2月27日、UCI(国際自転車競技連合)がプレスリリースを出し、アスタナに条件付きで授与していたUCIワールドツアーライセンスを取り消すことを要請すると発表した。独立監査機関による監査結果とチームによる説明の間に大きな隔たりがあったためとしている。



チームリーダーを担うヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)チームリーダーを担うヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele2014年12月11日、UCIは条件付きでカザフスタンのアスタナにUCIワールドツアーライセンスを授与した。その条件とは、独立監査機関のISSUL(ローザンヌ大学スポーツ科学センター)が継続的にチームの組織を監査すること。アスタナはUCIワールドツアーライセンスを保有するUCIプロチームとして2015年シーズンをスタートさせたが、2月27日、UCIがそのライセンスに待ったをかけた。

アレクサンドル・ヴィノクロフGM(アスタナ)アレクサンドル・ヴィノクロフGM(アスタナ) photo:Kei TsujiISSULから提出された膨大なレポートを精査したUCIは、アスタナがライセンス更新の際に行ったチーム理念や組織的な取り組みの説明とチームの現実の間に大きな違いがあると判断した。加えて、イタリア当局から提出されたパドヴァのドーピング捜査結果が、複数のアスタナ所属選手のドーピング関与を裏付けるものだったとしている。

UCIの要請はアスタナのUCIワールドツアーライセンス取り消し。今後UCIのライセンス委員会が招集され、そこで最終的な決定が下される。

仮にUCIの要請通りライセンス委員会がアスタナのUCIワールドツアーライセンスが取り消せば、アレクサンドル・ヴィノクロフGM率いるカザフスタンチームはUCIプロコンチネンタルチームとして2015年シーズンを戦うことになる。つまりヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)の連覇が懸かったツール・ド・フランスを含むUCIワールドツアーレースにはワイルドカードを獲得して出場しなければならない。

今回のUCIの発表を受けて、まだアスタナ側は声明を出していない。ライセンス委員会の決定によっては、アスタナがCAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴することも考えられる。イグリンスキー兄弟(カザフスタン)のドーピング陽性に端を発したアスタナのライセンス問題は泥沼化の様相を呈している。

text:Kei Tsuji