アマチュアのステージレースの最高峰『2days race in 木祖村』が5月16日から始まった。このレースは、長野県木祖村にある味噌川ダムを周るコースで、2日間に個人タイムトライアルを含む3ステージ計203,5kmで競われる本格的なステージレースだ。

味噌川ダムの周回路はアップダウンもあり厳しいものだ味噌川ダムの周回路はアップダウンもあり厳しいものだ photo:Chiho.Iwasa
シャンパンファイトやチームカーの追走車両、ボーナスタイムなどステージレースの面白さが盛りだくさん詰め込まれたこのレースに、今年は35チーム160人が参戦した。今年より個人総合上位10名までに全日本ロードの出場資格が与えられることになった。



ステージ1a 個人タイムトライアル8.5km

サポートカーを従えて走る中村龍太郎(イナーメ)がトップタイムサポートカーを従えて走る中村龍太郎(イナーメ)がトップタイム photo:Chiho.Iwasa
1位中村龍太郎(イナーメ)、2位浦佑樹(東京大学自転車競技班)、3位ジェイソン・バラド(NEILPRYDE-南信スバル)1位中村龍太郎(イナーメ)、2位浦佑樹(東京大学自転車競技班)、3位ジェイソン・バラド(NEILPRYDE-南信スバル) photo:Chiho.Iwasa初日はまず8.5kmの個人タイムトライアル(ステージ1a)が行われた。朝から雨が降り、路面が濡れる中選手たちは試走。例年なら、昼前に風が強くなったりし、出走順位が早い選手が有利な場合が多いが、今年はスタート開始頃に雨が止み、後半になるにつれ路面も渇き、走る条件は良くなって行った。そんな中、比較的早いチーム内での第2走者68番出走でスタートした中村龍太郎が11分31秒41のトップタイムを叩き出した。

マイヨ・ジョーヌに袖を通して歓喜する中村龍太郎(イナーメ)マイヨ・ジョーヌに袖を通して歓喜する中村龍太郎(イナーメ) photo:Chiho.Iwasa終盤11分40秒台の好タイムを叩き出す選手も現れるが、30秒台の選手は現れず。中村がトップを守りきり、ステージ、総合、スプリントの3賞を獲得し、リーダージャージに袖を通した。このレースでの表彰台ではおなじみの中村選手だったが、木祖村では初のステージ優勝で人生初のシャンパンファイトに喜びもひとしおだった。

優勝した中村は、「去年は2位で、チームメイトのポール(ソウルズベリー)さんが勝ったので取れなくても良かったんですが、今日はポールさんがアクシデントで前輪パンクしてしまいました。それがなかったら、ポールさんが勝っていたと思います。その穴が埋められて良かったです。雨は上がっていたけれど路面は濡れていたし、試走の段階では雨が降っていたので、びびってしまった。このコースはほとんどDHバーを持って走れるんですけど、ブレーキを握ることが何回かあったので、そこがタイム伸びなかった理由かな、と思います。高岡さんがいい位置にいるので、僕と高岡さんのタイムを考えてながら、イエロージャージがキープできるように頑張りたいです」と語った。



ステージ1b ロードレース75km

味噌川ダムを周るコースで開催された2days race in 木祖村味噌川ダムを周るコースで開催された2days race in 木祖村 photo:Chiho.Iwasa
ステージ1bのスタートラインに並んだ3賞ジャージの選手たちステージ1bのスタートラインに並んだ3賞ジャージの選手たち photo:Chiho.IwasaTTでのリードでイエロージャージに袖を通した中村龍太郎(イナーメ)TTでのリードでイエロージャージに袖を通した中村龍太郎(イナーメ) photo:Chiho.Iwasa


京産大の3人が積極的に動き逃げてレースをリードする京産大の3人が積極的に動き逃げてレースをリードする photo:Chiho.Iwasaステージ1aが終了し、1時間もしないうちの15時10分から行われたステージ1bは味噌川ダムの9kmの周回コースを9周(うち6.5kmローリングスタート)する計75kmでレースが行われた。

ステージ1bを制した間瀬勇毅(京都産業大学)ステージ1bを制した間瀬勇毅(京都産業大学) photo:Chiho.Iwasaスタートからいくつかのアタックがかかるも決まらず。4周目、京都産業大学の3人含む11人の逃げグループができ、集団との差が開いていく。その後、パンクなどがあり2名が脱落、9人になったままレースは進み、集団は逃げに高岡を送り込んだイナーメや3人が逃げに入った京都産業大学がコントロールし、差は1分以上開いたまま。一人脱落して8人になった先頭グループで勝負は確実になった。数では有利な京都産業大学の間瀬勇毅が最後の上りでアタック。京都産業大学のOBたちがバナーを立てて応援するゴールラインに単独で飛び込んだ。2位、3位には中井兄弟が入り、京都産業大学がワンツースリーを独占した。

集団前方で走る宇田川陽平(WALKRIDE)集団前方で走る宇田川陽平(WALKRIDE) photo:Chiho.Iwasaステージ優勝した間瀬は、「逃げに3人京産がいたので、チームメイトが僕のためにアシストしてくれた。後ろの集団のチームメイトも集団を抑えると貸してくれ、全員が役割をそれぞれできたので僕が勝つことができました。チームメイトがアシストしてくれたので、最後僕がスプリントで発射する形になりました。OBの方々も応援に来てくれ、監督も木祖村で勝ちたいと言っていたので期待にこたえられて、良かったです。総合を狙って明日は走ります」と、今日手にできなかった総合トップを狙う。

ステージ1bは京都産業大学のワンツースリーとなったステージ1bは京都産業大学のワンツースリーとなった photo:Chiho.Iwasa総合成績は、タイムトライアルで4位だった宇田川陽平がトップに躍り出た。宇田川は「最初のTTでトップと15秒差の4位だったので、ステージ優勝した中村君をマークしながらスプリントを考えていました。たまたま逃げができたので、チームメイトと一緒に逃げに乗らないか? と話をして逃げに乗ったら、いい逃げで最後まで逃げ切れていい結果になりました。チームメイトが逃げにいたので心強かったです。初めてのリーダージャージ、シャンパンファイトも気持ちよかったです。リーダージャージを着て走るのは楽しみです」と黄色いジャージに喜びいっぱいだった。総合2位にはステージ優勝した間瀬が7秒差、総合3位は高岡(イナーメ)が10秒差でつけている。ボーナスタイムなどあるため、まだ明日のレース次第で総合は誰になるか分からない。

このレース独自の40歳以上が対象のO-40は、高橋伸成(桜台レーシングチーム)がトップとなった。若者たちの戦いの裏で行われるO-40ピンクジャージ争いも見所だ。

明日は午前中にジュニアと今日リタイアしてしまった選手が出場できる残念レース(72km)があり、12時からステージ2が行われる。9kmを14周する(うち6.5kmローリングスタート)する計120kmと長丁場のロードレース。今日とはまた違ったレース展開となる熱い戦いが繰り広げられるだろう。果たして、今年の勝者は誰になるのか、最後まで目が離せない。

初日の総合リーダーとなった宇田川陽平(WALKRIDE)がイエロージャージに袖を通す初日の総合リーダーとなった宇田川陽平(WALKRIDE)がイエロージャージに袖を通す photo:Chiho.Iwasa各賞ジャージに袖を通した選手たち各賞ジャージに袖を通した選手たち photo:Chiho.Iwasa


2days race in 木祖村2015 1日目の結果
ステージ1a結果
1位 中村龍太郎(イナーメ) 11分31秒41
2位 浦 佑樹 (東京大学自転車競技班) +13秒 
3位 ジェイソン・バラド(NEILPRYDE-南信スバルCYCLING TEAM)+13秒 
4位 宇田川陽平(WALKRIDE)+15秒
5位 ブルノ・ゲゼ(NEILPRYDE-南信スバルCYCLING TEAM)+18秒

ステージ1b
1位 間瀬勇毅(京都産業大学) 1時間56分18秒
2位 中井路雅(京都産業大学) +5秒
3位 中井唯晶(京都産業大学) +5秒
4位 高岡亮寛(イナーメ)+8秒
5位 風間博之(サイクルフリーダム)+8秒

個人総合時間(1日目終了時点)
1位 宇田川陽平(WALKRIDE)2時間08分16秒
2位 間瀬勇毅(京都産業大学) +7秒
3位 高岡亮寛(イナーメ) +10秒
4位 風間博之(サイクルフリーダム) +18秒
5位 中井路雅(京都産業大学)+29秒

photo&text:Chiho.Iwasa

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