「今日は僕1人だけでは無くチームの勝利」と語るのは、2年連続で第1ステージを制しマイヨジョーヌを獲得したキッテル。そのリードアウトを担ったデゲンコルブ、熱い走りを見せたフォイクトとカンチェラーラのトレックコンビ、落車を喫したカヴェンディッシュらと合わせてツール開幕ステージのコメントを紹介する。



2年連続の第1ステージ優勝&マイヨジョーヌ獲得のマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

ステージ優勝を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)ステージ優勝を飾ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Tim de Waeleとてもきつかった!しかし、今日は本当に素晴らしい日だった。終盤にかけては沢山のファンが沿道に駆けつけてくれて、ものすごい歓声だった。このステージを走れたことを誇りに思うし、これだけの人がレースを見に来てくれるという事実は自転車界にとってとても意味のあることだ。

マイヨジョーヌ仕様のバイクを受け取ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)マイヨジョーヌ仕様のバイクを受け取ったマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) photo:Cor.Vos僕達は今日の戦略通り、スプリント勝負を狙う他のチームと共にレースをコントロールしながら最終局面に備えた。そして、勝負を分けたのはゴール1km手前の坂だった。とにかく、最終局面にかけては必死にペダルを踏んだよ。チームメイトは幾度となく列車が崩れても立てなおしてくれて、最終的には全てがうまくいった。

ジョン(・デゲンコルブ)とクーン(・デコルト)が最後の数100mまで僕を引き上げてくれて、最後はサガンがスプリントを開始したと同時に僕も踏み始めたんだ。彼らは僕のために懸命にアシストしてくれた。だからなんとしてでも勝って、恩返しをしなくてはならなかったんだ。今日は僕1人だけでは無くチームの勝利だよ。

昨年はツール・ド・フランスで勝つことの難しさをしったけど、今日はツールの開幕ステージを2連覇することが更に大変であるということを理解したよ。明日のコースはアップダウンが多いから、恐らくどのスプリンターもステージ優勝争いに絡むことはできないだろう。そして、カヴェンディッシュについては深刻な怪我がないことを祈るよ。

2年連続で開幕ステージを制したマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)2年連続で開幕ステージを制したマルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ) (c)Makoto.AYANO

ジョン・デゲンコルブのサポーターたちがDEGキャップをかぶるジョン・デゲンコルブのサポーターたちがDEGキャップをかぶる (c)Makoto.AYANOキッテルのリードアウトを務めたジョン・デゲンコルブ(ドイツ、ジャイアント・シマノ)

今日はとても特別な日だ。スタートからゴールまで2重にも3重にも4重にもファンが沿道を埋め尽くしてくれた。素晴らしい経験になったよ。僕達は素晴らしいことを成し遂げたし、今日のステージを狙っていたんだ。

カンチェラーラがアタックした時は一瞬ハラハラしたけど、ゴールまでの距離が長すぎると感じてからは落ち着いて対処することができた。チームとして勝利をあげることが出来てとても素晴らしい気分だし、これ以上ない最高の形でツールのスタートを切ることができた。


序盤から逃げ、マイヨアポアを獲得したイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)

独走に持ち込んだイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング)独走に持ち込んだイェンス・フォイクト(ドイツ、トレックファクトリーレーシング) photo:Tim de Waele先に逃げた2人を捉えた後の最初の登りで、エデとジャリエとどの様に戦うことができるかどうかを自身に問いかけたんだ。この時点でスプリントできるほど脚は残っていないことが解ったから、1人で逃げることを選んだ。それがマイヨアポアを獲得できる唯一の方法だったからね。逃げたことで僕の体は傷めつけられたけど、替りに素晴らしい報酬を得ることができた。

この歳にもなるとスプリント時のスピードが衰えて来てきた様な気もするけど、まだまだ僕は何か大きなことを成し遂げたいという気持ちにあふれている。だから、いつも自分自身にこう言いかけているんだ。「行け!見せ場を作れ!もっと大胆に走れ!」ってね。3週間後にツールが終わるとき、今日僕がマイヨアポアを着たことがとても小さな出来事になってしまっているかもしれないが、これが僕の生きる道なんだ。


ステージ2位、マイヨブラン獲得のペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)

マイヨ・ブランはペーター・サガン(キャノンデール)の手にマイヨ・ブランはペーター・サガン(キャノンデール)の手に (c)Makoto.AYANO今日はスプリントを始めたタイミングが少しだけ早すぎたと思う。だけど、とにかくキッテルは強かった。彼と僕の間にはバイク1台分の差が出来ていた。それほど強力だったということ。今日のリザルトについては満足しているよ。落車することも無かったし、数ポイントをしっかりと取ることができた。

落車は僕の後ろで起こったし、何が起きているのか全くわからなかった。残念なことだけど、特にツール・ド・フランスには付き物だ。ただ、ツールに来ている選手は皆精鋭ではあるけど、お互いにもっと注意を払わなくてはならないと思う。今日はマイヨブランを獲得できたから、明日はマイヨジョーヌだって?明日のステージで何があっても、僕はマイヨヴェールを獲得することだけを考えてツールに来たんだ。それが全てさ。


最終盤にアタックしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)

集団内で走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング)集団内で走るファビアン・カンチェラーラ(スイス、トレックファクトリーレーシング) (c)Makoto.AYANOイェンシー(フォイクト)があんなにも逃げるとは全く考えもしていなかったよ。僕はジェットコースターのような道路や風や、そしてツールならではのたくさんのストレスに対して、とても集中しなければならなかった。簡単な一日では無かったね。

最後はゴールスプリントになるだろうことは予想していたけれど、何か別の可能性もあるだろうと思っていた。そしてその"可能性"を見つけたからアタックしたんだ。(アタックのタイミングは)200〜250mばかり早かった。自分の集中力を高め、フィーリングとその時のタイミングを見計らって、自分の直感で行ったんだ。


マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)とパトリック・ルフェーブル監督

落車して腕をかばいながらゴールしたマーク・カヴェンディッシュ(オメガファーマ・クイックステップ)落車して腕をかばいながらゴールしたマーク・カヴェンディッシュ(オメガファーマ・クイックステップ) (c)Makoto.AYANOカヴェンディッシュ:落車の原因は自分が作った。出来るだけ早くサイモン・ゲランスに直接謝罪したい。あるはずもないスペースをこじ開けようとしてしまったんだ。駆けつけてくれたファンには申し訳ないことをしてしまった。

ルフェーブル監督:マークは今日のスプリントを少なくとも100回はイメージトレーニングしていただろう。彼はとても集中していたし、死ぬほど勝ちたがっていた。失速したゲランスに引き下がってもらいたくて彼のことをプッシュしたとマークは言っていた。それが落車の理由。彼にとってはそれほど重要なステージだったんだ。彼は病院に運ばれて、今は彼に何も無いことを祈っている。骨折が無ければもちろん走り続けるさ(結果骨折は無し)。


カヴェンディッシュと絡んで落車したサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)

痛々しい姿でフィニッシュしたサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)痛々しい姿でフィニッシュしたサイモン・ゲランス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ) photo:Kei Tsuji勝利のためにチームメイトが完璧なポジションをキープしてくれていた。そんな中の落車だったからとても残念だよ。(インタビュー時点では)スプリントの録画を見ていないから何が起こっていた完全に伝えられないけれど、僕は凄い勢いで地面に叩き付けられてしまったんだ。でも狙うのは明日のステージ。その予行練習としても今日は凄く良く動けていたし、僕も目標を見失ってはいない。僕は少々の擦過傷と、脚の打撲だけで済んだけれど、ラッキーだったと思う。もっと深刻な怪我だって起こりえた。幸いなことにあまりひどい状態ではないが、今日の落車で影響が出るのは間違いないと思う。

僕の選手生活の中でも、今日ほど多くの観客に囲まれてレースを走ったことはそうそう無いよ。あんなにたくさんのファンが来て僕らを応援してくれているなんて、何かマジカルな気分だったね。


26秒差の91位でフィニッシュした新城幸也(ユーロップカー)

落者に巻き込まれずにフィニッシュした新城幸也(ユーロップカー)落者に巻き込まれずにフィニッシュした新城幸也(ユーロップカー) (c)Makoto.AYANO(ルート・ドゥ・スッドから)ちょっとレースの間が開いたので、キツイ一日だった。とにかく今日は観客の多さに驚いた。今までのツールでもこんなに見たことがない。しかし、その観客がコースにせりでてコース幅が狭まり、集団の後ろがつまって、いったん足を停めなければいけないところもあった。

本当に危なかったし、一日中観客を避けることに神経を使っていたから、とても疲れた。でも、ブライアン(・コカール)の4位でチームも良い形でスタートが切れたので良かった。明日は相当サバイバルなレースになりそうだからこそ、自分の出番です。


各コメントは公式リリースやチーム/個人公式ウェブサイトなど、新城幸也のコメントはTeamユキヤ通信より。

text:So.Isobe, Yuya.Yamamoto