UCIステージレース優勝や全日本選手権優勝経験者など、日本を代表する選手たちが引退を発表した。宮澤崇史(ヴィーニファンティーニNIPPO)、西谷泰治と盛一大(愛三工業レーシングチーム)、清水都貴(ブリヂストンアンカー)の4人だ。



今の日本人選手を、日本チームを、そして日本の自転車競技界を牽引し、数々の成績を収めてきた4人が、トップ選手のまま引退の道を選んだ。UCIプロチームに所属し、海外でそのスプリント力で戦ってきた宮澤。類まれなスピードで海外選手と互角に渡り合った西谷。初めて日本人選手としてUCI1クラスのレースで総合優勝した清水。トラック世界選スクラッチ3位のスピードを誇った盛の4人。

2008年ツール・ド・北海道を制覇した梅丹本舗・GDR。宮澤崇史、清水都貴がメンバー2008年ツール・ド・北海道を制覇した梅丹本舗・GDR。宮澤崇史、清水都貴がメンバー photo:Hideaki TAKAGI引退する西谷泰治(中央)と盛一大(後列左から2人目)。ジャパンカップ2014スタート前の愛三工業レーシングチーム引退する西谷泰治(中央)と盛一大(後列左から2人目)。ジャパンカップ2014スタート前の愛三工業レーシングチーム photo:Hideaki TAKAGI


日本人選手の名前とチーム名とそして日本を、紛れもなく海外に知らしめた4人は、日本の自転車競技界にとって大事な財産。その4人が今シーズンをもって現役トップ選手のまま引退する。彼ら4人の今までの多大な功績に感謝し、そしてこれからの進路に幸あれと願いたい。以下、年齢順に掲載。

2010年全日本選手権ロード優勝の宮澤崇史(TEAM NIPPO)2010年全日本選手権ロード優勝の宮澤崇史(TEAM NIPPO) photo:Hideaki TAKAGI宮澤崇史(ヴィーニファンティーニNIPPO)
ジャパンカップ2014で引退の宮澤崇史(ヴィーニファンティーニNIPPO)。スタート前のサイン時ジャパンカップ2014で引退の宮澤崇史(ヴィーニファンティーニNIPPO)。スタート前のサイン時 photo:Makoto AYANO
みやざわ たかし 1978年2月生まれ36歳、長野県出身

高校時代にシクロクロス世界選手権ジュニアに出場(丸山厚、池本真也と3人で)。クラブチームを経て日本鋪道へ。一時競輪学校受験を志すが日本鋪道へ復帰。さらにブリヂストンアンカーに加入するが個人活動へ。2005年ふたたびブリヂストンアンカーへ復帰し、翌2006年にTeam Vang、2007年からはエキップアサダ(NIPPO梅丹本舗、梅丹本舗・GDR、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)に所属。

この間にTOJステージ優勝、おきなわ優勝、アジア選手権優勝、北京オリンピック出場、北海道総合連覇など功績を挙げる。その後NIPPO、ファルネーゼヴィーニ、そして2012年から2年間UCIプロチームのサクソバンク、サクソ・ティンコフで活動。今年の2014年にはふたたびNIPPOで活動してきた。競技人生のほとんどを大門宏、浅田顕の両氏に師事していた。

宮澤は「私は、”ヨーロッパで勝つ”事を目標に今まで走ってきました。私の頭で思い描く走りと、結果がイコールにならなくなり、チームに貢献する事が出来ない事が最大の理由です」と自身のブログで発表している。


HCクラスのランカウイ2010第4ステージ優勝の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)HCクラスのランカウイ2010第4ステージ優勝の西谷泰治(愛三工業レーシングチーム) photo:Yufta OMATA西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
引退する西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)。ジャパンカップ2014スタート前引退する西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)。ジャパンカップ2014スタート前 photo:Makoto AYANO
にしたに たいじ 1981年2月生まれ33歳、広島県出身

大学自転車競技の雄、日本大学在学中の2002年、全日本選手権ロードU23で優勝。同大卒業後は愛三工業へ入社し、以降引退する今年2014年まで愛三工業レーシングチームに所属。その間2006年北海道総合優勝、2009年全日本選手権ロード優勝、2010年ランカウイ(UCI HC)第4ステージ優勝、2011年ジャパンカップ2位など。

トラックレースでも中距離で活躍し4kmチームパーシュートでは2003年に、以降9年間破られることの無かった4分18秒486(内田、佐々木、西谷、黒木)の日本記録を樹立。ワールドカップ3位や全日本選手権での優勝、盛一大とのマディソン優勝など類まれなスピードを誇った。

西谷はチームのホームページで「最後まで第一線の選手として走りきりたいという思いが強かったため、事前の発表を避けさせていただきました。引退に至った主な理由は、第一線で戦うための能力が年々低下している背景から、今後のレース活動において今まで以上の成果を望めないと判断したためです」としている。


ツール・ド・北海道2010で個人総合優勝の清水都貴(ブリヂストンアンカー)ツール・ド・北海道2010で個人総合優勝の清水都貴(ブリヂストンアンカー) photo:Hideaki TAKAGI清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム)
引退する清水都貴(ブリヂストンアンカー)。ジャパンカップ2014スタート前引退する清水都貴(ブリヂストンアンカー)。ジャパンカップ2014スタート前 photo:Makoto AYANO
しみず みやたか 1981年11月生まれ32歳、埼玉県出身
2000年に鹿屋体育大入学、卒業後はブリヂストンアンカー、Team Vang、エキップアサダ(NIPPO梅丹本舗、梅丹本舗・GDR、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)に宮澤らとともに所属。2010年からはブリヂストンアンカーに戻り現在に至る。

鹿屋体育大在学中の2000年に全日本学生個人TTで優勝(同大初の全国優勝)、同年インカレ個人追抜優勝(国立大初のインカレ優勝)、2003年全日本個人TT U23優勝。エキップアサダ時代の2007年ブエルタ・シクリスタ・ア・レオン個人総合優勝、2008年パリ~コレーズ(UCI2.1)個人総合優勝、ツール・ド・熊野個人総合優勝。2010年からは2010年ツール・ド・マルティニーク個人総合優勝、ツール・ド・北海道個人総合優勝、2011年全日本選手権ロード3位、2012年全日本選手権ロード3位、2013年全日本選手権ロード2位など挙げた。クライマータイプからスプリント力もついてオールラウンダータイプに進化し、ステージレースでも好成績を挙げた。

清水は「今年のシーズン初め、結果が良くても悪くても今シーズンで引退することを決意しました。いままで総合優勝した5つのレースどれもが大きな思い出です。いっぽうで2011年からの全日本選手権はプレッシャーが大きすぎて苦しかったという意味で、印象深かったです。いくつかのチームに所属しましたが、それぞれの年のチームメイトが最高の仲間だったので、プロ11年間ずっと濃かったです。鹿屋体育大の黒川さん(監督)とは、僕が入学したとき将来の体大に対する夢をたくさん語り合って、その時は夢物語だと思ったけど、本当に実現しました」と振り返っている。自身のフェイスブックでも発表している。残るレースは実業団大分の2戦とおきなわ。清水は2012年夏に一度引退を決意したが周囲の助力もあり、同チームで梅丹本舗時代からの水谷壮宏監督のもと、選手を続けてきた。今年9月の世界選手権ロードにも出場、トップ選手のまま引退の道を選んだ。

鹿屋体育大 黒川剛監督のコメント

「遂にこの時が来たか」と言う寂しさと、「良い選手人生だったね」と言う感慨深さが入り混じった気持ちです。2000年に入学し1年目の個人TTで鹿屋初の全国チャンピオンになり、その年のインカレ個人追抜で国立大学初優勝など、彼こそが鹿屋躍進の起爆剤でした。大学卒業後もプロとして素晴らしい実績を上げてくれた、鹿屋にとっての顔でありパイオニアとして後輩からの信望を集めてきました。

「都貴無くして鹿屋無し」鹿屋から輩出された沢山のタレント選手も納得する特別な存在となってきました。
かなりの個性派ながら周囲に愛される性格で、僕だけで無く彼と活動したことの有る全ての関係者が引退を悲しんでいると思います。ファンをうならせる派手な走りとは裏腹に、繊細な戦術なども持ち合わせているので、セカンドキャリアの中で指導的役割を得る機会があれば、思いがけない活躍も期待できると思います。

指導者と言うより同士で有り熱烈ファンとして付き合ってきましたので、最後に一言かけるなら「楽しませてくれて有り難う都貴」ですかね。


2008年ツール・ド・北海道第2ステージ優勝の盛一大(愛三工業レーシングチーム)。西谷泰治との連携2008年ツール・ド・北海道第2ステージ優勝の盛一大(愛三工業レーシングチーム)。西谷泰治との連携 photo:Hideaki TAKAGI盛一大(愛三工業レーシングチーム)
2013年ランカウイ第9ステージスタート前の盛一大(愛三工業レーシングチーム)2013年ランカウイ第9ステージスタート前の盛一大(愛三工業レーシングチーム) photo:Sonoko TANAKA
もり かずひろ 1982年9月生まれ32歳、千葉県出身

名門の日本大学で西谷の2年後輩として活躍。在学中はインカレポイントレース優勝など。卒業後西谷と同じ愛三工業レーシングチームへ加入。日本ナショナルメンバーとしてトラックレースで活躍。2009年のワールドカップ・スクラッチで優勝、2010年のトラック世界選スクラッチで3位など中距離選手として日本人最高のリザルトを残す。

ロードでもスピードを武器に活躍。2009年全日本選手権TT優勝、同年北海道総合3位、2011年おきなわ総合優勝など。同チームの西谷と組むゴール前のラインは海外選手さえも凌駕するスピード。2010年にHCのランカウイでの集団ゴールで、その実力どおりに盛が牽引した西谷が優勝した。

盛は「自転車競技に出会ってから17年。前だけを見て、ただひたすら全力で駆け抜けてきました。プロになってからは愛三工業レーシングチームで10年間走らせてもらいました。僕にとってこのチームが最初で最後となりましたが、最高の仲間たちと一緒に走ることが出来て良かった。このような素晴らしい環境で走れた自分は幸せです」とチームのホームページに記している。

以上、チーム、選手のHP、ブログ、フェイスブックならびに一部聞き取りによる編集。

text:高木秀彰
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