2014/07/11(金) - 18:22
過酷だったパヴェステージから一夜明けた翌朝。雨こそ降り止んだものの空はどんよりとした鉛色。身体に傷を負った選手の、包帯や絆創膏が目立つ。アラスのスタート地点、チームバスエリアは皮肉のように濡れた石畳だった。しかも茶色い泥が走る前からタイヤを汚す。昨日の疲れを引きずっている選手、晴れ晴れしている選手、それぞれだ。
前年覇者クリス・フルームの去ったツール。ブレイルスフォード監督はチームバスの前で前々年覇者ウィギンズをチームに加えなかったことを後悔していないことを表明した。
「もしウィギンズがプランBだったら、最初から彼をツールチームに選んでいる。私がその責任をすべて負うし、それが私の仕事だ。それが良い判断だっかた悪い判断だったかのジャッジはだれでもできるし、私はそれを正面から受けよう」。リッチーには正式にリーダーが任命された。「我々にはプランGもある」とはもちろんゲラント・トーマスを指すジョークだ。
ウィギンズとフルームのブエルタ・ア・エスパーニャとツアー・オブ・ブリテンへの出場については名言を避けた。ウィギンズはコモンウェルスゲームのためにトラック競技のトレーニングに入っている。
フルームの怪我の経過によるが、昨日の時点でフルームはブエルタへ、とブレイルスフォード監督は話しているため、ウィギンズがブリテンに出場することが濃いのだろう。2人でブエルタは、おそらく複雑な関係的に実現しないだろう。
マイヨジョーヌのニーバリは余裕にあふれた表情で現れた。リーダーを待つアスタナボーイズも今までになく頼もしく見えるから不思議だ。GMのヴィノクロフ大佐もアスタナのハンチング帽を被って闊歩して、チームの活躍を楽しんでいるようだ。
天気の優れないなか、スプリンターにチャンスがあるアルプス前の最後のステージへ。昨日の石畳ステージに疲れた集団は、飛び出したルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、トム・リーザー(オランダ、ベルキン)、ジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)、アルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ)の4人の逃げスペシャリストをあっさり見送った。
アラスからランスへ、パド・カレからエーヌ県へ南下してゆくプロトン。フランスの田舎らしい麦畑と、のどかな農村をつないでいく。第一次世界大戦から100年にあたる今年、今日のコースはかつての激戦地を走る。オランド大統領がコース上の残り69km地点にある戦場跡「シュマン・デ・ダム」の慰霊碑で戦没者への慰霊の献花をしてから、レースディレクターのプリュドム氏のクルマに乗り込んだ。
プロトンをコントロールするジャイアント・シマノ。そして今日も早い段階のペースメイクは中国人初のツール出場選手、ジ・チェンが大半を受け持つ。
台湾の自転車メーカー、ジャイアントがオランダの石油会社アルゴスに代わって急遽チームスポンサーに決まったのが昨年12月。チェンのチーム選考にはスポンサーの強いリクエストがあったのではないかと言われている。チームメイトはそれを望まなかったという話、また、フランスのツールにおいて昨年のブエルタで2勝を挙げた期待のフランス人、ワレン・バルギルをメンバーから外したことで批判があったが、チェンのその働きぶりへの評価は”breakaway killer"のニックネームを得るまでに高まっている。
しかし今日のジャイアント・シマノの誤算はまずジョン・デゲンコルブの負傷。昨日のパヴェステージ落車し、臀部の筋肉に断絶を生じさせている。デゲンコルブは言う「脚が本当に痛いし、筋肉はただ回復時間を欲している。毎日様子をみながら走るよりほかない」。キッテルもまた昨日2度落車している。しかしハットトリックからさらに勝利を重ねる絶好のチャンスをみすみす捨てるわけにはいかなかった。
ジャイアント・シマノに牽引を任せ、集団コントロールにあまり加わらなかったのがロット・ベリソルだ。ここまでスプリント勝負に絡めなかったグライペルはすでに終わったか? と思わせるに十分な動き。しかしそれには理由があった。グレゴリー・ヘンダーソンのリタイアと、昨日落車して怪我をしたラルスイティング・バクのふたりがトレインから抜けた今、ロット・べリソルは今までのような強力な列車で集団をコントロールする正攻法は取れなくなっていたのだ。
ロット・ベリソルのマルク・セルジャン監督は、カチューシャとFDJ.fr、ユーロップカーが協力しないならチームは集団コントロールに加わらないと表明している。
どのチームにもサプライズだったのがラスト15kmのオメガファーマ・クイックステップの攻撃だ。その前にも一度ペースアップがあったが、それがいったんは収まってからの間髪を入れずの2度めのペースアップは、横風の吹く区間とアップダウンが重なり、メイン集団が大きく2つに分裂する。
エシュロンを形成して長く伸びる集団。これに取り残されたのがジャイアント・シマノのアシスト勢と、スプリントを狙いたかったアルノー・デマール(FDJ.fr)。総合狙いのティボー・ピノ(FDJ.fr)、そしてピエール・ロラン(ユーロップカー)らだ。他の総合狙いの有力選手たちは集団の前に位置していたため難を逃れたが、位置取りに油断があった選手たちはその差を詰められない状況に陥った。新城幸也(ユーロップカー)も、ロランに横風区間があることを注意するように呼びかけていたが、ロランは罠にはまってしまったようだ。
ロット・ベリソルの列車は強力ではなかったが、単独でもなんとかするのが今日のグライペル。もっとも、ゴールに到達する集団はそれまでの横風作戦への抵抗で脚を使い果たし、メンバーもいつものスプリンターたちが残っていない状態。キッテルがスプリントに向かう最終盤で先頭集団から脱落したときにはパンクという情報が出たが、そこまでの闘いでアシストを失い、単独で闘ってしまい脚がなくなってしまったからだった。
ラルスイティング・バクはラスト10kmで苦しんでいるキッテルの姿を見て、チームカーの監督に無線で伝えたという。そしてその情報は返して選手たちにも伝えられた。ラスト数キロの連続するロンポワン(旋回式交差点)も列車を組むグループがお互い一緒にいることを困難にした。
ライバルの少ないスプリント。グライペルはゴール前1kmのサプライズアタックを仕掛けたクヴィアトコウスキーを追い込むと、全員の動きが見渡せる右端のラインを取り、ラスト250mで先頭に立ち、ゴールまでそのまま誰にも先頭を譲らなかった。
2011年から連続してツールではステージ勝利を続けるグライペル。昨年も第6ステージまで勝利を待たなければいけなかった。今年は序盤のステージで雨のコーナーに危険を感じ、スプリントに加われずに後方に順位を落とすステージが続いた。そのことで春先の怪我の影響があり、まだ本調子ではないのだろうと考えられていた。「コーナーを恐れてブレーキを掛けた」とも揶揄された。
勝てないことへの批判があったことに対し、グライペルは勝利をもって応える。「勝利を収められなかったここ数日チームは批判されてきたけれど、僕らはステージ優勝の日が来ることを信じていた。今日のスプリントはギャンブルだった。ヘンダーソンが棄権して、バクは昨日の落車で怪我をしていたから前を引ける選手がいつもより2人ほど少なかった。まだパリまでの道のりは長いから、無理はしないことにしたんだ。ジャイアント・シマノはキッテルがいるんだから先頭は引くべき。今回ボクらは戦法を変えたんだ」。グライペルの勝利、そして総合を狙うユルゲン・ファンデンブロックの6位キープと、ロット・ベリソルはまずまずのツールにしている。
オメガファーマ・クイックステップの横風区間で取り残された集団は59秒を失ってゴールに辿り着いた。総合を狙うはずだったフランス期待のティボー・ピノ(FDJ.fr)、ピエール・ロラン(ユーロップカー)の2人の夢を打ち砕いた。FDJ.frはスプリントにアルノー・デマールも送り込めず勝利のチャンスを逸し、大きなダメージをダブルで負った。
途中落車して影響もあったデマールは、少し泣き言が入っている。「今のところツキがまったくない。僕の落車はともかくピノの遅れは痛かった。まだ6日目だというのに、ツールの第1週は散々だ。今日も朝起きるとき身体のあちこちが痛んで、エネルギーを使い果たした感じだった。第4ステージのリールでは3位になったけど、そのことももはや遠い感じがするよ」。
横風を区間を警戒していたユキヤ
横風区間の危険を事前に察知し、オメガファーマ・クイックステップの攻撃があってなお前方集団に残ったユキヤ。最終2kmはブライアン・コカールのための位置取りアシストに、集団前方を引く姿を見せた。
ユキヤは言う「横風を警戒するようにとピエールに伝えたが、タイミング悪く後ろに下がってしまった。自分が戻って、集団を牽いても、どうにもならない差が開いた。現場の判断でブライアンのアシストに廻って、スプリントの良い形が作れた。ピエールは山岳で挽回できる。自分の調子も上がってきているので、その時自分は精一杯ピエールのアシストをする。チームメイトが落車に巻き込まれたが、大事に至らず良かった。雨はもう嫌だ…」とコメントしている。
重要なアシストたちのリタイア、負傷が続出
昨日のパヴェステージではフルームだけがリタイヤ。しかし今日は平穏になるどころか4人のリタイアが出た。
ティンコフ・サクソにとって大きな痛手はヘスス・エルナンデスのリタイアだ。横風に煽られて転倒したエルナンデスは頭を打って走れない状態になったようだ。エルナンデスはコンタドールにとって頼れる右腕。アマチュア時代からを通じて長きにわたって同じチームで走り、コンタドールを支えてきた。クロイツィゲルに次いで、山岳アシストがまたもいなくなった。コンタドールもエルナンデスの離脱を惜しむ。
「ヘススを失ったことはチームにとって大きな打撃と言わざるをえないね。彼は来るべき山岳にとっておきたかった。彼には全幅の信頼をおいてきたのですごく残念だ。でももっとも大事なこと、彼の怪我が深刻でないことを願っているよ」。
またリタイアしないまでもマークス・ブルグハート(BMCレーシング)も落車して肩を痛めた。医師の診断を待つ状況だが、肩の脱臼が疑われてカヴェンディッシュとほぼ同じような症状があるという。ブルグハートもまた、 ティージェイ・ヴァンガーデレンが平地で頼る強力なアシストだ。チームによれば明日出走できるかどうかは50/50だという。
photo&text:Makoto.AYANO in FRANCE
前年覇者クリス・フルームの去ったツール。ブレイルスフォード監督はチームバスの前で前々年覇者ウィギンズをチームに加えなかったことを後悔していないことを表明した。
「もしウィギンズがプランBだったら、最初から彼をツールチームに選んでいる。私がその責任をすべて負うし、それが私の仕事だ。それが良い判断だっかた悪い判断だったかのジャッジはだれでもできるし、私はそれを正面から受けよう」。リッチーには正式にリーダーが任命された。「我々にはプランGもある」とはもちろんゲラント・トーマスを指すジョークだ。
ウィギンズとフルームのブエルタ・ア・エスパーニャとツアー・オブ・ブリテンへの出場については名言を避けた。ウィギンズはコモンウェルスゲームのためにトラック競技のトレーニングに入っている。
フルームの怪我の経過によるが、昨日の時点でフルームはブエルタへ、とブレイルスフォード監督は話しているため、ウィギンズがブリテンに出場することが濃いのだろう。2人でブエルタは、おそらく複雑な関係的に実現しないだろう。
マイヨジョーヌのニーバリは余裕にあふれた表情で現れた。リーダーを待つアスタナボーイズも今までになく頼もしく見えるから不思議だ。GMのヴィノクロフ大佐もアスタナのハンチング帽を被って闊歩して、チームの活躍を楽しんでいるようだ。
天気の優れないなか、スプリンターにチャンスがあるアルプス前の最後のステージへ。昨日の石畳ステージに疲れた集団は、飛び出したルイスアンヘル・マテマルドネス(スペイン、コフィディス)、トム・リーザー(オランダ、ベルキン)、ジェローム・ピノー(フランス、IAMサイクリング)、アルノー・ジェラール(フランス、ブルターニュ・セシェ)の4人の逃げスペシャリストをあっさり見送った。
アラスからランスへ、パド・カレからエーヌ県へ南下してゆくプロトン。フランスの田舎らしい麦畑と、のどかな農村をつないでいく。第一次世界大戦から100年にあたる今年、今日のコースはかつての激戦地を走る。オランド大統領がコース上の残り69km地点にある戦場跡「シュマン・デ・ダム」の慰霊碑で戦没者への慰霊の献花をしてから、レースディレクターのプリュドム氏のクルマに乗り込んだ。
プロトンをコントロールするジャイアント・シマノ。そして今日も早い段階のペースメイクは中国人初のツール出場選手、ジ・チェンが大半を受け持つ。
台湾の自転車メーカー、ジャイアントがオランダの石油会社アルゴスに代わって急遽チームスポンサーに決まったのが昨年12月。チェンのチーム選考にはスポンサーの強いリクエストがあったのではないかと言われている。チームメイトはそれを望まなかったという話、また、フランスのツールにおいて昨年のブエルタで2勝を挙げた期待のフランス人、ワレン・バルギルをメンバーから外したことで批判があったが、チェンのその働きぶりへの評価は”breakaway killer"のニックネームを得るまでに高まっている。
しかし今日のジャイアント・シマノの誤算はまずジョン・デゲンコルブの負傷。昨日のパヴェステージ落車し、臀部の筋肉に断絶を生じさせている。デゲンコルブは言う「脚が本当に痛いし、筋肉はただ回復時間を欲している。毎日様子をみながら走るよりほかない」。キッテルもまた昨日2度落車している。しかしハットトリックからさらに勝利を重ねる絶好のチャンスをみすみす捨てるわけにはいかなかった。
ジャイアント・シマノに牽引を任せ、集団コントロールにあまり加わらなかったのがロット・ベリソルだ。ここまでスプリント勝負に絡めなかったグライペルはすでに終わったか? と思わせるに十分な動き。しかしそれには理由があった。グレゴリー・ヘンダーソンのリタイアと、昨日落車して怪我をしたラルスイティング・バクのふたりがトレインから抜けた今、ロット・べリソルは今までのような強力な列車で集団をコントロールする正攻法は取れなくなっていたのだ。
ロット・ベリソルのマルク・セルジャン監督は、カチューシャとFDJ.fr、ユーロップカーが協力しないならチームは集団コントロールに加わらないと表明している。
どのチームにもサプライズだったのがラスト15kmのオメガファーマ・クイックステップの攻撃だ。その前にも一度ペースアップがあったが、それがいったんは収まってからの間髪を入れずの2度めのペースアップは、横風の吹く区間とアップダウンが重なり、メイン集団が大きく2つに分裂する。
エシュロンを形成して長く伸びる集団。これに取り残されたのがジャイアント・シマノのアシスト勢と、スプリントを狙いたかったアルノー・デマール(FDJ.fr)。総合狙いのティボー・ピノ(FDJ.fr)、そしてピエール・ロラン(ユーロップカー)らだ。他の総合狙いの有力選手たちは集団の前に位置していたため難を逃れたが、位置取りに油断があった選手たちはその差を詰められない状況に陥った。新城幸也(ユーロップカー)も、ロランに横風区間があることを注意するように呼びかけていたが、ロランは罠にはまってしまったようだ。
ロット・ベリソルの列車は強力ではなかったが、単独でもなんとかするのが今日のグライペル。もっとも、ゴールに到達する集団はそれまでの横風作戦への抵抗で脚を使い果たし、メンバーもいつものスプリンターたちが残っていない状態。キッテルがスプリントに向かう最終盤で先頭集団から脱落したときにはパンクという情報が出たが、そこまでの闘いでアシストを失い、単独で闘ってしまい脚がなくなってしまったからだった。
ラルスイティング・バクはラスト10kmで苦しんでいるキッテルの姿を見て、チームカーの監督に無線で伝えたという。そしてその情報は返して選手たちにも伝えられた。ラスト数キロの連続するロンポワン(旋回式交差点)も列車を組むグループがお互い一緒にいることを困難にした。
ライバルの少ないスプリント。グライペルはゴール前1kmのサプライズアタックを仕掛けたクヴィアトコウスキーを追い込むと、全員の動きが見渡せる右端のラインを取り、ラスト250mで先頭に立ち、ゴールまでそのまま誰にも先頭を譲らなかった。
2011年から連続してツールではステージ勝利を続けるグライペル。昨年も第6ステージまで勝利を待たなければいけなかった。今年は序盤のステージで雨のコーナーに危険を感じ、スプリントに加われずに後方に順位を落とすステージが続いた。そのことで春先の怪我の影響があり、まだ本調子ではないのだろうと考えられていた。「コーナーを恐れてブレーキを掛けた」とも揶揄された。
勝てないことへの批判があったことに対し、グライペルは勝利をもって応える。「勝利を収められなかったここ数日チームは批判されてきたけれど、僕らはステージ優勝の日が来ることを信じていた。今日のスプリントはギャンブルだった。ヘンダーソンが棄権して、バクは昨日の落車で怪我をしていたから前を引ける選手がいつもより2人ほど少なかった。まだパリまでの道のりは長いから、無理はしないことにしたんだ。ジャイアント・シマノはキッテルがいるんだから先頭は引くべき。今回ボクらは戦法を変えたんだ」。グライペルの勝利、そして総合を狙うユルゲン・ファンデンブロックの6位キープと、ロット・ベリソルはまずまずのツールにしている。
オメガファーマ・クイックステップの横風区間で取り残された集団は59秒を失ってゴールに辿り着いた。総合を狙うはずだったフランス期待のティボー・ピノ(FDJ.fr)、ピエール・ロラン(ユーロップカー)の2人の夢を打ち砕いた。FDJ.frはスプリントにアルノー・デマールも送り込めず勝利のチャンスを逸し、大きなダメージをダブルで負った。
途中落車して影響もあったデマールは、少し泣き言が入っている。「今のところツキがまったくない。僕の落車はともかくピノの遅れは痛かった。まだ6日目だというのに、ツールの第1週は散々だ。今日も朝起きるとき身体のあちこちが痛んで、エネルギーを使い果たした感じだった。第4ステージのリールでは3位になったけど、そのことももはや遠い感じがするよ」。
横風を区間を警戒していたユキヤ
横風区間の危険を事前に察知し、オメガファーマ・クイックステップの攻撃があってなお前方集団に残ったユキヤ。最終2kmはブライアン・コカールのための位置取りアシストに、集団前方を引く姿を見せた。
ユキヤは言う「横風を警戒するようにとピエールに伝えたが、タイミング悪く後ろに下がってしまった。自分が戻って、集団を牽いても、どうにもならない差が開いた。現場の判断でブライアンのアシストに廻って、スプリントの良い形が作れた。ピエールは山岳で挽回できる。自分の調子も上がってきているので、その時自分は精一杯ピエールのアシストをする。チームメイトが落車に巻き込まれたが、大事に至らず良かった。雨はもう嫌だ…」とコメントしている。
重要なアシストたちのリタイア、負傷が続出
昨日のパヴェステージではフルームだけがリタイヤ。しかし今日は平穏になるどころか4人のリタイアが出た。
ティンコフ・サクソにとって大きな痛手はヘスス・エルナンデスのリタイアだ。横風に煽られて転倒したエルナンデスは頭を打って走れない状態になったようだ。エルナンデスはコンタドールにとって頼れる右腕。アマチュア時代からを通じて長きにわたって同じチームで走り、コンタドールを支えてきた。クロイツィゲルに次いで、山岳アシストがまたもいなくなった。コンタドールもエルナンデスの離脱を惜しむ。
「ヘススを失ったことはチームにとって大きな打撃と言わざるをえないね。彼は来るべき山岳にとっておきたかった。彼には全幅の信頼をおいてきたのですごく残念だ。でももっとも大事なこと、彼の怪我が深刻でないことを願っているよ」。
またリタイアしないまでもマークス・ブルグハート(BMCレーシング)も落車して肩を痛めた。医師の診断を待つ状況だが、肩の脱臼が疑われてカヴェンディッシュとほぼ同じような症状があるという。ブルグハートもまた、 ティージェイ・ヴァンガーデレンが平地で頼る強力なアシストだ。チームによれば明日出走できるかどうかは50/50だという。
photo&text:Makoto.AYANO in FRANCE
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