ディフェンディングチャンピオンのブリヂストンアンカーは、トマ・ルバとダミアン・モニエの昨年総合ワン・ツーに加えて世界選に出る清水都貴との誰がエースになってもいい布陣。これに挑むのはヴィーニファンティーニNIPPO、チーム右京、マトリックスパワータグら国内外で結果を出しているチームたち。



2013年ワン・ツー達成のブリヂストンアンカー2013年ワン・ツー達成のブリヂストンアンカー photo:Hideaki TAKAGI14のコンチネンタルチームが参戦する今年のツール・ド・北海道。昨年と変わらず鉄壁の布陣を誇るブリヂストンアンカーサイクリングチームを筆頭に、各チーム5人体制でステージと総合の成績に挑む。今年のコースは急峻な山岳がなく、平坦から丘陵程度の山岳でありスピードレースが予想される。そのスピードに対応するチーム、逃げに重きを置くチーム、どちらにも対応できるチームなどさまざま。
TOJ南信州2連覇のピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニNIPPO)TOJ南信州2連覇のピエールパオロ・デネグリ(ヴィーニファンティーニNIPPO) photo:Hideaki TAKAGI
ひとつの注目点は、直近で行なわれるビッグレース出場者たちの走り。9月下旬に行なわれる世界選手権男子ロード出場者3人のうち土井雪広(チーム右京)と清水都貴(ブリヂストンアンカー)の2人が参戦する。またほぼ同日程のアジア大会へは山本幸平(北海道地域選抜、SPECIALIZED RACING XC)がMTB XCに、窪木一茂(チーム右京)がトラックにそれぞれ出場する。
オールラウンドに力を発揮するホセ・ビセンテ(チーム右京)オールラウンドに力を発揮するホセ・ビセンテ(チーム右京) photo:Hideaki TAKAGI
それぞれのチームをスタートリストから見てみよう。

個人総合優勝の筆頭はブリヂストンアンカーサイクリングチーム。昨年にワン・ツーを飾ったルバ、モニエが今年も参加。そして世界選手権初参戦の清水、今年ツール・ド・シンカラでステージ2勝(日本代表)した内間康平、そしてスプリント力のある22歳寺崎武郎の強力メンバー。「誰がエースとなるかは展開次第」(水谷壮宏監督)と言うだけあってまさに死角の無い布陣。
スペイン人選手3人を加え総合力を増したマトリックスパワータグスペイン人選手3人を加え総合力を増したマトリックスパワータグ photo:Hideaki TAKAGI
ヴィーニファンティーニNIPPOはメンバー全員が昨年と違う。オールラウンダーでTOJ南信州ステージで2連覇のピエールパオロ・デネグリを筆頭に、アンドローニジョカトリに所属していたアレッサンドロ・マラグーティはオールラウンダー。さらにリカルド・スタキオッティ、そして鹿屋体育大時代に北海道でステージ優勝経験のある山本元喜(2勝)とスプリンター黒枝士揮の布陣。逃げでもスプリントでも勝利を狙えるチーム。
スプリントと総合力に長ける鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)と畑中勇介(シマノレーシング)スプリントと総合力に長ける鈴木真理(宇都宮ブリッツェン)と畑中勇介(シマノレーシング) photo:Hideaki TAKAGI
チーム右京はJプロツアーリーダーでもあるホセ・ビセンテ、世界選手権ロードに出場する土井、アジア大会トラックに出場する窪木、昨年来日したリカルド・ガルシア、そして今夏からチームに合流したサルヴァドール・ガルディオラの5人で臨む。山場で、逃げでそしてスプリントとすべての場面でメンバーの活躍が見られるはず。

マトリックスパワータグは今季加入3人のスペイン人選手、アイラン・フェルナンデス、ベンジャミン・プラデスとエドワード兄弟が注目。プラデス兄弟は直前のツール・ド・いくちじまでワン・ツーを飾っておりフェルナンデスはトラックで鍛えたスピードが武器。これに安原大貴と和田力の強力アシストが加わり、こちらも優勝候補。

シマノレーシングはスプリント力のあるオールラウンダーの畑中勇介を筆頭に、上れるスプリンター吉田隼人、入部正太朗のゴール前の鉄壁アシスト、アタッカーの野中竜馬そしてプロ1年目の木村圭佑の布陣。
ツール・ド・熊野2011第1ステージ優勝の福田真平(愛三工業レーシングチーム)ツール・ド・熊野2011第1ステージ優勝の福田真平(愛三工業レーシングチーム) photo:Hideaki TAKAGI
愛三工業レーシングチームは直前のツール・ド・イーストジャワからスピードマンの盛一大が、さらにスプリンター福田真平、オールラウンダーの平塚吉光、小森亮平、早川朋宏で臨む。スプリントで福田、総合で平塚が挑む。
2014年全日本ロードチャンピオンの佐野淳哉(那須ブラーゼン)2014年全日本ロードチャンピオンの佐野淳哉(那須ブラーゼン) photo:Hideaki TAKAGI
宇都宮ブリッツェンはスプリンター鈴木真理、山岳と独走に強い増田成幸、オールラウンダー鈴木譲、アタッカーで昨年個人総合山岳賞の阿部嵩之、そして山岳に強い22歳の堀孝明で構成。スプリントでも逃げでも狙える体制を取っている。
インカレロード連覇の徳田優(鹿屋体育大)。清水都貴(ブリヂストンアンカー)も同大OBインカレロード連覇の徳田優(鹿屋体育大)。清水都貴(ブリヂストンアンカー)も同大OB photo:Hideaki TAKAGI
Cプロジェクトは第2ステージ幕別町出身の山本和弘、スプリンターの末永周平、社会人レーサーで好成績を残す遠藤績穂、スプリンター藤岡克磨、2013年全日本TTチャンピオンの大場政登志で臨む。スプリントになれば結果を出せる体制だ。

シエルヴォ奈良メリダサイクリングチームは2011年ステージ優勝の山下貴宏、昨年はメンドリシオで出場のフラヴィオ・ヴァルセッキ、そして豊田勝徳、若杉圭佑、小渡健悟で挑む。タフなレースに強い山下をはじめ、スピードと逃げの両方で勝負する。

那須ブラーゼンは北海道初参加。今年は全日本ロードチャンピオンの佐野淳哉が登場。これを支えるのは普久原奨、岩井航太、雨澤毅明、小野寺玲。高いアシスト能力を持つ普久原を中心に、北海道でステージ優勝経験のある佐野がどのような走り方をするのかが注目される。

海外コンチネンタルチームは5チームが出場する。
チーム・バジェット・フォークリフトからはジョシュア・プリートが注目。昨年北海道個人総合3位。最後の山岳で脱落していなかったら総合優勝をしていたほどの力を持つ。

ジェリーベリーP/B マキシスのニック・ハミルトンは2012年北海道で総合山岳賞と個人総合5位を獲得している。
日本にもなじみの深いヴェロクラブ・メンドリシオではシリル・ティエリーがオールラウンダーでエース格。監督は中田真琴氏だ。
チームガストは台湾のチーム。フェン・チュンカイのスピードに注目だ。
韓国からはおなじみのKSPOが参加。マトリックスパワータグに所属していたキム・ドヒョン、梅丹本舗に所属していたソウ・ジュニヨンなど日本にも馴染み深いメンバーが参加。

北海道地域選抜は第2ステージ幕別町出身でMTB XCの第一人者山本幸平が参戦。全日本選手権ロードでも見せた走りでステージレースに挑む。さらに大坪優介、MTB出身で北海道大の木村佑己、片桐耕司、菅原勇人の構成。

鹿屋体育大は8月のインカレロードで完全優勝して総合連覇達成した勢いそのままに北海道に乗り込む。全日本ロードU23連覇の徳田鍛造、弟でインカレロード連覇の優、1年生のスプリンター黒枝咲哉、個抜き4分33秒のスピードマン原田裕成、そして入佐直希が出場。逃げでもスプリントでもコンチネンタルチームと互角に勝負できる体制でメンバー選定された。

法政大学からは酒向俊平、島袋大地、新村穣、浅井創、堀川裕輝が、京都産業大学から渡邊誉大、安田京介、明石岳志、間瀬勇毅、樋口峻明、中央大学は高士拓也、広瀬樹、安原大生、原井博斗、緑川竣一がそれぞれ参加する。

今年も兄弟選手にも注目だ。山本和弘・幸平、安原大貴・大生、黒枝士揮・咲哉、徳田鍛造・優がそれぞれどう戦うか、黒枝兄弟のゴール勝負も現実のものだ。

text:Hideaki TAKAGI