アメリカ・ウィスコンシン州に居を構えるバイクブランド、トレックの旗艦モデル「Madone」がフルモデルチェンジ。洗練されたKVFチューブやインテグレーテッドデザインによって空力性能を高め、IsoSpeedテクノロジーを搭載することで快適性を飛躍的に向上させた新型エアロロードだ。



トレック Madone RSLトレック Madone RSL (c)トレック・ジャパン
2003年の登場からトレックのフラッグシップモデルとして数々のビッグレースで勝利に輝いた「Madone」。その10年目にあたる2013年にデビューした7シリーズは、エアロダイナミクス、剛性、快適性というロードバイクに求められるあらゆる性能を兼ね備えた1台であった。

そんなMadoneが「ただエアロのみを追求したバイクではなく、最高の快適性を備えたエアロロードを誕生させること」というコンセプトのもと、今年フルモデルチェンジを果たした。既にクリテリウム・ドゥ・ドーフィネやツール・ド・スイスなどで実戦投入されており、これから始まるツールで選手たちを支えることになる。

ワイヤーも内蔵化し、細身のシェイプとすることで空気抵抗の削減をはかったワイヤーも内蔵化し、細身のシェイプとすることで空気抵抗の削減をはかった (c)トレック・ジャパンチューブ・イン・チューブとIsoSpeedの組み合わせで高い快適性を実現したチューブ・イン・チューブとIsoSpeedの組み合わせで高い快適性を実現した (c)トレック・ジャパンKVF形状とすることで前方投影面積を小さくしたKVF形状とすることで前方投影面積を小さくした (c)トレック・ジャパン


今回のフルモデルチェンジにあたって大きく変更された空力パッケージ。Madoneのアイデンティティであった「KVF(Kammtail Vartual Foil)」チューブが見直され、より翼断面に近しい形状に。これを各チューブやフォークに採用。加えて、ボトルの取り付け位置なども細かく設定することで、正面からの風に対する抵抗はもちろん、横風に対する抵抗を大きく軽減させることに成功した。

ベロドローム内でのテストにおいて、一般的なロードバイクに比較して40km/hで単独走行時には19W、集団走行時には14Wものパワーを軽減させている。

新たに設計されたハンドルバーステムは、現行のボントレガーXXX AEROバーと比べ、 最大34グラムの抵抗を削減した新たに設計されたハンドルバーステムは、現行のボントレガーXXX AEROバーと比べ、 最大34グラムの抵抗を削減した (c)トレック・ジャパンKVF形状を採用したシートチューブとポストKVF形状を採用したシートチューブとポスト (c)トレック・ジャパン

KVF形状を採用したストレートブレードのフォークエンドはカーボンとすることで、高いハンドリング性能を実現したKVF形状を採用したストレートブレードのフォークエンドはカーボンとすることで、高いハンドリング性能を実現した (c)トレック・ジャパンボリュームのあるダウンチューブはEmondaのような変形をするというボリュームのあるダウンチューブはEmondaのような変形をするという (c)トレック・ジャパン


さらに、フレームと各パーツを一体化を進めることで、空気抵抗を徹底的に排除。センタープル方式のオリジナルブレーキは、フロントはフォークと、リアはシートステーとのインテグレーテッドデザインとされている。フロントはワイヤーなどを覆うVector Wingsというカバーを装備することで、空力効果を向上させている。

ワイヤー類はKVF形状でエアロ効果を高めたハンドルバーステムからヘッドチューブ、各出口に至るまでフル内蔵化された。リアブレーキワイヤー出口もシートチューブに設けることで、ワイヤーが風にさらされることを防いでいる。

カーボンドロップエンドとし軽量性を追求したカーボンドロップエンドとし軽量性を追求した (c)トレック・ジャパンブレーキのエアロカバー「Vector Wings」はハンドリング時に開閉するため、ワイヤーなどが干渉することも少ないブレーキのエアロカバー「Vector Wings」はハンドリング時に開閉するため、ワイヤーなどが干渉することも少ない (c)トレック・ジャパン


細身のヘッドチューブなどフレーム設計を見直し空力性能を高めた細身のヘッドチューブなどフレーム設計を見直し空力性能を高めた (c)トレック・ジャパン加えて、エアロフレームで犠牲にされがちな快適性やハンドリング性能を向上させるために、新型Madoneではトレックファクトリーレーシングの選手たちのフィードバックに基づいてカーボンレイアップを最適化している。その結果、Emondaと同等の柔軟性を実現し、快適かつ優れた走行性能を獲得している。

そしてエンデュランスモデルDOMANEで用いられていたIsoSpeedテクノロジーが採用されたこともトピック。KVFチューブの内側にもう一本チューブを備え付け、このチューブをしならせることで、競合エアロバイクよりも57%高い振動吸収性を実現している。

このように走行性能を追求したバイクであるが、整備性の面も考慮され設計されている。ブレーキはクイックリリース機能が備えられていたり、本体のネジでセンター出しなどの調整が行えるなどの配慮がされている。もちろん、Vector Wingsを取り外しての調整も可能だ。Vector Wingsはハンドリングによって自動的に開閉されるため、ハンドルを切った際もワイヤーがフレームに干渉しづらくなっている。

ダウンチューブにはControl Centerと呼ばれる窓を設け、そこから、機械式ならばフロントディレイラーのワイヤーテンション調整が、電動式ならばバッテリーの充電が可能だ。ハンドルバーステムには専用のトップキャップとスペーサーを採用することで、エアロ効果を維持しながらワイドな調整幅を確保している。

エアロ形状化したシートポストは無段階で微調整が可能なローターリーヘッドを採用し、シビアなポジション変更にも対応。またシートポストはリアリフレクターやライト用のブラケットも組み込まれているこ。ANT+及びBluetooth対応するシートステー内蔵型スピード/ケイデンスセンサー「DuoTrap S」や一体型のチェーンキャッチャーを採用することで使い勝手にも配慮した。

トレック Madone 9.9トレック Madone 9.9 (c)トレック・ジャパントレック Madone 9.9Women'sトレック Madone 9.9Women's (c)トレック・ジャパン

トレック Madone 9.5トレック Madone 9.5 (c)トレック・ジャパントレック Madone 9.2トレック Madone 9.2 (c)トレック・ジャパン


新型Madoneのハイエンドモデルは、最高峰OCLV700カーボンとレーシーなH1フィットを採用した「RSL」シリーズだ。RSL(レースショップリミテッド)にはシマノ Dura Ace Di2完成車とフレームセットの2種類が用意されている。

セカンドグレードはOCLV600カーボン製の「9」シリーズ。ジオメトリーはH1よりもややアップライトなH2フィットと、女性向きWSDフィットの2種類。9シリーズにはシマノ Dura Ace Di2完成車の「9.9」と「9.9Women's」、シマノ Dura Ace完成車の「9.5」、シマノ Ultegra完成車の「9.2」、フレームセットという5種類が揃う。




トレック Madone RSL
ジオメトリー:H1
カーボン素材:OCLV700
メインコンポーネント:Dura Ace Di2完成車
価格:1,650,000円(税込)

トレック Madone 9.9
ジオメトリー:H2
カーボン素材:OCLV600
メインコンポーネント:Dura Ace Di2完成車
価格:1,450,000円(税込)

トレック Madone 9.9Women's
ジオメトリー:H2
カーボン素材:OCLV600
メインコンポーネント:Dura Ace Di2完成車
価格:1,450,000円(税込)

トレック Madone 9.5
ジオメトリー:H2
カーボン素材:OCLV600
メインコンポーネント:シマノ Dura Ace
価格:820,000円(税込)

トレック Madone 9.2
ジオメトリー:H2
カーボン素材:OCLV600
メインコンポーネント:シマノ Ultegra
価格:650,000円(税込)

トレック Madone RSL フレームセット
ジオメトリー:H1
カーボン素材:OCLV700
価格:720,000円(税込)

トレック Madone 9 フレームセット
ジオメトリー:H2
カーボン素材:OCLV600
価格:550,000円(税込)

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