スタートアタックを成功させた新城幸也(ユーロップカー)が逃げに乗り、後半にかけてエースのために奮闘したツール・ド・フランス第17ステージ。合計4つの難関山岳を先頭で走り切ったのはマイヨアポワを着るラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)だった。



新城幸也(ユーロップカー)を先頭に1級山岳ペイルスルド峠を登る逃げグループ新城幸也(ユーロップカー)を先頭に1級山岳ペイルスルド峠を登る逃げグループ photo:Tim de Waele


ツール・ド・フランス2014第17ステージツール・ド・フランス2014第17ステージ image:A.S.O.最初の1時間の平均スピードは50.2km/h。猛烈な勢いで飛び出した逃げグループの中に新城幸也(ユーロップカー)の姿があった。

先頭グループを率いる新城幸也(ユーロップカー)先頭グループを率いる新城幸也(ユーロップカー) photo:Tim de Waeleツール第17ステージはサン・ゴーダンからサンラリ・プラダデまで、今大会最短の124.5km。ピレネーの峠を登っては下り、下っては登る。最短コースながら獲得標高差は3600mに達する。

レース中盤に独走したヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)レース中盤に独走したヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ) photo:Tim de Waele隣国スペインに入国後、1級ポルティヨン峠(8.3km/7.1%)を皮切りにノコギリの歯のようなアップダウンが始まる。フランスに戻った後、1級山岳ペイルスルド峠(13.2km/7%)と1級山岳ヴァル・ルーロンアゼ峠(7.4km/8.3%)を越えて最後は超級山岳プラダデ(10.2km/8.3%)にアタック。4つの難関山岳を舞台に、マイヨジョーヌ、マイヨブラン、マイヨアポワ争いの激化は必至だった。

イェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)やマルティン・エルミガー(スイス、IAMサイクリング)ら7名と逃げグループを形成した新城は、渓谷沿いの平坦路を快走して山岳地帯へ。しかし山岳賞狙いのカチューシャの牽引によってタイム差は1分で頭打ち。1級山岳ポルティヨン峠に差し掛かる頃には40秒にまで縮まっていた。

先頭の足音が聞こえたことで、1級ポルティヨン峠の登りでメイン集団からカウンターアタックを仕掛ける選手が続出する。山岳賞2位のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)や、マイヨアポワを着るラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)の他、アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)らが新城を含む逃げグループにジョイン。ロドリゲスが先頭で最初の1級山岳を通過して行く。

遅れてメイン集団から飛び出した総合10位バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)や総合12位ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)、総合13位ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、ロット・ベリソル)らは下りで先頭に合流する。こうして先頭では山岳賞1位&2位、新城、ロランらを含む22名の逃げグループが形成された。



1級山岳ヴァル・ルーロンアゼ峠を登るプロトン1級山岳ヴァル・ルーロンアゼ峠を登るプロトン photo:Tim de Waele



攻撃を仕掛けるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)攻撃を仕掛けるロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール) photo:Tim de Waele次なる1級山岳ペイルスルド峠を前にヴァシル・キリエンカ(ベラルーシ、チームスカイ)が先頭独走を開始し、これを20名強の追走グループが1分差、メイン集団が4分差で追う展開に。ロランのステージ優勝&総合ジャンプアップのために新城が長時間にわたって追走グループを牽引。ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)らのカウンターアタックを封じ込めながら1級山岳ペイルスルド峠をクリアした。

マイカのために登りでペースを作るニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)マイカのために登りでペースを作るニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleその後も新城の鬼気迫る(ほぼ先頭固定の)牽引は続き、最後から2つめの1級山岳ヴァル・ルーロンアゼ峠に突入。先頭で粘り強く独走していたキリエンカはここで吸収される。

バルベルデを引き離し、ニーバリを追うティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)バルベルデを引き離し、ニーバリを追うティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr) photo:Tim de Waele残り25km地点で新城が力尽きると代わってロッシュが逃げグループを牽引。メイン集団ではAG2RラモンディアールとFDJ.frによるペースアップが開始されたが、人数の揃った逃げグループとのタイム差は縮まらなかった。

チームメイトにアシストされてライバルを追うアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)チームメイトにアシストされてライバルを追うアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Tim de Waele1級山岳ヴァル・ルーロンアゼ峠の下りで総合5位のロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)が飛び出し、ライバルのティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)が追走を余儀なくされるシーンも。メイン集団から30秒のリードを稼ぎ出して最後の超級山岳プラダデに挑んだバルデは敢闘賞に輝いている。

ペローとともにライバルを引き離すヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ペローとともにライバルを引き離すヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele超級山岳プラダデを前に逃げグループは崩壊し、ロラン、ロッシュ、ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)、アマエル・モワナール(フランス、BMCレーシング)が先行。ここからヴィスコンティが飛び出して独走を開始する。

フィニッシュに向かって独走するラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)フィニッシュに向かって独走するラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waeleここまで互いをマークしていた山岳賞1位ロドリゲスと同2位マイカの間でも闘いがスタート。マイカが腰を上げてスパートすると、前半の3連続1級山岳で順調にポイントを伸ばしていたロドリゲスが千切れる。マイカはそのまま先頭ヴィスコンティまでジャンプ。そして残り2kmでマイカがヴィスコンティを振り切った。

FDJ.frが牽引するメイン集団は飛び出していたバルデに追いつき、そこから総合4位ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)がアタック。すると総合2位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)が苦しみながら千切れて行く。

苦しむライバルたちから少しでもリードを奪うべくアタックしたマイヨジョーヌのヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)にはペローが反応。ピノ、バルデ、ヴァンガーデレンらが追走を余儀なくされた。

「フィニッシュ手前の5kmは快適だった」と語る先頭マイカは、観客を盛り上げるジェスチャーを見せながら超級山岳プラダデの頂上へ。マイヨアポワ着用者に相応しい走りでステージ2勝目を飾った。ティンコフ・サクソとしては2日連続ステージ優勝、ステージ3勝目。

「登りが詰め込まれたコースは完全に僕向き。最後から2つめの1級山岳の時点でタイム差が2分あったので、調子も良かったし、ステージ優勝に届くと思った」とマイカは振り返る。山岳賞リードを得たものの、まだマイヨアポワ獲得を確定させていないため「チームにとってこのジャージは非常に重要なので、明日のステージでも動く必要がある」と意気込んだ。

「総合首位をより確実なものにするために、1秒でも多くリードを稼ぎたかった」と語るニーバリはこの日も抜群の安定感でライバルたちを一蹴。ステージ優勝には46秒届かなかったものの、総合2位以下とのタイム差をさらに広げることに成功している。

より混戦状態となっているのは表彰台争いで、粘りの走りでライバルたちに追いついたバルベルデが総合2位をキープ。34秒差で総合3位ペロー、42秒差で総合4位ピノが続く。翌日の超級山岳オタカム山頂フィニッシュで再び激しいバトルが繰り広げられるはずだ。

選手コメントはレース公式サイトより。



歓喜のガッツポーズを繰り出すラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)歓喜のガッツポーズを繰り出すラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ) photo:Tim de Waele


ツール・ド・フランス2014第17ステージ結果
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
2位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、モビスター)
3位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、キャノンデール)
6位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
7位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、トレックファクトリーレーシング)
8位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
9位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、ティンコフ・サクソ)
10位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

11位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
12位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
13位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
14位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
15位 ヨン・イサギーレ(スペイン、モビスター)
3h35'23"
+29"
+46"

+49"
+52"
+1'12"

+1'25"
+1'35"

+1'40"


+1'50"


マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
3位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
4位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、AG2Rラモンディアール)
5位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシング)
7位 バウク・モレマ(オランダ、ベルキン)
8位 ローレンス・テンダム(オランダ、ベルキン)
9位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンドゥーラ)
10位 ピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)
76h41'28"
+5'26"
+6'00"
+6'08"
+7'34"
+10'19"
+11'59"
+12'16"
+12'40"
+13'15"


マイヨヴェール(ポイント賞)
1位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
2位 ブライアン・コカール(フランス、ユーロップカー)
3位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ)
408pts
233pts
217pts


マイヨアポワ(山岳賞)
1位 ラファル・マイカ(ポーランド、ティンコフ・サクソ)
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
149pts
118pts
112pts


マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
2位 ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)
3位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
76h47'28"
+1'34"
+30'41"


チーム総合成績
1位 AG2Rラモンディアール
2位 ベルキン
3位 モビスター
230h20'30"
+28'43"
+52'30"


ステージ敢闘賞
ロメン・バルデ(フランス、AG2Rラモンディアール)

text:Kei Tsuji
photo:Tim de Waele, Makoto Ayano
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