いよいよ開幕したツール・ド・フランス。マイヨジョーヌを獲得し信じられない!と連呼するローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)や、静かに駒を進めた総合勢などのコメントを紹介します。



マイヨジョーヌを獲得したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)

第1ステージを制したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)第1ステージを制したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji
祈るように精神集中するローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)祈るように精神集中するローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Makoto.AYANOトップタイムを叩き出したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング)トップタイムを叩き出したローハン・デニス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Tim de Waeleマイヨジョーヌを着用できるかもしれないと信じられない気持ちで待っていたが、後続選手の走りを見ているのは非常に神経をすり減らしていた。ライバルが一人一人ゴールするのを観ていたけれど、残り2-1km地点でその選手の結果を理解できたよ。レース前に一度試走して、16分台の勝負になると思っていたけれど、実際は14分台ともっとずっと速かった。ある意味ショックだよ。トップ5に入るとは思っていなかったし、2位や3位になるとも思わなかった。カンチェラーラやマルティンに勝てるとも確信していなかったが、でもそこにチャンスがあった。驚き以上の何かを感じているよ。

僕はアデレードで育ったから、暑さはそこまで問題にならなかった。ツアー・ダウンアンダーに来る選手は知っているけれど、今日のコンディションは1月のアデレードに近い。だからドーフィネ以降の2週間、午後2時から5時の35°〜40°になるコンディションを狙ってトレーニングしていたんだ。

平均時速も55km/h以上と非常に速く、僕のアワーレコード更新に必要なスピード(笑)。ツールの初日にマイヨジョーヌを獲得することで周囲やメディアからのプレッシャーや経験値も一気に跳ね上がると思う。僕のグランツアーで勝つという目標に対しての第一歩だけれど、それにはまだまだ長い時間が掛かるだろう。チームは100%ヴァンガーデレンのために走るけれど、マイヨジョーヌを明日失うようなことにはしたくない。2,3日はこのジャージをキープしたいと思っているよ。

ステージ2位のトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)

2位に甘んじたトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) 2位に甘んじたトニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:Makoto.AYANO「熱にやられてしまった」トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ)「熱にやられてしまった」トニ・マルティン(ドイツ、エティックス・クイックステップ) photo:CorVosTTでの開幕は僕にとっても、チームにとってもマイヨジョーヌをユトレヒトで獲得できる最高のチャンスだと分かっていた。100%ベストな準備ができていたし、チームスタッフからの最高なサポートも受けることができていた。だからレースに非常に集中することができていたんだ。でも今日は少しだけ熱にやられてしまった。暑さの中でローラー台を回し、15分のTTに挑むのは簡単ではないし、後半には既に疲れが出てしまっていたんだ。

普通スタートして5km〜7kmはウォーミングアップで、それから自分のレースがスタートするのが常なのに、今日はリズムが掴めなかった。ベストは尽くしたが、あまり良いタイムでないことも分かっていた。でも全てを加味して2位という結果に対してはハッピーだ。常に勝ちたいと思っているけれど、今日はデニスの走りに感服したよ。

ツールの第1週目は常に危険がつきまとうけれど、エティックス・クイックステップがそういったコースに対して強みがあることは誰もが知ること。だからその分、今日マイヨジョーヌを獲得できなかったことが残念だ。でもツールはまだ始まったばかりだから、これからに期待したい。

3位に甘んじたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)

3位に甘んじたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)3位に甘んじたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) photo:CorVos50秒差のステージ39位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)50秒差のステージ39位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele非常に暑く、コース半分の時点で口の中がとても乾いてしまっていた。深く呼吸するのも難しかったし、飲み込むのもできないほどだった。でも2週間前よりもコンディションは良くなっている。もちろんマイヨジョーヌを獲得するためにレースを走ったから、その意味では落ち込んでいる。でも一方で、現時点でのベストな走りができたと思う。もう少し風が弱ければ分からないが、まぁこういう議論はあまり意味が無い。

まだ明日のことを考えられていないし、今の自分に必要なのはこの落ち込みぶりを払拭することだと思う。もっと良い結果を期待していたけれど、これがスポーツだ。これまで幾つもの大きな勝利で自分自身を証明してきたが、今日の僕にはそれが無かった。皆が僕にTTスペシャリストとしての走りを期待していたけれど、今日はパーフェクトでは無かったし、熱にやられてしまった。言い訳ではなく、これがリアルだった。

好調な滑り出しを見せたクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)

無難にまとめたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)無難にまとめたアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVos短いコースでのTTは非常にタフなものだった。上手く初日を終えることができて良かったと思っているし、総合勢はおおよそ同じような結果だった。結果についてはとてもハッピーだ。コースについては序盤にスタートした選手のほうが少しだけアドバンテージがあったように思う。後半には風が強く吹き始めてきたからだ。自分にとっては長距離TTの方が間違いなく向いているし、ずっと山岳の練習に時間を費やしてきた。こうした状況の中で好結果を出すことができた。

アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がフィニッシュラインを切るナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)がフィニッシュラインを切る photo:CorVos非常に難しいタイムトライアルだったが、感覚や脚の調子はとても良かった。コースは非常にスピーディーなレイアウトで、序盤は少し抑えめ、後半は攻めの走りをしようと思っていた。終盤にはややパワーダウンしてしまいゴールでは失速してしまったが、結果的には普通のタイムトライアルで、ライバル勢もほんの数秒以内に位置している。

風がレースに影響したとはあまり感じていない。もし強く吹いたところでそれは全員が同じシチュエーションだから。つまり高温もあまり大きな要素にはなっていないと思う。もう一度言うけれど、ライバル勢が数秒以内に位置しているのは、個人的意見では良かったと思う。

タイムを失ってしまったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

グランツールの開幕はいつだって難しい。以前にTTを走ってからずいぶんと間隔が空いてしまった。かなり厳しい結果になってしまったが、身体的には好調に感じている。

各選手のコメントはチーム公式サイト、レース公式サイトより。

text:So.Isobe
photo:Makoto.AYANO,Kei.Tsuji,CorVos,Tim de Waele