ティレーノ〜アドリアティコ(UCIワールドツアー)第2ステージで、グライペルやデマールを勢いよく抜き去ったマッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)が勝利。イタリア生まれの25歳がキャリア最大の勝利を飾ってみせた。



第2ステージを走る全日本チャンピオンの新城幸也(ユーロップカー)第2ステージを走る全日本チャンピオンの新城幸也(ユーロップカー) photo:Riccardo Scanferla


第2ステージ コース高低図第2ステージ コース高低図 image:RCS Sportチームタイムトライアルから一夜明け、第2ステージはトスカーナ州を北上する166km。前半に3つのGPM(カテゴリー山岳)が登場するものの、後半はほぼフラットと言っていい。カヴェンディッシュ、キッテル、グライペル、デマール、サガン、チオレック、モードロ…。世界屈指のスプリンターたちによる第一ラウンドに注目が集まった。

林間ロードを駆け抜けるメイン集団林間ロードを駆け抜けるメイン集団 photo:Cor.Vosメイン集団をコントロールするオメガファーマ・クイックステップメイン集団をコントロールするオメガファーマ・クイックステップ photo:Riccardo Scanferlaレース序盤にマルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニCSF)、ダニエル・テクレハイマノ(エリトリア、MTNキュベカ)、ダビ・デラクルス(スペイン、ネットアップ・エンデューラ)、アレックス・ダウセット(イギリス、モビスター)、ダヴィデ・マラカルネ(イタリア、ユーロップカー)が飛び出し、5名で先頭グループを形成。山岳ポイントを量産したカノーラが山岳賞トップに立つ。

ゴールスプリントを制したマッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)ゴールスプリントを制したマッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング) photo:Riccardo Scanferlaメイン集団をコントロールしたのはオメガファーマ・クイックステップで、ここにジャイアント・シマノが加わってスプリントへの意志をアピールする。最大4分30秒のリードは後半の平坦路で縮小した。

天を指差すマッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)天を指差すマッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング) photo:Riccardo Scanferla昨年ジロ・デ・イタリアの個人TTで優勝したダウセットが残り25kmで独走を開始したものの、大集団を振り切ることは出来ずに残り7kmで吸収。ティンコフ・サクソ、ロット・ベリソル、ジャイアント・シマノ、FDJ.fr、オメガファーマ・クイックステップ、ランプレ・メリダ、キャノンデールが隊列を組んで集団先頭に上がった。

リーダージャージを守ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)リーダージャージを守ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ) photo:Riccardo Scanferla残り2.5kmで落車した優勝候補の筆頭マルセル・キッテル(ドイツ、ジャイアント・シマノ)がバイクを地面に叩き付ける中、ランプレ・メリダとFDJ.frが先頭に立ってウルティモキロメトロ(残り1km)。

FDJ.frのリードアウトトレインがアルノー・デマール(フランス)をスプリントに導く。同時にペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)やアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)がスプリントを開始した。

グライペルの勝ちパターンと見られたが、その後ろからペルッキが猛烈な勢いで迫り、追い抜く。グライペルを置き去りにするスプリントでデマールまでも撃ち落とす。ペルッキが歓喜と驚きに満ちた表情で両手を広げた。

ペルッキはイタリア・ロンバルディア州出身の25歳。ジェオックスやユーロップカーを経て昨年からIAMサイクリングに所属している。シルキュイ・ド・ラ・サルトやクラシカ・デ・アルメリアなどで成績を残しているものの、UCIワールドツアーレースでの勝利は初めて。

「まだ勝ったことが信じられない。勝負に絡む準備は出来ているとは思っていたものの、世界最高のスプリンターたちがここには集まっている。信じられない成績だ」と、表彰式後も興奮を隠せない。

そのポジション取りだけでなく、抜群の加速力でライバルたちを驚かせたペルッキ。「複雑なスプリントだった。残り1kmまで主導権を握るチームは現れず、役目を終えた選手たちが次々に前から降ってきて、代わって次々に選手が前に上がって行った。向かい風がきついことを確認していたので、残り500mの時点でまだ後ろにいた。残り200mから前に出たんだ」。ペルッキは「この勝利はクリストフ・ゴダールトに捧げたい」とも語り、1ヶ月前に亡くなったチームメイトに勝利を捧げた。

アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)のリードアウトを受けたものの、前方を塞がれたカヴェンディッシュは17位。マリアアッズーラ(リーダージャージ)はカヴェンディッシュがキープしている。

新城幸也はステージ106位。「チームメイトのトニー(ウレル)のゴールスプリントに備えていたが、最後はトニーを助けることができなかった。それでも一人でスプリントして9位。トニーは『もっと上を狙えた』と言っていたので、助けてあげられられなかったのは残念だった」とコメントする。翌日は石畳が敷かれた短い登りゴールであり、新城はステージ上位を狙って走る。「明日は登りゴールで自分好みのコースなので、調子良くゴールまで行き、着に絡みたい」。

選手コメントはレース公式リリースならびにTeamユキヤ通信より。



ティレーノ〜アドリアティコ2014第2ステージ結果
1位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)
2位 アルノー・デマール(フランス、FDJ.fr)
3位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
4位 サム・ベネット(アイルランド、ネットアップ・エンデューラ)
5位 ペーター・サガン(スロバキア、キャノンデール)
6位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、AG2Rラモンディアール)
7位 フィリッポ・フォルティン(イタリア、バルディアーニCSF)
8位 サーシャ・モードロ(イタリア、ランプレ・メリダ)
9位 トニ・ウレル(フランス、ユーロップカー)
10位 クリスティアン・ズバラーリ(イタリア、MTNキュベカ)
106位 新城幸也(日本、ユーロップカー)
3h56'12"











個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)
3位 リゴベルト・ウラン(コロンビア、オメガファーマ・クイックステップ)
4位 マーク・レンショー(オーストラリア、オメガファーマ・クイックステップ)
5位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 トニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)
7位 サイモン・クラーク(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
8位 ダリル・インピー(南アフリカ、オリカ・グリーンエッジ)
9位 スヴェイン・タフト(カナダ、オリカ・グリーンエッジ)
10位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、オリカ・グリーンエッジ)
4h16'25"




+02"
+03"
+11"



山岳賞
マルコ・カノーラ(イタリア、バルディアーニCSF)

ポイント賞
マッテオ・ペルッキ(イタリア、IAMサイクリング)

ヤングライダー賞
ミカル・クヴィアトコウスキー(ポーランド、オメガファーマ・クイックステップ)

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla,CorVos