前半に決まった各チームのスピードマンが入った9人の逃げ。阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)がゴールスプリントを制し今季2勝目を挙げた。年間総合首位のホセ・ビセンテ(個人)と宇都宮ブリッツェン(チーム)はそれぞれさらにリードを広げている。



阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が逃げ集団のスプリントを制し優勝阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が逃げ集団のスプリントを制し優勝 photo:Hideaki TAKAGI


F 高橋希代子(KINAN AACA)が独走するF 高橋希代子(KINAN AACA)が独走する photo:Hideaki TAKAGI10月26日(日)、Jプロツアーとなってから3回目の美浜クリテリウムが愛知県知多郡美浜町で行なわれた。コースは1周3.75kmで緩く狭い上り区間と幅広く直線状の区間やカーブで構成されるもので、この上り区間とその後のアップダウンがアタックポイント。前日にツール・ド・フランスさいたまクリテリウムに出場した選手たちも出場した。なお地元ではさらに周回距離の長いコースでロードレースをする考えもある。

F ゴール 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)が優勝F ゴール 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI女子は智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)が4連勝

序盤から先頭を多く引くのは高橋希代子(KINAN AACA)。元プロトライアスリートでアジアチャンピオン4回の高橋はレースの大半を先頭で走り、1周を独走することも。ゴール前は高橋がロングスパートをかけたが集団が吸収、接戦を智野が制しこれで4連勝。

智野は前日の山口県大星山ヒルクライムに参加してからの強行軍。気になる年間総合成績は、山口県きらら浜で当日に行なわれたレースで棟近陽子(EURO-WORKS Racing)が2位に入り、棟近1267点、智野1252点で15点差で棟近がリーダージャージをキープしている。残すは11月2日のおおいたサイクルロードレースと11月8日の幕張クリテリウムのみ。この2戦へ棟近と智野はともにエントリーしてる。最終戦まで目が離せない。(10月29日加筆)



P1:阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)が今シーズン2勝目

2周目へ、アタックの応酬2周目へ、アタックの応酬 photo:Hideaki TAKAGI5周目、アタックの応酬で前に伸びる集団5周目、アタックの応酬で前に伸びる集団 photo:Hideaki TAKAGI6周目、入部正太朗(シマノレーシング)のアタックで10人の逃げに6周目、入部正太朗(シマノレーシング)のアタックで10人の逃げに photo:Hideaki TAKAGI



7周目、10人が逃げる7周目、10人が逃げる photo:Hideaki TAKAGIP1クラスタは20周75kmのレース。序盤から各チームアタックの応酬が続く。数人から30人ほどが先行しても差は数秒程度で決まらない。変化があったのは6周目。上り区間で前に伸びた集団から入部正太朗(シマノレーシング)がアタック、これに紺野元汰(イナーメ信濃山形)が反応。さらに前方にいたメンバーが加わり10人の逃げに。1人が脱落し9人でローテーションしてメイン集団との差を広げていく。

最終周回へ入る先頭の8人最終周回へ入る先頭の8人 photo:Hideaki TAKAGI9人のメンバーは阿部嵩之・鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)、ベンジャミン・プラデスと永良大誠(マトリックスパワータグ)、土井雪広・窪木一茂(チーム右京)、入部、遠藤績穂(CROPS×championsystem)、紺野。各チームのスピードマンが揃い、逃げ切りの体制に持ち込んでいいメンバー。

メイン集団はEQA U23、AISAN Development Team、シエルヴォ奈良MIYATA-MERIDAサイクリングチーム、那須ブラーゼン、ロヂャースレーシングチームらが先頭を引くがその差は最大45秒にまで広がる。終盤に先頭から永良が下がり8人に。メイン集団は30秒差まで詰めるが再び開き先頭8人の逃げ切りの可能性が高くなる。
最終周回の上り、窪木一茂(チーム右京)がメカトラで遅れる最終周回の上り、窪木一茂(チーム右京)がメカトラで遅れる photo:Hideaki TAKAGI
最終周回の上り、逃げメンバーの中で最もスピードがあると見られていた窪木がメカトラブルで下がる。ちょうどプラデスがペースを上げたときで先頭集団は二分されるが、再びひとつとなりゴールスプリントへ向かう。ラスト300mで鈴木真理のために阿部が先頭に立ち、その後ろに遠藤が入る。阿部はそのまま逃げ切り優勝。メイン集団は最終周回に飛び出していた山本元喜(斑鳩アスティーフォ)が吸収される直前にゴールし8位に。
メイン集団は逃げていた山本元喜(斑鳩アスティーフォ)がぎりぎり先着メイン集団は逃げていた山本元喜(斑鳩アスティーフォ)がぎりぎり先着 photo:Hideaki TAKAGI
前半にできた9人のメンバーが各チームにとって良かったことが逃げ切りの最大要因。宇都宮ブリッツェンは阿部と鈴木真理の違うタイプ2人が入ったことが大きかった。チーム右京も万全の構えで勝利が目前だったが、最終周回に思わぬ落とし穴が待っていた。

優勝した阿部は「逃げに真理さんが入っていてほかのメンバーも良く、逃げ切れてよかったです。チームとしてはゴールで僕が縦に引き伸ばした状態で入れたらと思っていました。最後は思いのほか後ろが離れていたので先行のままゴールできました。フィニッシュラインはわかりにくかったけれども毎周回、位置を確認していたのでわかっていました」と語る。

年間総合成績は、個人は10位に入ったホセ・ビセンテ(チーム右京)が19位の増田成幸(宇都宮ブリッツェン)にさらに差をつけた。チームでは宇都宮ブリッツェンがチーム右京に対しさらにリードを広げた。残るは2戦。まだ1戦で逆転が可能な範囲にあり、11月2、3日の大分での連戦で決着がつく。



結果
P1クラスタ 75.0km
1位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)1時間38分53秒
2位 ベンジャミン・プラデス(マトリックスパワータグ)
3位 入部正太朗(シマノレーシング)
4位 紺野元汰(イナーメ信濃山形)
5位 鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)
6位 遠藤績穂(クロップス×チャンピオンシステム) 
7位 土井雪広(チーム右京)
8位 山本元喜(斑鳩アスティーフォ)
9位 鈴木譲(宇都宮ブリッツェン)
10位 ホセ・ビセンテ(チーム右京)

Jプロツアーリーダー ホセ・ビセンテ(チーム右京)
U23リーダー 雨澤毅明(那須ブラーゼン)

Fクラスタ
25.6km
1位 智野真央(NEILPRYDE-MENS CLUB JFT)38分02秒
2位 伊藤杏菜(Champion System Japan)
3位 二口早紀(バルバレーシングクラブ)

photo&text:高木秀彰