ロット・ソウダルにも機材を提供する、ベルギーのバイクブランド、リドレー。日本でも高い人気を誇る同社のミドルレンジ”FENIX”がブラッシュアップされ"FENIX SL"としてモデルチェンジを果たした。注目を集める人気モデルの新作の実力に迫る。



リドレー FENIX SLリドレー FENIX SL photo:Makoto.AYANO
自転車競技を国技とするベルギーにおいて、トップレベルのロードバイクフレームを製作するブランドが今回紹介するリドレーだ。春先に開催されるクラシックレースの中でも石畳や激坂といった過酷なセクションが登場する大会の多くがベルギーを舞台としていることからもわかるように、ベルギーのサイクリストはロードバイクに対して非常に高い信頼性を求めている。

塗装業にそのルーツを持つリドレーだが、ベルギーのサイクリストの視線の中で鍛えられてきた質実剛健なバイクづくりには高い評価が与えられてきた。その評価を得るに足るだけの高い性能と真摯なものづくりへの姿勢こそがリドレーの持ち味であるが、その中でも有名なエピソードが、全てのバイクをパヴェでテストしているというものだ。

リアバックを中心に形状の見直しが図られたリアバックを中心に形状の見直しが図られた ダウンチューブとの接合部が大きくとられたヘッドチューブダウンチューブとの接合部が大きくとられたヘッドチューブ カーブドフォークを採用するカーブドフォークを採用する


FENIX SLは、そんなリドレーが持つラインアップの中でもミドルグレードのカーボンバイクとして用意されていたFENIXの後継モデル。FENIXは、パヴェをこなす快適性とアタックできる鋭さを併せ持ったエンデュランスレーサーとして誕生し、実際にプロレースも走った実績を持つ名車である。

こなれた価格ながらも高い実績と性能を持つFENIXは当然のことながら熱い支持を獲得。国内においても品薄状態が続くほどの人気ぶりを見せつけたのは記憶に新しい。読者の中には、欲しくても買えない人もいたのではないだろうか。

トップチューブには車名の由来たる不死鳥のイメージが描かれるトップチューブには車名の由来たる不死鳥のイメージが描かれる フォーククラウンと繋がるようなデザインのヘッド周りフォーククラウンと繋がるようなデザインのヘッド周り

BB86を採用し剛性強化を図ったBB周りBB86を採用し剛性強化を図ったBB周り シートステーは非常に細くされているシートステーは非常に細くされている


そんな実力派モデルが更なる進化を遂げて登場したのだ。車名に軽量であることを示す"SL"を冠し、弱点であった重量面を克服。全モデル比で200gマイナスのシェイプアップに成功した。モデル名としてはマイナーチェンジと感じさせるが、実質は完全な新モデルといえるだろう。

より高品質なカーボン素材を使用すると同時に、シートチューブやシートステーの形状を見直すことで高い走行性能はそのままに軽量に仕上げられているFENIX SL。使用されるのは24トンと30トンという異なる弾性率のカーボンを組み合わせられた独自のUDカーボン素材。FENIXの24トンカーボンからグレードアップが図られ、より高い質量剛性比を獲得している。

また、リドレーの代名詞でもある「エッジチュービング」によるダウンチューブは今作にも採用されている。これはダウンチューブのヘッド側を縦に変形させ、ヘッドチューブとの接合部分を増やす一方で、BB側は横方向へと扁平させることで捻じれ剛性を高め、パワー伝達効率を向上させる独自のテクノロジー。加えて、ボトムブラケットをBB86へと変更し、更なる横剛性の強化を実現しているのだ。

衝撃を分散させるために湾曲したトップチューブ衝撃を分散させるために湾曲したトップチューブ シフトワイヤーは近年の流行に従いエンドから排出されるシフトワイヤーは近年の流行に従いエンドから排出される


軽量化と高剛性を同時に実現したFENIX SLだが、優れているのはそれだけではない。ミラノ~サンレモでデビューし、ロンド・ファン・フラーンデレンやパリ~ルーベといったクラシックレースで多くのライダーを支えてきたこのバイクにとって、快適性の向上も大きなテーマであった。

大きな弧を描くトップチューブ、そして薄く扁平した断面形状のシートステー、31.8mmと27.2mmへとサイズダウンしたシートポスト径と、積極的に衝撃を吸収するための工夫が随所に施されている。加えてリアセンターを延長した新ジオメトリーの採用や、より細身にされたフォークの先端部分によって、極めて高い振動吸収性を実現したのだ。

ボリュームのあるヘッドチューブが安定したハンドリングを生み出すボリュームのあるヘッドチューブが安定したハンドリングを生み出す ピンヒールの様に先端に向かうにつれ細くなるフォークピンヒールの様に先端に向かうにつれ細くなるフォーク Tested on Paveのシールが誇らしいTested on Paveのシールが誇らしい


加えて、エアロダイナミクスにも気を配られている。同社のエアロシリーズ、NOAHのようにフォーククラウンとダウンチューブが繋がるようなデザインとなった「エアロダイナミックフォークインテグレーション」を採用し、空力性能も高められている。

軽量・剛性・快適性・空力性能と現代のロードレーサーに求められる要素全てを伸ばすことに成功したFENIX SL。今回の試乗車はシマノ・アルテグラにFFDW F4Rを組み合わせたバイク。長足の進化を遂げたミドルグレードバイクを二人のインプレライダーはどう評価するのだろうか。それでは早速インプレッションをお届けしよう。



―インプレッション

「スムースネスという言葉がぴったりくるオールラウンドレーサー」
二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)


非常に乗りやすいオールラウンドバイクです。一踏み目から軽快さを感じました。スーッと速度が伸びていく、スムースな加速フィーリングで、とても気持いい乗り味。剛性感がしっかりとあるんですが、高剛性バイクによくあるパリッとダイレクトな反応性というよりは、ほんの一瞬貯めた力を解放することで加速していくような感覚をもたらしてくれる一台です。

おそらく、パリ~ルーベで使用されるということもあり、チェーンステーが長く設定されたジオメトリがこのフィーリングの演出に一役買っているのだと思います。リアバックの路面追従性が優れているので、トルクをかけても後輪が暴れずにがっちりと路面に食いついて推進力を生みだしてくれるんですね。それがまた気持ち良さにつながっているんだと思います。

「スムースネスという言葉がぴったりくるオールラウンドレーサー」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)「スムースネスという言葉がぴったりくるオールラウンドレーサー」二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)
ハンドリングも自然で癖が無い。初めて乗ったバイクとは思えないほど馴染んでくれました。クイックでもなく、かといってもっさりとしているわけでもない、非常に良いところを突いた設定ですね。不整地でもバイクが暴れないですから、ちょっとしたグラベルライドにも良いと思います。

SLと名前についているだけあって、前作と比べると車重も軽いですが、加速、挙動、全てが軽快になっています。リドレーとしてはエンデュランスモデルという売り込みですが、ヒルクライムやロードレースにもオススメできるだけの走りをしてくれます。

登りも得意ですね。ケイデンスを80くらいに維持してペースで登っているのがとても楽です。かといってダンシングでパワーをかけて高いギア比を踏んでいっても前へ前へと進んでくれます。快適性もシートステーの形状が効いていて、とても良いですから、長距離でも疲れづらいでしょう。

軽量バイクにありがちな乾いた感覚ではなく、スムースネスという言葉がぴったりくる。機敏でピーキーともいえる乗り味が好きな人にとっては物足りないかもしれませんが、大多数の人にとってはもっともしっくりとくるバランスに仕上がっています。

むしろ加速、アップダウン、高速巡航といったそれぞれの性能が高い次元でまとまっていますので、様々なシチュエーションがあるレースで真価を発揮するでしょう。平坦なクリテリウムよりも、登りも下りもある長めのロードレースが一番得意とするレースでしょうね。

アッセンブリについても40mmくらいのハイトのホイールであれば登りも良いし、巡航性能も良く、このバイクの魅力が一番引き出せるのではないでしょうか。もちろん軽いローハイトリムであればヒルクライムメインに、60mmくらいのホイールを付ければ平地メインにと、それぞれ特徴を引き出すことができます。

どんなレベルの方がどんなシチュエーションで乗っても、満足できるオールラウンダーだと思います。2台目を考えている中級者の方も確実にステップアップできますし、1台目に選ぶのも間違いないでしょう。ただ、1台目に選んでしまうと次のバイクを考える時のハードルが高くなりすぎそうなことだけが問題でしょうか。


「レベルの高いレースバイクとして完成している」小室雅成(ウォークライド)

まず乗り始めて最初に感じたのは乗り心地の良さですね。テストコース傍にあるグラベルに突っ込んでみたのですが、ほとんど暴れないんです。空気圧も少し高めだったのですがそれでも跳ねないところに、このバイクの振動吸収性の良さを感じました。流石パリ~ルーベを走るために開発されたバイクだけのことはありますね。

快適性の高さは、素材の影響もあるでしょうがなによりも、薄く扁平になったシートステーによるところが大きいのではないでしょうか。先代のFENIXと比べても明らかにリアバックの突き上げが減っていることが感じ取れます。

「レベルの高いレースバイクとして完成している」小室雅成(ウォークライド)「レベルの高いレースバイクとして完成している」小室雅成(ウォークライド) 車重が軽いので登りでも活躍できるでしょう。特に長い登りでは軽さを活かして走っていくことができます。軽く、乗り心地が良いというと柔らかいバイクになってしまいがちなのですが、このバイクはそんなことはありません。しっかりとした剛性で、踏み込んだ力が逃げるということは全然ありません。

BB周りが非常にしっかりとしたつくりになっており、ペダルに加えた力をそのままリアホイールに伝えるようなダイレクト感が高いですね。ウィップ感は少なく、実際に登りでスプリントのようにもがいてもほとんどたわんでいる感覚はないので、パワーのあるライダーでも不満を感じづらいでしょうね。

BB周辺だけではなく、ヘッド周りの剛性も高いので、こじるようなバイクの振り方をしてもビクともしない強さがあります。フォークの出来も非常に良く、剛性の高いヘッドと相まって、コントロール性能にも不安はありません。少なくとも、私の体重(60kg)程度ではバイクの挙動は至って素直なものでした。

車重が軽いのでヒルクライムに向いていると思いますが、長い登りをシッティングでペースを刻みながら登っても、急坂をぐいぐいと力をかけながらダンシングで登っても、スッと前に出てくれる進みの良さを持っています。軽量で剛性高めながらも、バランスのとれたバイクに仕上がっていると感じますね。

総じて、かなりレベルの高いレースバイクとして完成していると感じました。登りの良さを活かしてヒルクライムレースに使うもよし、修善寺のようなダンシングを多用するコースでのロードレースでもよしと、コンペティティブな使い方がピッタリ来ます。一方で、快適性の高さを活かしてロングライドでの使用ももちろんアリでしょう。なんといっても疲れづらいバイクだと思います。

価格もかなりこなれているので、レースをメインに考えている人で、トップモデルにはちょっと手がでないな、と考えている人にはドンピシャのバイクだと思います。

リドレー FENIX SLリドレー FENIX SL photo:Makoto.AYANO
リドレー FENIX SL(フレームセット)
フレーム、フォーク素材:30、24トンカーボン
重 量:1,000g(Mサイズ)
カラー:FSL-01Am、FSL-01Bm、FSL-01Cs
サイズ:XXS、XS、S、M
価 格:235,000円(税抜)



インプレライダーのプロフィール

二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos) 二戸康寛(東京ヴェントス監督/Punto Ventos)
高校時代から自転車競技を始め、卒業後は日本鋪道レーシングチーム(現 TEAM NIPPO)に5年間所属しツール・ド・北海道などで活躍。引退後は13年間なるしまフレンドに勤務し、現在は東京都立川市を拠点とする地域密着型ロードレースチーム「東京ヴェントス」を監督として率いる。同時に立川市に「Punto Ventos」をオープンし、最新の解析機材や動画を用いて、初心者からシリアスレーサーまで幅広い層を対象としたスキルアップのためのカウンセリングを行っている。

東京ヴェントス
Punto Ventos


小室雅成(ウォークライド)小室雅成(ウォークライド) 小室雅成(ウォークライド)

1971年埼玉生まれ。中学生の時にTVで見たツール・ド・フランスに憧れ、高校生から自転車競技を始める。卒業と同時に渡仏しジュニアクラスで5勝。帰国後は国内に戻りトップ選手の仲間入りを果たす。ハードトレーニングが原因で一時引退するも、12年の休養期間を経て32歳で復活。42歳の際にJプロツアーいわきクリテリウムで優勝を飾って以降も現役を貫いている。国内プロトンでは最も経験豊かな選手の一人。ウォークライド所属。

小室雅成公式サイト
ウォークライド


ウェア協力:アソス


text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO
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