新城幸也が制した厳しい山岳コースの全日本ロード、灼熱のインターハイそして新たな歴史が刻まれたインカレ。各選手権大会が行われた6月から8月までを振り返る。

6月

選手権大会が多く開かれる6月。まずは学連のチームロードTTは鹿屋体育大が優勝し中央大、日体大が続いた。個人TTは山本元喜(鹿屋体育大)と小島蓉子(日体大)が優勝。

男子エリート初優勝の大場政登志(Cプロジェクト)男子エリート初優勝の大場政登志(Cプロジェクト) photo:Kei TSUJI女子エリート初優勝の與那嶺恵理(チームフォルツァ!)女子エリート初優勝の與那嶺恵理(チームフォルツァ!) photo:Kei TSUJI

全日本選手権個人TTの男子エリートは大場政登志(Cプロジェクト)が初優勝。ディフェンディングチャンピオンの西薗良太はわずか1秒差で勝利を逃した。U23は山本元喜、ジュニアは岡篤志(キャノンデール・チャンピオンシステム)、U17は石上優大(横浜高)が制した。女子エリートは與那嶺恵理(チームフォルツァ!)が、女子ジュニアとU17は坂口聖香・楓華姉妹(パナソニックレディース)がそれぞれ制した。パラサイクリングのTTも同時に行われたこともトピックだった。

全日本ロード男子エリート 中盤過ぎ、新城幸也が独走を開始する全日本ロード男子エリート 中盤過ぎ、新城幸也が独走を開始する photo:Hideaki TAKAGI
男子エリート表彰台男子エリート表彰台 photo:Hideaki TAKAGI今年の全日本選手権ロードは大分県で行われた。前代未聞の厳しい山岳コースだったが、勝利したのはパンチャータイプの新城幸也(ユーロップカー)。クライマー有利と思われただけに、新城の能力の高さが際立つ結果に。これに清水都貴(ブリヂストンアンカー)、増田成幸(キャノンデールプロサイクリング)が続いた。ディフェンディングチャンピオンの土井雪広(チーム右京)は終盤まで新城とともに逃げ、レースをリードしたが力尽き8位に。

女子は與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)が個人TTに続いて優勝。ベストラップだった2周目は、新城の平均ラップと1分しか違わず、しかも上り区間でそのタイムを出したのは驚き。U23は前半から逃げた徳田鍛造(鹿屋体育大)が最終周回にベストラップを出す走りで優勝。これにルーキーの西村大輝(シマノレーシング)、山本元喜(鹿屋体育大)が続いた。男子ジュニアは地元のスプリンター黒枝咲哉(日出暘谷高)が、男子U17は石上優大(横浜高)、女子ジュニアは坂口聖香(パナソニックレディース)が優勝。山岳コースだったが結局はすべてのカテゴリーで実力者が勝つ結果に。

女子エリート優勝の與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)女子エリート優勝の與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!) photo:Hideaki TAKAGIU23表彰台 徳田鍛造(鹿屋体育大)が優勝U23表彰台 徳田鍛造(鹿屋体育大)が優勝 photo:Hideaki TAKAGI

7月

さらに選手権大会は続く。日本CSCで行われた全日本BMX選手権大会、男子エリートは長迫吉拓(ベクトル)が3連覇、女子エリート&ジュニアは瀬古遥加(Groovy factory)が、男子ジュニアは吉井康平(Bring Up Power Team)が優勝。長迫は同月行われた世界選手権で7位の快挙達成。

全日本マウンテンバイク選手権大会は初めて日本CSCで行われ、日程も初日にXCOを実施。男子エリートは山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム)が6連覇。今年Jシリーズ史上初の全戦優勝を遂げる斉藤亮(ミヤタ・メリダバイキングチーム)は2位に。女子は中込由香里(team SY-Nak)が、U23は沢田時(ブリヂストンアンカー)が、そして男子ジュニアは横山航太(CLUB Grow)がそれぞれチャンピオンに。DH男子エリートは井手川直樹(Devinci/SUNSPI.com)が、女子エリートは末政実緒(DIRTFREAK/SARASEN)がなんと14連覇を達成。山本と末政は5月のアジア選手権でも優勝している。

XCO 6連覇達成の山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム)XCO 6連覇達成の山本幸平(スペシャライズドレーシングチーム) photo:So ISOBE女子DHで14連覇を達成した末政実緒(DIRTFREAK/SARASEN)女子DHで14連覇を達成した末政実緒(DIRTFREAK/SARASEN) photo:So ISOBE

8月

高校生にとって頂点の大会がインターハイ。今年は大分県で行われた。初日のロードレースを制したのは山本大喜(榛生昇陽高)。4年前に兄の元喜も同大会で優勝しており兄弟での偉業を達成。この山本と逃げた2年の小山貴大(前橋育英高)が2位、そして1年の石上優大(横浜高)が続いた。団抜きは予選タイム1位の和歌山北高がラスト2周で乱れて、北桑田高が逆転優勝。総合はチームスプリントなどに勝った千葉経済大付属高が優勝。また女子種目が前年までエキシビションだったのが今年から公開競技となった。正式種目化へ一歩進んだ。

インターハイロード優勝の山本大喜(榛生昇陽高)と2位の小山貴大(前橋育英高)インターハイロード優勝の山本大喜(榛生昇陽高)と2位の小山貴大(前橋育英高) photo:Hideaki TAKAGI4kmチームパーシュート 1位の北桑田高 4分31秒5104kmチームパーシュート 1位の北桑田高 4分31秒510 photo:Hideaki TAKAGI


すべての学連所属選手が頂点に位置づけるのがインカレ。大学対抗大会の名が示すとおり、強豪校は総合成績を懸けてOB・OGまでもが一丸となって戦う。今年は新たな歴史が刻まれた。日本大学が前年まで前人未踏の30連覇を達成していた総合成績。今年は最終日のロードで鹿屋体育大が逆転し、女子の全種目優勝とあわせ、史上初の男女総合優勝を達成。
インカレ男子総合優勝は鹿屋体育大学。30年間続いた日本大学の歴史が塗り替えられたインカレ男子総合優勝は鹿屋体育大学。30年間続いた日本大学の歴史が塗り替えられた photo:Hideaki TAKAGI
トラックでは日本大の末木浩二が1kmTT学連新、チームスプリントそしてケイリンで優勝し3冠を3年連続達成の偉業。今後破られることは恐らくない大記録だ。いっぽうの鹿屋は橋本英也がポイントレース、個人追抜きで優勝、団体追抜きも制したがトラック総合では3位で、1位の日本大に10点差の成績に。大学対抗争いでは、トラックでのリードを保って逃げ切るのが日本大の例年の戦い。しかしロードに強い鹿屋とは10点差と今年は小差。

男子1kmTTを大会・学連新記録で優勝の末木浩二(日本大)1分05秒219。短距離3冠3年連続達成の快挙男子1kmTTを大会・学連新記録で優勝の末木浩二(日本大)1分05秒219。短距離3冠3年連続達成の快挙 photo:Hideaki TAKAGI4kmチームパーシュート 優勝の鹿屋体育大。日本大とトラック総合で10点差4kmチームパーシュート 優勝の鹿屋体育大。日本大とトラック総合で10点差 photo:Hideaki TAKAGI

ロードは14周のレース、2周目から逃げを開始したのは鹿屋の徳田優で次第にその差を広げ、ついに逃げ切り優勝。後続集団は追い上げたが鹿屋は3位に地元の石橋学が入るなどして、総合得点で逆転し2点差で総合優勝。女子は鹿屋が全種目優勝で総合優勝記録を伸ばし、これで史上初の男女総合優勝を達成。いっぽうで、過去30年間の長きに渡り熾烈な戦いを制してきた日本大の底力があらためてクローズアップされた。

日本一の徳田兄弟。インカレは弟の優(右)が優勝、兄の鍛造(左)は全日本ロードU23チャンピオン日本一の徳田兄弟。インカレは弟の優(右)が優勝、兄の鍛造(左)は全日本ロードU23チャンピオン photo:Hideaki TAKAGI上野みなみ(鹿屋体育大)が地元大会で4連覇達成上野みなみ(鹿屋体育大)が地元大会で4連覇達成 photo:Hideaki TAKAGI


text:高木秀彰