雨降るオマーン内陸部を抜け、ナセームパークにたどり着いた大集団によるスプリント。リードアウトマンをパンクで失いながらも主導権を譲らなかったカチューシャのアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)が今シーズン4勝目をマークした。
レース中盤にかけて降りしきる雨の中を進む photo:Tim de Waele
雨雲から逃げるように進むプロトン photo:Tim de Waele
地元の子供たちに見守られながら進む photo:Tim de Waele
モスクの前を通過する逃げグループ photo:Tim de Waeleツアー・オブ・オマーン第3ステージはオマーン湾に面したアルサワディビーチをスタートし、内陸部を走って再び海岸沿いへ。アップダウンが続いた開幕2ステージとは異なり、この日の176.5kmコースにはKOMが一つも設定されていない。
リーダージャージのエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が走る photo:Tim de Waeleスプリンターのために用意されたこのフラットコースで、ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)ら5名がエスケープ。5名で協力しながらリードを広げ、競り合いながら中間スプリントを通過する。ディメンションデータ率いるメイン集団は4分後方で逃げの動きを静観した。
道幅のあるストレートで先行するアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele内陸部を走る選手を襲ったのはオマーンにしては珍しい雨だった。降りしきる雨の中、メイン集団は逃げグループとのタイム差を詰める。本格的なペースアップが始まる頃には雨が上がり、海に向かうにつれて天候は好転した。「雨で路面がスリッピーになるんじゃないかと心配したけど、幸いレース終盤はドライな状態が保たれた」とクリストフは振り返っている。
集団スプリントを制したアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) photo:Tim de Waele粘り強く逃げていた選手たちを残り7kmで吸収したメイン集団はスプリンターチームを先頭にナセームパークに向かう。ボーラ・アルゴン18やディメンションデータ、BMCレーシング、ロットNLユンボがトレインを組んだが、タイミングを計って残り1kmで先頭に立ったカチューシャが主導権を握った。
マルコ・ハラー(オーストリア)の懸命のリードアウトはミカエル・モルコフ(デンマーク)に切り替わり、その後ろからクリストフが残り200mで発進。チームメイトのスリップストリームで息を整えていたクリストフが全開で踏み始めると、後続との距離が開いた。
追いすがるモレーノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)を振り切ったクリストフが勝利。クリストフは5日間の日程で開催されたツアー・オブ・カタールでステージ3勝を飾っており、2016年ここまで8日間レースを走って4勝(シーズン最多勝)。勝率は5割だ。
「当然、カチューシャはライバルチームからマークを受ける存在だった。序盤からディメンションデータと協力してメイン集団をコントロール。すべてが順調に見えたけど、発射台役のジャコポ・グアルニエーリが残り5kmでパンクして脱落したので、いつもよりスマートに走る必要があった。マルコ・ハラーが集団先頭で素晴らしい牽引を見せ、2人分の仕事をして残り500mで離脱。そこからミカエル・モルコフのリードアウトが始まり、残り200mでスプリントを開始した。その時点で勝利は確実なものだった。ジャコポのパンクで作戦が狂ったけど、フレキシブルに対応して勝負に持ち込めてよかった」とクリストフは喜ぶ。チームの勝利でトルステン・シュミット監督の44歳の誕生日を祝った。
総合成績は動かず、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がリーダージャージをキープしている。翌日はKOMジャバル・アル・アクダル(通称グリーンマウンテン 登坂距離5.7km/平均勾配10.5%)の山頂フィニッシュが登場する今大会最難関ステージ。なお、2015年のジャバル・アル・アクダルでボアッソンハーゲンはトップと4分16秒差の37位でフィニッシュしている。この本格的な山岳でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)らが攻撃を仕掛けてくるだろう。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2016第3ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) 4h03’22”
2位 モレーノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
3位 ローイ・ヤンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 マイク・テウニッセン(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
6位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
7位 ベルデン・デブリース(オランダ、ルームポット・オラニエ)
8位 ロビン・ステニュイ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
9位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 11h52’53”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +04”
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +06”
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ) +08”
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +10”
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
10位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18) +16”
ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
ヤングライダー賞
1位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
総合敢闘賞
1位 ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele







マルコ・ハラー(オーストリア)の懸命のリードアウトはミカエル・モルコフ(デンマーク)に切り替わり、その後ろからクリストフが残り200mで発進。チームメイトのスリップストリームで息を整えていたクリストフが全開で踏み始めると、後続との距離が開いた。
追いすがるモレーノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)を振り切ったクリストフが勝利。クリストフは5日間の日程で開催されたツアー・オブ・カタールでステージ3勝を飾っており、2016年ここまで8日間レースを走って4勝(シーズン最多勝)。勝率は5割だ。
「当然、カチューシャはライバルチームからマークを受ける存在だった。序盤からディメンションデータと協力してメイン集団をコントロール。すべてが順調に見えたけど、発射台役のジャコポ・グアルニエーリが残り5kmでパンクして脱落したので、いつもよりスマートに走る必要があった。マルコ・ハラーが集団先頭で素晴らしい牽引を見せ、2人分の仕事をして残り500mで離脱。そこからミカエル・モルコフのリードアウトが始まり、残り200mでスプリントを開始した。その時点で勝利は確実なものだった。ジャコポのパンクで作戦が狂ったけど、フレキシブルに対応して勝負に持ち込めてよかった」とクリストフは喜ぶ。チームの勝利でトルステン・シュミット監督の44歳の誕生日を祝った。
総合成績は動かず、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)がリーダージャージをキープしている。翌日はKOMジャバル・アル・アクダル(通称グリーンマウンテン 登坂距離5.7km/平均勾配10.5%)の山頂フィニッシュが登場する今大会最難関ステージ。なお、2015年のジャバル・アル・アクダルでボアッソンハーゲンはトップと4分16秒差の37位でフィニッシュしている。この本格的な山岳でヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)らが攻撃を仕掛けてくるだろう。
選手コメントはチーム公式サイトより。
ツアー・オブ・オマーン2016第3ステージ結果
1位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ) 4h03’22”
2位 モレーノ・ホフランド(オランダ、ロットNLユンボ)
3位 ローイ・ヤンス(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
4位 マイク・テウニッセン(オランダ、ロットNLユンボ)
5位 ジャンピエール・ドラッカー(ルクセンブルク、BMCレーシング)
6位 ジーコ・ワイテンス(ベルギー、ジャイアント・アルペシン)
7位 ベルデン・デブリース(オランダ、ルームポット・オラニエ)
8位 ロビン・ステニュイ(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
9位 ダニエル・オス(イタリア、BMCレーシング)
10位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
個人総合成績
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) 11h52’53”
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) +04”
3位 グレッグ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシング) +06”
4位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 セルジュ・パウエルス(ベルギー、ディメンションデータ) +08”
6位 ルイ・コスタ(ポルトガル、ランプレ・メリダ) +10”
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、アスタナ)
8位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
9位 ダヴィデ・レベッリン(イタリア、CCCスプランディポルコウィチェ)
10位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18) +16”
ポイント賞
1位 エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)
ヤングライダー賞
1位 パトリック・コンラッド(オーストリア、ボーラ・アルゴン18)
総合敢闘賞
1位 ケニー・デハース(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)
チーム総合成績
1位 ディメンションデータ
text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele
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