目の平坦区間で、秋山悟郎(AQUATAMA)、渡辺友一(Link TOHOKU)、佐藤秀和(埼玉北部練習会)の3人が抜け出し、メイン集団から10秒先行して最終周回へ。その後メイン集団から 吉田勝雅(埼玉北部練習会)と、小川恵佑(なるしまフレンドレーシングチーム)の2人が抜け出して先行する3人に合流する。この5人が逃げ切り、最後は吉田が先頭でゴール。3位に佐藤が入り、埼玉北部練習会が団体の部でも優勝。秩父宮杯を獲得した。

一般男子 3人が先行して最終周回へ一般男子 3人が先行して最終周回へ photo:Satoru.Kato一般男子 吉田勝雅(埼玉北部練習会)が優勝一般男子 吉田勝雅(埼玉北部練習会)が優勝 photo:Satoru.Kato

一般男子 表彰一般男子 表彰 photo:Satoru.Kato一般男子団体優勝の埼玉北部練習会のメンバーと記念撮影一般男子団体優勝の埼玉北部練習会のメンバーと記念撮影 photo:Satoru.Kato


昨年に続く2回目の出場で優勝を勝ち取った吉田は、「今年後半はこの秩父宮杯に絞ってきたので、勝てて最高です。最終周回の登り区間で先行する3人に追いついたのですが、チームメイトがアシストしてくれたおかげで最終コーナーを曲がったところで優勝を確信しました。」と話す。吉田は大学生だが、大学に自転車部が無いのでクラブチームで走っている。「この後は実業団のレースにも出ますが、目標達成したので、学生生活に戻ります。」と語った。

一般男子 結果(75.3km)
1位 吉田勝雅(埼玉北部練習会) 2時間0分14秒
2位 秋山悟郎(AQUATAMA) +1秒
3位 佐藤秀和(埼玉北部練習会)
4位 渡辺友一(Link TOHOKU)
5位 小川恵佑(なるしまフレンドレーシングチーム) +2秒
6位 納家一樹(早稲田大学)

団体の部 結果
1位 埼玉北部練習会 6時間1分3秒
2位 Link TOHOKU +38秒
3位 なるしまフレンドレーシングチーム +1分55秒




高校生 渡辺慶太が6度目のチャレンジで初優勝

高校生A 中川涼(浦和工業高校)を先頭に登る先頭集団高校生A 中川涼(浦和工業高校)を先頭に登る先頭集団 photo:Satoru.Kato
高校生A スプリント勝負を制した渡辺慶太(浦和工業高校)高校生A スプリント勝負を制した渡辺慶太(浦和工業高校) photo:Satoru.Kato高校生A 個人の部 上位3チーム高校生A 個人の部 上位3チーム photo:Satoru.Kato


高校生Aは3周半の42.9km。スタート直後からペースが上がり、2周目には先にスタートした一般男子を追い抜く。この際に集団前方にいた約20人が先頭集団を形成する。登り区間では一昨年優勝の中川涼(浦和工業高校)が前を引き、2周目には先頭集団は15人ほどに絞られる。最後はスプリント勝負となり、渡辺慶太(浦和工業高校)が優勝した。

中学生の時から秩父宮杯に出場し、今回で6回目の出場となる渡辺。「最終コーナーを2番目でクリアして、立ち上がりで前に出ました。今年の夏からスプリント力をつける練習をしてきたので、その結果がこのレースで出たと思います。11月にジュニアの全日本選手権があるので、この後もしっかり乗り込みます。」と語った。

高校生A 結果(42.9km)
1位 渡辺慶太(浦和工業高校) 1時間9分24秒
2位 吉 啓介(日本大学豊山高校)
3位 松村恭輔(栄北高校)
4位 今崎優希(栄北高校)
5位 大関一輝(狭山工業高校)
6位 津田悠太(伊豆総合高校)

団体の部 結果
1位 栄北高校 3時間28分36秒
2位 日本大学豊山高校 +1分8秒
3位 川越工業高校 +2分31秒




市民レーサーA/B/C、高校生B、女子、中学生、マスターズ

市民レーサーA優勝 武井裕(prego)市民レーサーA優勝 武井裕(prego) photo:Satoru.Kato市民レーサーA 表彰市民レーサーA 表彰 photo:Satoru.Kato

市民レーサーB優勝 藤川凌(FM730)市民レーサーB優勝 藤川凌(FM730) photo:Satoru.Kato高校生Bゴール高校生Bゴール photo:Satoru.Kato

女子 細谷夢菜(浦和工業高校)が3連覇女子 細谷夢菜(浦和工業高校)が3連覇 photo:Satoru.Kato中学生優勝 外園晋之介(川口市自転車競技連盟)中学生優勝 外園晋之介(川口市自転車競技連盟) photo:Satoru.Kato


高校生B(21.6km)
1位 太田龍希(川越工業高校) 33分51秒584
2位 荻野 樹(川越工業高校) +0秒
3位 鈴木翔太(川越工業高校) +1秒

女子オープン(10.8km)
1位 細谷夢菜(浦和工業高校) 17分57秒124
2位 渡部春雅(GIANT港北Liv) +3秒
3位 中川由理(川越工業高校) +10秒


中学生(10.8km)
1位 外園晋之介(川口自転車競技連盟) 17分37秒272
2位 渡辺 凪(フリーダム) +1秒
3位 塩浦駿汰(青梅市立第七中学 WACHレーシングチーム)

マスターズ(21.6km)
1位 酒井宏幸(HARP.RC) 33分24秒302
2位 木口勝海(Team ARI) +0秒
3位 木村博志(彩北ツブラーゼ)


市民レーサーA(42.9km)
1位 武井 裕(prego) 1時間10分28秒
2位 山下太一(Team GOCHI) +13秒
3位 井上善裕(INOUE RACING CYCLE) +24秒

市民レーサーB(32.4km)
1位 藤川 凌(FM730) 50分41秒703
2位 島崎稔史(ARCCレーシングチーム) +7秒
3位 入江達也(FM730) +8秒


市民レーサーC(21.6km)
1位 大熊 陸(Team輪持久業) 34分0秒324
2位 森 紀侑(FM730) +4秒
3位 石田 豊(TEAM SUNABA) +6秒




リオオリンピック代表の塚越さくらが表彰式プレゼンターとして来場

表彰式でプレゼンターを務める塚越さくら表彰式でプレゼンターを務める塚越さくら photo:Satoru.Kato
リオデジャネイロオリンピックの女子オムニアムに出場した秩父市出身の塚越さくら(シエルブルー鹿屋)が、パレード走行と表彰式のプレゼンターを務めた。塚越は高校生の時に1度だけ秩父宮杯に出場した事があるそうで、「高校生の時以来の秩父宮杯なのですが、今回は招待して頂いたので不思議な感じですね。」と、久々の秩父宮杯の感想を話す。

出場者との記念撮影に応じる塚越さくら出場者との記念撮影に応じる塚越さくら photo:Satoru.Katoオリンピック後は今回のようなイベントや挨拶まわりなどで練習時間もあまり取れていないそうだが、すでに4年後の東京オリンピックに向けて動き出していると言う。「今後4年間のおおまかな計画は立てたので、あとは月単位で詰めていくという感じです。やっぱり段階を踏んでいかないと『4年後』というのは見えてこないと思うので、一段階ごとの目標を明確にしないといけないと考えています。」

秩父宮杯の翌日には所属チームの拠点である鹿児島に戻り、本格的な練習を再開する。「10月の国体に出場しますが、年内はナショナルチームの遠征もお休みなので、基礎からしっかりやり直していきます。」と語ってくれた。



text&photo:Satoru.Kato

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