2010年ツール・ド・フランスのコースプレゼンテーションに出席した選手や監督のリアクション。ほとんどの選手が、序盤のクラシックステージで注意を払う必要があること、全体として山岳の難易度が上がったことを挙げている。

アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)出典:www.astana-cyclingteam.com
握手するアルベルト・コンタドール(スペイン)とランス・アームストロング(アメリカ)握手するアルベルト・コンタドール(スペイン)とランス・アームストロング(アメリカ) photo:Cor Vos「コースはとても気に入っている。ルーラー向きではなく、クライマー向きのツールになると思う。最大のライバルはアンディ・シュレクだ。希望を言うならば、1つ目の個人タイムトライアル(プロローグ)が10kmぐらいで、2つ目が20〜30kmぐらいだと良かった。でもコースに不満は無いよ。パリ〜ルーベのような石畳が登場する最初の1週間は、レースコントロールが困難を極める。でも石畳がそれほど重要なポイントだとは思わない。石畳では落車しないことが重要。雨は降らないで欲しいね」

「来年はアルプスの難易度が低い代わりに、ピレネーの難易度が今年の倍近い。特に2回通過するトゥールマレー峠の存在が際立つ。今からそれらの重要なステージを下見しないと」

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)出典:www.team-saxobank.com
「リスキーな要素を含むオランダとベルギーのステージでは、不要なタイムロスを避けて慎重に走らないといけない。コースは概ね今年のツールよりも厳しいと思う。山岳でタイムを稼ぐチャンスが多く、逆に個人タイムトライアルでのタイムロスは小さい。来年も総合優勝を狙って出場するけど、当然コンタドールがその前に立ちはだかる。それに来年はランス(アームストロング)がこれまで以上にモチヴェーション高く闘いを挑んでくると思う」

ランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)出典:www.astana-cyclingteam.com
握手を交わすマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)とランス・アームストロング(アメリカ)握手を交わすマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)とランス・アームストロング(アメリカ) photo:Cor Vos「興味深いコースだ。オランダの横風、ベルギーの起伏、そして北フランスに至る石畳。序盤からエキサイティングだ。石畳はそれ自体危険だが、もっと危険なのは石畳区間に突入するまでの位置取り合戦だ。神経をすり減らす危険と隣り合わせの走りが強いられると思う。石畳区間では集団前方に位置取る必要があるから、チームメイトとして大柄なルーラー系の選手が必要になる。2004年に石畳を通過したとき、エキモフとヒンカピーが最高のアシストぶりを見せてくれた。先頭で石畳に突入するアドバンテージは大きい」

「我々(レディオシャック)にとってチームタイムトライアルの省略は歓迎出来ない。戦略的に見るとレース展開は今年と大きく変わるだろう。主催者は今年と同様、重要な山頂フィニッシュをレース後半にもってきた。その結果、戦略を練って最後まで気が抜けない闘いになる。最後の3〜4日まで総合の行方は分からない。トゥールマレーを2回上るアイデアはユニークで気に入ったよ。39歳近い年齢で出場することになるけど、総合優勝を狙う考えは変わらない。来シーズンが楽しみだ。今年よりもいい状態で挑めると思うけど、アルベルト(コンタドール)が現在レース界における最高の選手であることは変わりない」

トル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)出典:www.cervelo.com
マイヨヴェールを獲得したトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ)マイヨヴェールを獲得したトル・フースホフト(ノルウェー、サーヴェロ) photo:Cor Vos「自分向きのコースだと思う。山岳が厳しい。特に最終週の山岳が厳しいので、自分向きのコースだと思う。中にはピレネーを越えられないスプリンターも出てくるだろうね。目標は来年もステージ優勝してマイヨヴェールを獲得すること。簡単なことではないけど、簡単なツール何て一つもない」

「今年チームは上出来だった。来年はもっと上を目指して行く。(平坦な)プロローグが戻ってきたことは歓迎点だ。短距離タイムトライアルが得意なのに、ここ数年はプロローグが設定されていなかった。マイヨジョーヌを着るチャンスだ」

ハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ、サーヴェロ)出典:www.cervelo.com
「確実に今年のツールより難易度が高い。最終週は全ての選手の脅威になるだろう。ピレネーで真価が問われるカルロス(サストレ)を、チームは支えなければならない。個人的に注目したいのは序盤のステージ。僕はピュアスプリンターではないけど、石畳を通過するステージや、第2週のステージでチャンスがあると思う。今年はステージ初優勝を飾ったから、来年はもっと高いモチヴェーションをもってツールに挑みたい」

ビャルヌ・リース監督(サクソバンク)出典:www.team-saxobank.com
スタート前に笑顔を見せるビャルヌ・リース監督スタート前に笑顔を見せるビャルヌ・リース監督 photo:Makoto Ayano「全体を見て、興味深いコースだと思う。勝負どころの厳しい山岳がレース後半に設定されていることは歓迎すべき点だ。当然サクソバンクとしてはチームタイムトライアルがあった方がよかったが、距離の長い個人タイムトライアルがあるので、ステージ優勝を狙うチャンスがある。とにかく石畳を通過する第3ステージは細心の注意を払って走らなければならない」

マルク・セルジャン監督(サイレンス・ロット)出典:www.sport.be
「ベルギーと石畳を通過するレース序盤は神経質なステージが続く。その後はアルプス、ピレネーが続き、奇抜なコースレイアウトではない。チームにとっていいコースだと思う。個人タイムトライアルの距離が短いのは今年と同じ。今年チームが失敗したチームタイムトライアルは無い。そして、今年のツールで猛威を振るったアスタナの様な強力なチームはもう現れないだろう。今年はチームタイムトライアル終了後、アスタナの選手が上位を独占してしまった。来年はもっと観客が楽しめるレースになるはずだ」

ロルフ・アルダグ監督(チームコロンビア・HTC)出典:www.highroadsports.com
「今年ステージ6勝を飾り、パリに辿り着いたマーク(カヴェンディッシュ)の次なる目標、それはマイヨヴェールを獲得することだ。彼が圧倒的な力でシャンゼリゼを制したことを考えると、とても理に適った目標だと思う。平坦ステージが今年より少ないから、マイヨヴェール争いの行方は、山岳ステージを乗り越えられるか、そして起伏のあるステージで優勝に絡めるかに大きく左右される。マークは今年厳しい上りを含むステージでも優勝したから問題ないはずだ」

「(期待されるトニー・マルティンの総合成績について)彼に不要なプレッシャーは与えたくない。トニーは初出場のツールで素晴らしい走りを見せた。来年の目標は、今年のような突然のブレーキを克服すること。総合8〜12位でパリにゴールすれば上出来だと思う。とにかく1週目から気が抜けないので、最初から最後まで白熱した闘いになると思う」

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Makoto Ayano