遂に迎えた一時代の終わり。長きに渡って第一線で輝かしい戦績を残してきたスヴェン・ネイスが、約18年に渡る現役生活に終止符を打った。シクロクロス界のレジェンドは、共に引退する長年のチームメイトと共に現役最後の公式レースを終えた。



盟友であるヴァントーレンハートと共にフィニッシュするスヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・AAドリンク)盟友であるヴァントーレンハートと共にフィニッシュするスヴェン・ネイス(ベルギー、クレラン・AAドリンク) (c)sport.be


2月21日(日)にベルギー・オーストマルにて開催された「スルイティングプレイス」。レジェンドことスヴェン・ネイスにとっての最後の公式レースを一目見ようと沿道には多くの観客が詰めかけ、コース上の至る場所で「Merci Sven !」といった旗が掲げられていた。

ベルギーナショナル選手権では9度の優勝を誇るベルギーナショナル選手権では9度の優勝を誇る photo:Riccardo Scanferla2005年と2013年の2度に渡って世界チャンピオンを獲得2005年と2013年の2度に渡って世界チャンピオンを獲得 photo:Cor Vosその強さからついた愛称はカンニバルその強さからついた愛称はカンニバル photo:CorVosレースはケヴィン・パウエルス(ベルギー、マーラックス・ナポレオンゲームス)が勝利し、「CXレジェンドの最後のレースを走れることを誇りに感じている」とレース前に語った新世界王者ワウト・ファンアールト(ベルギー、クレラン・ファストフートサービス)が2位に。引退後にネイスがチームマネージャーに就任するフィデアのトム・メーウセン(ベルギー)が3位に入った。

ネイスはレース序盤を前方でこなしたものの、ラルス・ファンデルハール(オランダ、ジャイアント・アルペシン)と絡みサドルを破損。同じく引退を発表しているチームメイトのスヴェン・ヴァントーレンハートを待つことに。最終周のホームストレートでヴァントーレンハートと合流したネイスは、長年の相棒と肩を組みながら割れんばかり拍手の中を走り、最後はヴァントーレンハートを称えるようにして先着させた。ネイスにとって現役最後の公式レースのリザルトは25位だった。

2年連続のU23世界王者獲得を経て1998年にプロデビューしたネイス。ラボバンク、ランドバウクレジット、クレラン・AAドリンクの3チームに所属し、2005年と2013年には世界選手権で優勝。UCIワールドカップでは通算50勝と5回のシリーズタイトルを獲得。スーパープレステージュでは55勝をマークし、シリーズタイトル獲得は驚異の計18回。BpostBankトロフェーでは42勝をあげ、シリーズ王者に9度輝いている。世界一難しいとされるベルギーナショナル選手権の優勝回数は9。さらにはMTBでもベルギーナショナル選手権を5度制覇し、オリンピックに2度出場。シクロクロスとMTBの間にはロードレースも走っていた。

長い現役生活を終えたネイス。「あの感動的な瞬間に僕は思ったよ。とても幸せ者だってね。ペースが速いにも関わらず、最後のレースを前方で戦うことができた。今日一日を楽しく過ごすことができたよ。沢山世話になったヴァントーレンハートに感謝したい。彼は僕にとってとても大きな存在であり、彼がいたからこそ39歳までプロを続けることができた。この恩は絶対に忘れない」と感謝を口にした。

「スヴェンの計らいはとても素晴らしいこと」とはヴァントーレンハート。「彼とは長年のチームメイトであり、何事にも代えがたい関係を築き上げてきた。レース以外でも大切な友人なんだ。ネイスが僕のことを待ってると知ったのは観客から。こんな計らいを思ってもみなかったけど、実にジェントルマンな彼らしい行動だと思ったよ。今日も含め、スヴェンと一緒に戦えた日々はとても楽しかったよ。」

また、ネイスは「新しい人生が始まることへの準備はできている。(就任するフィデアのチームマネージャーとして)これまでに培ってきた経験やデータが活かし、数年で結果に結びつけたい。また、息子と過ごす時間を多くとっていきたい。今まではサイクリストとしての姿しか見せてこれなかったけど、これでやっと本当に父親になることができる」とも語る。フィデアのチームマネージャーとしての手腕にも注目が集まりそうだ。

text:Yuya.Yamamoto
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