雨に濡れた石畳で落車が多発。サバイバルの様相を呈したジュニア男子ロードレースを制したのはフェリックス・ガール(オーストリア)。日本代表チームの最高位は「世界との差を感じた」という石上優大(横浜高校)の70位だった。



リビーヒルの石畳坂に差し掛かるプロトンリビーヒルの石畳坂に差し掛かるプロトン photo:Kei Tsuji
ジュニア男子日本代表 渡邉歩、沢田桂太郎、石上優大、小野康太郎ジュニア男子日本代表 渡邉歩、沢田桂太郎、石上優大、小野康太郎 photo:Kei Tsuji街のあちこちにある「VIRGINIA IS FOR LOVERS」街のあちこちにある「VIRGINIA IS FOR LOVERS」 photo:Kei Tsuji


リビーヒルの濡れた石畳で落車が多発するリビーヒルの濡れた石畳で落車が多発する photo:Kei Tsuji金曜日の夜に本降りになった雨は、土曜日の朝に小康状態に。天気予報は大雨を告げていたものの、蓋を開けてみると小雨がぱらつく程度で済んだ。しかし太陽が照らさないため路面は濡れたまま。土曜日の午前中に行われたジュニア男子ロードレースは序盤から落車やパンク、メカトラが連発する荒れた展開となった。

集団内で石畳坂を登る小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)集団内で石畳坂を登る小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ) photo:Kei Tsuji「誰かを守ることに集中すると全員がまとまって脱落する可能性があるので、それぞれが集団内で走り、終盤に残った選手で勝負する作戦です」と語るのは日本代表ジュニアチームを指揮する柿木孝之コーチ。前年大会で17位に入った石上優大を中心に、沢田桂太郎、渡邉歩、小野康太郎を揃えて8周回・129.6kmのレースに挑んだ。

石畳の登りをこなす沢田桂太郎(東北高校)石畳の登りをこなす沢田桂太郎(東北高校) photo:Kei Tsuji逃げと吸収を繰り返しながらレースは進み、落車やメカトラによって周回を重ねる毎に人数が絞られていくサバイバルな展開。タイムトライアルで圧勝したレオ・アッペルト(ドイツ)も落車によるディレイラー破損でシマノのニュートラルバイクでの走行を強いられた(28位でフィニッシュ)。

ペースが上がった集団内で石畳をクリアする渡邉歩(学法石川高校)ペースが上がった集団内で石畳をクリアする渡邉歩(学法石川高校) photo:Kei Tsuji残り2周に差し掛かったところでアドリアン・コスタ(アメリカ)らのペースアップによって14名が先行し、メイン集団がペースを上げて追走する。日本チームの中でこのペースアップに対応出来たのは石上だけ。小野はレース中盤に脱落し、渡邉は落車でDNF。粘った沢田も遅れた。

集団に食らいつく石上優大(横浜高校)集団に食らいつく石上優大(横浜高校) photo:Kei Tsuji先行していたコスタらが最終周回で吸収されると、勝負どころの「リビーヒル」と「23番通り」の登りを前にフェリックス・ガール(オーストリア)がアタックする。自分のラインで石畳坂を駆け上がったガールが独走のまま難所をクリア。集団の形がなくなるほど細分化された後続を振り切って、ガールが独走で最終ストレートに現れた。

クレモン・ブトゥアシュイール(フランス)とラスムス・ペデルセン(デンマーク)がスプリントで迫ったが、ガールは先頭を譲らずフィニッシュ。ブトゥアシュイールを僅差で振り切ったガールがジュニア世界チャンピオンに輝いた。オーストリア人選手によるロードレースでのアルカンシェル獲得は全カテゴリー通して初。

メイン集団から少し遅れて最終周回に入った石上は、周回中盤の平坦区間で先頭集団に復帰。しかし「最初のうちは石畳も楽に走れていたんですが、気付かないうちに消耗していました。周回を重ねるごとに石畳で脚が削られていった」という石上は勝負がかかった石畳の登りで集団から脱落した。

3分18秒遅れでレースを終えた石上は「去年の17位からのステップアップを狙っていたので悔しいですね」と唇を噛んだ。目標のトップ10には遥かに届かない結果に言葉が詰まる。

70位でフィニッシュラインを切った石上は「もう脚が動かないと思うほど、最後の登りを登れるか心配になるほど出し尽くしました。決して甘くみていたわけでないんですが、完全に(世界トップとの)差が出てしまった。少なからず選手全員の脚が削られている中でもパワーが出せるかどうか。そこに根本的な差を感じました」と厳しい闘いを振り返った。



タイムトライアル覇者レオ・アッペルト(ドイツ)がバイクを担ぐタイムトライアル覇者レオ・アッペルト(ドイツ)がバイクを担ぐ photo:Kei Tsuji23番通りの坂を登るプロトン23番通りの坂を登るプロトン photo:Kei Tsuji
横並びでフィニッシュするフェリックス・ガール(オーストリア)とクレモン・ブトゥアシュイール(フランス)横並びでフィニッシュするフェリックス・ガール(オーストリア)とクレモン・ブトゥアシュイール(フランス) photo:Kei Tsuji
3分18秒遅れでフィニッシュする石上優大(横浜高校)3分18秒遅れでフィニッシュする石上優大(横浜高校) photo:Kei Tsujiジュニア男子表彰台 2位ブトゥアシュイール(フランス)、優勝ガール(オーストリア)、3位ペデルセン(デンマーク)ジュニア男子表彰台 2位ブトゥアシュイール(フランス)、優勝ガール(オーストリア)、3位ペデルセン(デンマーク) photo:Kei Tsuji


UCIロード世界選手権2015ロードレース ジュニア男子結果
1位 フェリックス・ガール(オーストリア)        3h11’09”
2位 クレモン・ブトゥアシュイール(フランス)
3位 ラスムス・ペデルセン(デンマーク)           +01”
4位 レト・ミュラー(スイス)                +10”
5位 マルティン・サロモン(ドイツ)
6位 ニコラ・コンチ(イタリア)
7位 マティアス・ノルスガード(デンマーク)         +13”
8位 ネーサン・ドレイパー(イギリス)
9位 マルク・ヒルシー(スイス)
10位 ピット・レイダー(ルクセンブルク)          +20”

70位 石上優大(横浜高校)                +3’18”
93位 沢田桂太郎(東北高校)               +12’30”
DNF 渡邉歩(学法石川高校)
DNF 小野康太郎(スミタ・エイダイ・パールイズミ・ラバネロ)

text&photo:Kei Tsuji in Richmond, United States of America

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