3年連続で地中海に面したリゾート地アランヤで開幕を迎えたツアー・オブ・ターキー(UCI2.HC)。平坦な141kmで行なわれた第1ステージを、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)がスプリント勝利で締めくくった。



真っ赤なトルコ国旗があちこちに真っ赤なトルコ国旗があちこちに photo:Kei Tsuji
アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)のシューズは刺激的アダム・ハンセン(オーストラリア、ロット・ベリソル)のシューズは刺激的 photo:Kei Tsujiアランヤの街をスタートするプロトンアランヤの街をスタートするプロトン photo:Kei Tsuji


スプリンターチーム率いるプロトンがアランヤの街を背に進むスプリンターチーム率いるプロトンがアランヤの街を背に進む photo:Kei Tsujiイスタンブールから飛行機で南に1時間。ターコイズブルーの地中海が広がるアランヤに20チーム・154名の選手たちが集まった。レースプレビューでお伝えした通り、チームコロンビアはジロ・デ・イタリアに向けたイギリス入国ビザ発行の遅れから参加を辞退。ジロの調整レースを失ったチームとしても、クライマーの活躍に期待していたレースとしても痛手となった。

マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)が逃げグループを牽引マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)が逃げグループを牽引 photo:Kei Tsujiアランヤの一帯は観光地として人気のエリアで、海岸通にはリゾートホテルがひしめくように建っている。建設中のホテルも数多く、ヨーロッパやロシアからの観光客は年々増加している。観光地だけに、レストランや売店では現地のトルコリラだけではなく米ドルやユーロでも支払が可能なほど。カヴェンディッシュの母親も毎年トルコでバカンスを過ごすという。

チームメイトのためにメイン集団を牽引するアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)チームメイトのためにメイン集団を牽引するアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) photo:Kei Tsuji海外チームがトルコに持ち込んだのはバイクなどのレース機材のみ。チームカーなどの車両は大会側が用意したものを使用する(それは海外メディアも同様)。トルコ政府や観光局、ビッグスポンサーがつく大会だけに、大会の運営はスムーズかつ手厚く、資金力ではヨーロッパレースを凌ぐ。

3級山岳で逃げメンバーを振り切るマルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)3級山岳で逃げメンバーを振り切るマルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア) photo:Kei Tsuji年を重ねる毎に、ショーとしての要素を増やしている感のあるツアー・オブ・ターキー。第1ステージはアランヤの中心地をスタートして15kmの周回コースをこなした後、海沿いを東に向かって63km地点でUターン。アランヤに戻って再び周回コースを2周する。

出走サイン時にひと際大きな声援を受けていた地元トルコのトルク・セケルスポールは、まるでそれが義務であるかのように、初日から選手を逃げに乗せる。集団から飛び出したミラク・カル(トルコ、トルク・セケルスポール)は、マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)とマーティン・ウェーゼマン(南アフリカ、MTNキュベカ)、ハイス・ファンフック(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)とともに逃げた。

オメガファーマ・クイックステップやベルキン、アスタナ、ロット・ベリソルによる集団牽引によって、逃げグループのリードは5分で頭打ち。海風が吹く平坦コースでは、逃げ切りを狙うにはあまりにも分が悪すぎた。

ヘント〜ウェベルヘムでの鎖骨骨折からわずか1ヶ月でレースに復帰したアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)は、まだスプリント出来る身体ではないと判断し、アシストとして集団ローテーションに合流。リゾートホテルが立ち並ぶアランヤの海岸通でタイム差は急速に縮まり、残り35kmで逃げは吸収された。



リードが縮まりながらも逃げ続ける先頭4名リードが縮まりながらも逃げ続ける先頭4名 photo:Kei Tsuji
スプリンターチーム率いるメイン集団が海沿いのアップダウンを行くスプリンターチーム率いるメイン集団が海沿いのアップダウンを行く photo:Kei Tsujiアランヤの周回コースをこなすマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)アランヤの周回コースをこなすマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji


メイン集団から飛び出したミルコ・テデスキ(イタリア、ネーリソットリ)メイン集団から飛び出したミルコ・テデスキ(イタリア、ネーリソットリ) photo:Kei Tsujiスプリンターチームに対抗する単発のアタックはどれも成功せず、アランヤの周回コースをこなしてフィニッシュへ。残り3kmの最終コーナーからフィニッシュラインまでほぼ一直線。残り1500mから道が狭まり、長方形のブロックが敷かれた凸凹道となる。跳ねるバイクを抑え込みながらのスプリント。

メイン集団はまとまったまま最終周回へメイン集団はまとまったまま最終周回へ photo:Kei Tsujiベルキンの最終発射台グレーム・ブラウン(オーストラリア)の番手を取っていたカヴェンディッシュが残り200mでスプリントを開始。これをテオ・ボス(オランダ、ベルキン)とエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)が追走したものの、瞬間的な加速で抜け出したカヴェンディッシュの背中には届かなかった。

マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が先頭でスプリントマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)が先頭でスプリント photo:Kei Tsujiカヴェンディッシュは悪天候のミラノ〜サンレモを5位で終えてからというもの、思うように体調が戻らずレースを離脱。クラシックシーズンを棒に振ったカヴェンディッシュは、じつに1ヶ月ぶりにレースに戻ってきた。

「悪いコンディションではないと思っていたし、トレーニングでもスプリントの感触は掴めていた。でもやっぱりレースは別もの。1ヶ月のブランクで、自分がどこまで走れるのか正直分からなかったんだ。だから結果を出せて安心した」。前夜にヒゲを剃ってさっぱりとしたカヴェンディッシュの顔が緩む。

ステーグマンやレンショー、ペタッキを擁しながらも、この日は完璧なリードアウトトレインを組めなかった。その理由についてカヴェンディッシュは「今回は若いメンバーも混ざっている。彼らは100%の走りをしたけど、前に出て力を使い切るのが早すぎたんだ。でもこれも習得の段階なので問題ない」と説明する。フィニッシュ後にチームメイトを一人残らず探し出し、感謝の言葉とともに抱き寄せるのはカヴェンディッシュならでは。山頂フィニッシュが設定された第3ステージまでカヴェンディッシュがターコイズブルーのリーダージャージを着ることになるだろう。

この日3位に入ったボスはフィニッシュ後に突然止まった大会車両に接触して落車。治療のため表彰式を欠席している。

レースの模様はフォトギャラリーにて!


開幕ステージを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)開幕ステージを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji
バナナを受け取るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)とステージ2位のエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)バナナを受け取るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)とステージ2位のエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール) photo:Kei Tsujiターコイズブルーのリーダージャージに袖を通すマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)ターコイズブルーのリーダージャージに袖を通すマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Kei Tsuji


ツアー・オブ・ターキー2014第1ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
3位 テオ・ボス(オランダ、ベルキン)
4位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
6位 アンドレア・パリーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
8位 ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
10位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
3h15'43"










個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、キャノンデール)
3位 テオ・ボス(オランダ、ベルキン)
4位 ニッコーロ・ボニファツィオ(イタリア、ランプレ・メリダ)
5位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポートフラーンデレン)
6位 アンドレア・パリーニ(イタリア、ランプレ・メリダ)
7位 ダニーロ・ナポリターノ(イタリア、ワンティ・グループグベルト)
8位 ヨナス・ファンヘネヒテン(ベルギー、ロット・ベリソル)
9位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、アスタナ)
10位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
3h15'43"










ポイント賞
マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)

山岳賞
マルク・デマール(オランダ、ユナイテッドヘルスケア)

ビューティーズオブターキースプリント賞
フレデリク・ロバート(ベルギー、ワンティ・グループグベルト)

チーム総合成績
ランプレ・メリダ

text&photo:Kei Tsuji in Alanya, Turkey
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