修善寺カップ女子オープントラック&ロードレース大会が、5月14日と15日の2日間に渡り開催され、鹿屋体育大学の橋本優弥が総合優勝した。併催された男子の修善寺オープンロードレースと全日本学生トラックレースの模様とあわせてレポートする。



トラック種目の会場は250m板張りバンクの伊豆ベロドロームトラック種目の会場は250m板張りバンクの伊豆ベロドローム photo:Satoru.Kato
200mフライングTT 1位 西島叶子(鹿屋体育大学)12秒332200mフライングTT 1位 西島叶子(鹿屋体育大学)12秒332 photo:Satoru.Kato女子ポイントレース 橋本優弥(鹿屋体育大学)を岡本二菜(日本体育大学)がマーク女子ポイントレース 橋本優弥(鹿屋体育大学)を岡本二菜(日本体育大学)がマーク photo:Satoru.Kato3km個人追抜き 1位 橋本優弥(鹿屋体育大学)3分49秒332は大会新記録3km個人追抜き 1位 橋本優弥(鹿屋体育大学)3分49秒332は大会新記録 photo:Satoru.Katoトラック種目とロードレースを組み合わせたオムニアム形式で行われる、修善寺カップ女子オープントラック&ロードレース大会。オムニアムがオリンピック種目になる前から開催され続け、今年で18回目となる(オリンピックのオムニアムはトラック種目のみ)大会だ。

日本学生自転車競技連盟(以下、学連)が主催する大会だが、大学生以外の選手も出場できる。種目は200mフライングTT、500mTT、3km個人追抜き、ポイントレースのトラック4種目と、ロードレースの計5種目。順位の数字を点数として合計し、総合順位を争う。総合順位の表彰対象外となるが、種目ごとの出場も可能という2日間のレースだ。

初日:トラック種目 鹿屋体育大学1年の橋本優弥が総合優勝争いをリード

初日は伊豆ベロドロームでのトラック種目。鹿屋体育大学1年の橋本優弥が、3km個人追抜きとポイントレースで1位。他2種目でも2位につけて総合首位に立つ。橋本は3km個人追い抜きでは大会新記録を出し、ポイントレースでは全4回のポイント周回のうち2回を1位通過して他を圧倒した。総合2位には、500mTTで1位、3km個人追抜きで2位となった日本体育大学1年の岡本二菜がつけた。

200mフライングTT
1位 西島叶子(鹿屋体育大学) 12秒332
2位 橋本優弥(鹿屋体育大学) 12秒505
3位 高田奈生(鹿屋体育大学) 12秒796

500mTT
1位 岡本二菜(日本体育大学) 38秒533
2位 橋本優弥(鹿屋体育大学) 38秒947
3位 西島叶子(鹿屋体育大学) 39秒000

3km個人追抜き
1位 橋本優弥(鹿屋体育大学) 3分49秒332 ※大会新
2位 岡本二菜(日本体育大学) 3分59秒415
3位 古山稀絵(日本体育大学) 3分59秒876

ポイントレース(10km)
1位 橋本優弥(鹿屋体育大学) 14点
2位 古山稀絵(日本体育大学) 11点
3位 高田奈生(鹿屋体育大学) 5点

2日目:ロードレース 学連OB樫木祥子と新星・福田咲絵のマッチレース

女子ロードレース スタート女子ロードレース スタート photo:Satoru.Kato女子ロードレース 「自分のペースで走っていたら樫木さんと2人になっていた」と言う福田咲絵(慶應義塾大学)女子ロードレース 「自分のペースで走っていたら樫木さんと2人になっていた」と言う福田咲絵(慶應義塾大学) photo:Satoru.Kato女子ロードレース ラスト200mのスプリントで樫木祥子(ニールプライド南信スバル)が福田咲絵(慶應義塾大学)を下す女子ロードレース ラスト200mのスプリントで樫木祥子(ニールプライド南信スバル)が福田咲絵(慶應義塾大学)を下す photo:Satoru.Kato女子ロードレース 総合争いをする橋本優弥(鹿屋体育大学)は、2位岡本二菜(日本体育大学)をマーク女子ロードレース 総合争いをする橋本優弥(鹿屋体育大学)は、2位岡本二菜(日本体育大学)をマーク photo:Satoru.Kato2日目はロードレース。日本サイクルスポーツセンターの5kmサーキットを8周する40kmで争われた。2周目に5人となった先頭集団から、3周目に樫木祥子(ニールプライド南信スバル)と、福田咲絵(慶應義塾大学)の2人が抜け出す。日本体育大学の谷伊央里と古山稀絵が続くが、レース中盤までに先行する2人との差は1分以上に開いた。

登りでは福田、下りでは樫木が前に出るようにして、先行する2人はそのままゴールへ。ラスト200m、登りスプリント勝負を樫木が制した。

「ゴールデンウィークの合宿で福田選手と一緒に走って強い事は知っていたので、最初からマークしていました。最後はちょっとズルい勝ち方でしたが・・・。」と、苦笑いする樫木。「福田選手は今年のインカレロードの優勝候補になるでしょうね」と話す。

その福田は現在2年生で、今年3月からレースを始めたばかり。「今日は自分のペースで走っていたら樫木さんと2人になっていました。スプリント力が無いので最後は負けてしまいましたが、今後の課題ですね」と、今日のレースを振り返る。「自分の力がどのくらいの力があるのか分からなかったけれど、昨年のインカレチャンピオンの樫木さんに付いて行けたことで自信になりました」と語る。

総合優勝は橋本優弥

一方、総合争いをする橋本と岡本は、互いをマークするように同一集団で周回を重ねる。終盤は橋本が遅れたものの、岡本6位、橋本7位でゴール。橋本がトラック種目で築いたリードを守って総合優勝を決めた。鹿屋体育大学自転車部にとっては、これが記念すべき300勝目となった。

「膝を痛めていたので、今日のロードレースは我慢のレースでした」と言う橋本。「トラック種目をメインにして、ロードは我慢して走るという展開を考えていました。特にポイントレースは全部5点(1位通過)取るつもりで走りました。2回しか取れませんでしたが、自分らしい走りは出来たと思います」と、2日間を振り返る。「鹿屋には卒業生も含め、トップレベルの選手がたくさんいるので、少しでも追いつけるようにしたい」と、今後の目標を語った。

修善寺カップ女子オープン 総合表彰修善寺カップ女子オープン 総合表彰 photo:Satoru.Kato
ロードレース(40km)結果
1位 樫木祥子(ニールプライド南信スバル) 1時間24分3秒 28.55km/h
2位 福田咲絵(慶應義塾大学) +2秒
3位 谷 伊央里(日本体育大学) +2分49秒
4位 古山稀絵(日本体育大学) +3分4秒
5位 吉岡梨紗(学習院大学) +5分30秒
6位 岡本二菜(日本体育大学) +5分31秒

第18回修善寺カップ女子オープントラック&ロードレース大会結果
1位 橋本優弥(鹿屋体育大学) 13点
2位 岡本二菜(日本体育大学) 18点
3位 古山稀絵(日本体育大学) 21点



男子の修善寺オープンロードレースはシマノの木村圭佑が優勝

クラス1+2 リーダージャージの野本空(明治大学)がメイン集団のペースアップを図るクラス1+2 リーダージャージの野本空(明治大学)がメイン集団のペースアップを図る photo:Satoru.Katoクラス1+2 レース中盤に形成された6人の逃げ集団クラス1+2 レース中盤に形成された6人の逃げ集団 photo:Satoru.Katoクラス1+2 残り2周、単独アタックする木村圭佑(シマノレーシング)クラス1+2 残り2周、単独アタックする木村圭佑(シマノレーシング) photo:Satoru.Kato併催された男子の修善寺オープンロードレースは、全日本学生ロードレース・カップシリーズ(RCS)第2戦として開催。大学生以外も出場できる上位カテゴリーのクラス1+2には、シマノレーシングや那須ブラーゼンなどの国内トップチームのメンバーも出場した。

5kmサーキット20周=100kmのレースは、スタート直後からシマノレーシングのメンバーが動く。何度か逃げと吸収を繰り返した後、6周目に6人の逃げ集団が形成される。メンバーは、シマノレーシングから入部正太朗、木村圭佑、秋丸湧哉、湊諒の4人に加え、全日本TTチャンピオンの中村龍太郎(イナーメ信濃山形)、日本体育大学の岡部祐太。メイン集団との差は40秒から50秒まで開く。レースが後半に入り、RCSのリーダージャージを着る野本空(明治大学)らが追走を試みるが差は詰まらない。15周目、学生で唯一逃げ集団に入っていた岡部が遅れるも、メイン集団との差は変わらず、レースは終盤へ。

18周目、岡本隼(日本大学)がブリッジをかけて逃げに追いつく。それと同時に木村がアタックして独走態勢に。この動きで逃げ集団は崩壊。追走するメイン集団が遅れた選手を吸収しながら木村との差を詰め、20秒ほどの差で最終周回に入る。最後は10秒ほどの差にまで詰めたものの、木村が逃げ切って優勝。2位争いのスプリントは野本が入り、リーダージャージの意地を見せた。

シマノレーシングはツアー・オブ・ジャパンに向けた合宿中にこのレースに出場した。優勝した木村は、「学連出身の選手として、今日は強い想いをもってレースに臨みました。シマノレーシングが複数名入る逃げを作ってレースを主導していくという作戦でしたが、その通りにする事が出来ました」とレースを振り返る。「まだ合宿は続くので、しっかり走り込んでツアー・オブ・ジャパンに備えます」。ちなみにこのレースの後は、練習で70km走るとの事だった。

クラス1+2 直後に迫った集団から逃げ切った木村圭佑(シマノレーシング)クラス1+2 直後に迫った集団から逃げ切った木村圭佑(シマノレーシング) photo:Satoru.Kato
クラス1+2 表彰クラス1+2 表彰 photo:Satoru.Katoクラス1+2 全日本学生ロードレースカップシリーズリーダーは松本空(明治大学)が維持クラス1+2 全日本学生ロードレースカップシリーズリーダーは松本空(明治大学)が維持 photo:Satoru.Kato


一方、2位に入った野本は、「リーダージャージを着ているからには情けない走りは出来ないと考えていました。自分はスプリンターではないので、レース終盤はサバイバルレースになるようにペースを上げていきました。プロに勝てなかったのは残念でしたが、良い経験になりました」と話す。そして、「2位ばかり獲ってリーダージャージを着ているので、まず勝ちたい」と、今後の目標を語った。

第18回修善寺オープンロードレース大会結果
クラス1+2(100km)

1位 木村圭佑(シマノレーシング) 2時間50分16秒 35.24km/h
2位 野本 空(明治大学) +5秒
3位 小橋勇利(シマノレーシング)
4位 高木三千成(那須ブラーゼン) +7秒
5位 西村大輝(シマノレーシング) 
6位 佐藤 遼(法政大学)

クラス3(50km)
1位 貝塚涼太(日本大学) 1時間29分21 35.58km/h
2位 小玉和寿(日本大学) +33秒
3位 南 樹生(大阪府立大学) +49秒
4位 藤田俊輔(京都産業大学) +1分8秒
5位 平田裕貴(朝日大学) +1分46秒
6位 平崎雄也(日本大学)



全日本学生トラックレースシリーズ(TRS)結果
TRS スクラッチ クラス1優勝 栗山和樹(朝日大学)TRS スクラッチ クラス1優勝 栗山和樹(朝日大学) photo:Satoru.KatoTRS タンデム250mフライングTT 日本大学(緑川裕也・照井拓成)13秒223TRS タンデム250mフライングTT 日本大学(緑川裕也・照井拓成)13秒223 photo:Satoru.KatoTRS ポイントレース クラス1優勝 小林泰正(日本体育大学)TRS ポイントレース クラス1優勝 小林泰正(日本体育大学) photo:Satoru.KatoTRS ケイリン優勝 坂井洋(日本大学)TRS ケイリン優勝 坂井洋(日本大学) photo:Satoru.Katoスクラッチ
クラス1(15km)

1位 栗山和樹(朝日大学)
2位 池邉 聖(慶應義塾大学)
3位 鈴木康平(法政大学)

クラス2A(10km)
1位 佐々木真吾(朝日大学)
2位 和田 樹(朝日大学)
3位 永田吏玖(朝日大学)

クラス2B(10km)
1位 清水勇人(日本大学)
2位 平田裕貴(朝日大学)
3位 森 善寛(朝日大学)

タンデム250mフライングTT
1位 日本大学(緑川裕也・照井拓成) 13秒223
2位 鹿屋体育大学(安本昇平・徳田匠) 13秒475
3位 中央大学(濱田直之・村田瑞季) 13秒499

1kmタイムトライアル
1位 小島和真(慶應義塾大学) 1分21秒889

ポイントレース
クラス1(20km)

1位 小林泰正(日本体育大学) 21点
2位 池邊 聖(慶應義塾大学) 15点
3位 渡部将太(法政大学) 14点

クラス2A(15km)
1位 小玉和寿(日本大学) 35点
2位 和田 樹(朝日大学) 27点
3位 永田吏玖(朝日大学) 27点

クラス2B(15km)
1位 徳田 匠(鹿屋体育大学) 19点
2位 近藤翔馬(法政大学) 12点
3位 風間翔眞(東北学院大学) 11点

4km個人追抜き
1位 岡崎陸登(朝日大学) 5分6秒356

ケイリン
1位 坂井 洋(日本大学)
2位 木下怜也(朝日大学)
3位 水谷 翼(朝日大学)

text&photo:Satoru.kato