5月10日から17日までの8日間、北米最大級のステージレースである第9回ツアー・オブ・カリフォルニアが開催される。ジロ・デ・イタリアと開催期間が重複するものの、今年のスタートリストにはジロを回避した有力スプリンターが勢揃いした。



北米最大のステージレース、ツアー・オブ・カリフォルニアが今年もやってきた北米最大のステージレース、ツアー・オブ・カリフォルニアが今年もやってきた photo:www.amgentourofcalifornia.com


ツアー・オブ・カリフォルニア2015 コースマップツアー・オブ・カリフォルニア2015 コースマップ 2006年から開催され、今年で記念すべき10回目を迎える北米最大級のステージレース、ツアー・オブ・カリフォルニアだ。ジロ・デ・イタリアと同時期ながら例年多くのUCIワールドツアーチームが参加し、その多くがエース級の選手を引き連れてくる。

ツアー・オブ・カリフォルニア2015第7ステージ コースプロフィールツアー・オブ・カリフォルニア2015第7ステージ コースプロフィール レース名の通り、アメリカ西海岸の大部分を占め、日本よりも広大な土地面積を誇るカリフォルニア州が舞台。2015大会は例年同様にサンフランシスコ周辺からロサンゼルスへ南下するコースが取られ、州都であるサクラメントをスタートし、ロサンゼルス中心街にゴールする。

第1~3ステージは州北部で、第6~8ステージは州南部で、そして第4~5ステージはその中間にあたる州中心部で開催される。全8ステージ、1151.6kmに渡る行程で総合争いは決着する。

開幕となる第1ステージはサクラメントを発着点とする今大会最長の203.1km。途中にはカテゴリー山岳おろか一つの登りも無いオールフラットコースでは、リーダージャージ獲得を狙うスプリンターのバトルが繰り広げられる。第2ステージも引き続きスプリントステージで、第3ステージは丘越えフィニッシュのパンチャー向け。4、5ステージも引き続きスプリントステージだが、アタッカーたちも虎視眈々とチャンスを狙っている。

総合争いが加熱するのは第6ステージから。ビッグベアレイクを半周する24.2kmの個人TTで大きく成績にシャッフルが掛かり、マウント・バルディに登り詰める第7ステージ(獲得標高3536m)で金色のリーダージャージ着用者が選び出される。最終日を締めくくるのはロサンゼルスでの華やかなスプリント合戦だ。



ツアー・オブ・カリフォルニア2015ステージリスト
5月10日(日)第1ステージ サクラメント~サクラメント 203.1km
5月11日(月)第2ステージ ネバダシティ~ローダイ 193.7km
5月12日(火)第3ステージ サンノゼ~サンノゼ 169.8km
5月13日(水)第4ステージ ピズモビーチ~アヴィラビーチ 173.1km
5月14日(木)第5ステージ サンタバーバラ~サンタクラリタ 154km
5月15日(金)第6ステージ ビッグベアレイク~ビッグベアレイク 24.2km(ITT)
5月16日(土)第7ステージ オンタリオ~Mt.バルディ 128.7km
5月17日(日)第8ステージ ロサンゼルス~ロサンゼルス 105km



豪華スプリンターの競演 総合優勝に輝くのは誰か

ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)ペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele今年のカリフォルニアに出場するのは8つのワールドチーム(スカイ、エティックス、BMC、ジャイアント、ティンコフ、トレック、ロットNL、キャノンデール)を含む18チームから141名の選手たち。ジロ・デ・イタリアを回避した豪華スプリンターが今年も多く集っている。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ) photo:Kei Tsujiその筆頭は2014年と2013年に2勝づつ勝ち星を上げ、通算11勝と非常にカリフォルニアと相性の良いペーター・サガン(スロバキア、ティンコフ・サクソ)。今年はティレーノ〜アドリアティコの1勝のみとくすぶっているが、ここカリフォルニアで勝ち癖を取り戻せるか。

テオ・ボス(オランダ)をはじめ、MTNキュベカは一軍メンバーをフル参戦させているテオ・ボス(オランダ)をはじめ、MTNキュベカは一軍メンバーをフル参戦させている photo:CorVos2012年の総合優勝者、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)2012年の総合優勝者、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ) photo:CorVos一方でツアー・オブ・ターキーで3勝するなど自他ともに認める程好調の真っ只中にいるのがマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、エティックス・クイックステップ)だ。昨年2勝、通算5勝とコンスタントに勝ち星を挙げており、マーク・レンショー(オーストラリア)、マッテオ・トレンティン(イタリア)がゴール前でカヴのためにトレインを組む。カヴが登りで遅れた場合は大ブレーク中のジュリアン・アラフィリップ(フランス)がエースを担うはずだ。

MTNキュベカも強力なメンバーを組んでおり、タイラー・ファラー(アメリカ)、テオ・ボス(オランダ)、ゲラルド・チオレック(ドイツ)、マシュー・ゴス(オーストラリア)という誰もがゴールラインを狙える布陣。ペーター・ケノー(イギリス、チームスカイ)、ダニー・ファンポッペル(オランダ、トレックファクトリーレーシング)、ワウテル・ウィッパート(オランダ、ドラパックプロサイクリング)、アメリカナショナル王者のエリック・マルコット(スマートストップ)もスプリントに華を添える。

総合では昨年優勝のブラドレー・ウィギンズ(イギリス)と2013年優勝のティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)は共に出場せず。

注目を集めるのは2012年優勝、ツールに向けて調整中のロバート・ヘーシンク(オランダ、ロットNLユンボ)や昨年22歳ながら総合3位に入ったアメリカ期待のオールラウンダー、ローソン・クラドック(ジャイアント・アルペシン)だろう。クラドックにはワレン・バーギル(フランス)という心強いアシストがつく。

対抗するのは"ピットブル"のニックネームを持つアンドリュー・タランスキー(アメリカ、キャノンデール・ガーミン)で、キャノンデールはジョー・ドンブロウスキーなど若手中心でメンバーを組んできた。MTNキュベカのジャック・ファンヤンレンスバーグとヨアン・ヴァンジルの南アフリカコンビ、ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア)などアフリカ勢もダークホースとして注目したい。

text:So.Isobe