2度目の休息日を迎えたジロ・デ・イタリアに、首位独走中のアルベルト・コンタドールが記者会見を開催。慎重になりつつも、2度目のマリアローザ獲得を目指すコンタドールは今度の展開について自信をのぞかせています。



休息日のプレスカンファレンスに出席したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)休息日のプレスカンファレンスに出席したアルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVos
記者会見が行われたのは、2度目の休息日である5月25日の月曜日。チーム公式HPに掲載された、そこでの質疑応答の内容を翻訳して紹介します。

— モルティローロについてはどんな思い出がありますか?

「モルティローロは2008年のジロで走ったの時のことを先ず思い出した」「モルティローロは2008年のジロで走ったの時のことを先ず思い出した」 photo:CorVos2008年のジロで走ったの時のことを先ず思い出した。マリアローザを着ていたけれど、その時のリードは僅かに4秒。2位につけていた(リカルド・)リッコが僕のことを試す様にアタックしてきたけど、僕はなんとか耐えてリーダージャージを守ることができたんだ。

「ゾンコランがこれまでの山岳の中で一番ハード」(写真は2011年のジロ第14ステージ)「ゾンコランがこれまでの山岳の中で一番ハード」(写真は2011年のジロ第14ステージ) photo:Riccardo Scanferla2011年のジロには登場しなかったけど、昨年参加したグランフォンドではモルティローロを登っている。個人的には好みの峠でとても難しいが、調子さえ良ければライバル達からタイムを稼ぐことが可能だ。今回は休息日明けに登場することもあって、我々チームとしては何が起こっても大丈夫なよう、いつも以上に注意しなくてはならない。

— モルティローロの結果が今年のジロを左右する最大の要因になる?

運に見放されリタイアしたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)運に見放されリタイアしたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ) photo:Kei Tsujiそうとは思わないし、他にも決定打になりうるシチュエーションがある。第3週は3つの山岳ステージが設定されているが、最終日を除いた残りの2ステージも決して軽視できない。ここまでの展開でもそうであった様に、毎ステージで何かしらのハプニングが起こり、総合順位が変動してきたからね。

— これまでレースで走ってきた山岳の中で最もハードだったのは?

いくつか思い当たるけど、ハイライトはゾンコランだ。その理由は一瞬たりとも休むことができないから。その過酷さはモルティローロや(ブエルタに登場する)アングリルを上回っている。

— 今日リタイアしたリッチー・ポート(オーストラリア、チームスカイ)については、どんなライダーだと捉えているのでしょうか。また将来ポートがグランツールを制す可能性についても教えてください。

好調な時の彼は、登りでもタイムトライアルでも非常に強力。好調な時こそ、自らをより自制することで、彼はさらに強くなれるだろう。もちろん、リッチーが将来グランツールを制す可能性は多いにある。

— なぜ今年のブエルタをレーススケジュールから外したのでしょうか?

今はジロにだけ集中している。そして、ジロが終わったらシーズンオフについて考えるだろう。去年の様に落車したり、調子が悪かったりと、ツールで何か起こらない限り、基本的にはブエルタには参加しない予定だ。

— この時点でこの結果になっているとは予想していましたか?

開幕したときには、こんなにもタイム差がつくとは思っていなかった。マリアローザを獲得できるだろうという自信はあったが、3週目の山岳でのことになると感じていた。この状況には嬉しく思っているし、予想以上の結果になっている。

総合2位につけるファビオ・アル(イタリア)総合2位につけるファビオ・アル(イタリア) photo:CorVos
「現時点でこのタイム差がついているとは思っていなかった」アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ)「現時点でこのタイム差がついているとは思っていなかった」アルベルト・コンタドール(スペイン、ティンコフ・サクソ) photo:CorVos— アルとの間にあるのは単純に脚力差?それとも経験の差?

「ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)がフリーに動けば表彰台に乗ってくると思う」「ミケル・ランダ(スペイン、アスタナ)がフリーに動けば表彰台に乗ってくると思う」 photo:CorVosどちらもあると思う。もちろんタイムトライアルは単純に脚の差であるけれど。僕はこれまでにたくさんのグランツールを走ってきたが、彼は僕よりも経験値が低い。彼は素晴しい選手だし、メディアも多く取り上げ、そしてこれから多くの偉業を成し遂げるはずだ。彼と戦うのはハードだし、まだこれからジロは1週間も残っている。

— どのようにキャリアを終えたいのかを考えていますか?

グランツール優勝戦線で戦いつつ引退したいと考えている。その時はもし勝てずとも全力を尽くして走り切りたい。それ以降でも現役生活を続ける事はできると思うが、第一線級のレベルのまま引退したいとずっと考えてきた。ダブルツール(ジロとツールを1年のうちに総合優勝すること)はかなり難しいと思うが、でもそれが僕の選んだ道なんだ。

— 2008年にジロを勝った時、一つもステージ優勝が無かった事を示唆する声もありました。ステージ優勝は重要なこと?それともエネルギーをセーブする事が先決?

現時点ではステージ優勝は2番目。そこに注力して総合順位を危険にさらすことはできない。もしステージ優勝できたら良いが、それよりもライバルからタイムロスしないことの方が重要になってくる。これはチームとしての考えでもあるし、3週目に向けても大事なこと。

— 他に誰が総合表彰台に登ると思いますか?

それは各選手がどう走るかによって変わってくる。アマドールやトロフィモフ、ケーニッヒなどは調子が良いし、アスタナのランダやアルも強力だ。彼らがどういった戦術を使ってくるか注意しなければならないが、予言するのは難しい。ただ、アルは3位と2分差以上をつけているから乗ってくる。そして、もしランダがアルのアシストから離れてフリーになれば彼にもチャンスが大きく残されていると思う。

— ツールにはよりプライオリティを置くフルームやキンタナがジロを回避して出場しますが、ダブルツールはより難しい?

それはよく分からない。他にもニーバリや、若く勢いのある選手も次々と台頭してきている。自分がキャリアをスタートさせた時はエヴァンスやアームストロング、ライプハイマーといった世代がライバルで、同世代としてはニーバリやアンディ・シュレックだった。今はキンタナやアルが一番伸びてきている。10年も選手生活をしていれば、常に新しい選手が活躍してくるもの。誰がどのレースに出るのかなんて、いちいち確認していられないよ。

text:So.Isobe,Yuya.Yamamoto
photo:CorVos,Kei.Tsuji