どうしても逃げたかった新城幸也(Bboxブイグテレコム)がついに動いた。新城とともに逃げたのは、元チームメイトの福島晋一(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)だ。結果こそ残らなかったが、その動きはスプリントに結びつき、EQAはトップ10に3名を送り込むことに成功した!

福島晋一と新城幸也が逃げる! なんて豪華なメンバー福島晋一と新城幸也が逃げる! なんて豪華なメンバー photo:Hitoshi.OMAE新城は、実は逃げたくて仕方がなかったようだ。「もう一段(調子を)上げておかないと、ゲンティンが上れないかもしれない」。冗談めかして話す彼は、右手でオートバイのアクセルをグイーンと開ける動作をしてみせた。全開で踏んでみたい、と。

そして、アタック合戦を制して8人の逃げが形成された中に、新城、そしてかつてのチームメート福島晋一が含まれていた。日本のファンにとってはまたとない豪華メンバーの逃げだ。タイム差を見ても、ひょっとしたら逃げ切りか? と思わせるものだったが…。

逃げのメンバーがアタック合戦を開始。新城幸也(Bboxブイグテレコム)が前に出る逃げのメンバーがアタック合戦を開始。新城幸也(Bboxブイグテレコム)が前に出る photo:Hitoshi.OMAE福島は「朝、幸也が行きたいと言っていた。そして、自分が行っていたら幸也が来た。幸也と逃げる機会も今後そんなにないと思うので、逃げ切りたかったんですけどね」と語る。

しかし、2007年に勝ち逃げから区間勝利を飾っている福島も、新城とともに勝てるコンディションではなかった様子だ。「二人で仲良く苦しみました(笑)。いい走りはできたのですが、やっぱり最後まで行きたかった。セルパたちも追いついてきたのに、一緒にいけるくらいのコンディションだったらよかったけど…」。

福島晋一(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)も積極的に攻める福島晋一(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)も積極的に攻める photo:Hitoshi.OMAEプロツアーチームであるブイグのジャージに身を包んで逃げに乗った新城だが、「脚もないのにアタックしちゃマズいっすね」と言葉少なだった。自分で逃げたいと言って結果が残せなかったのだから、仕方がないのかもしれない。

Bboxブイグテレコムのフィリップ・モデュイ監督は「これまでの逃げは、逃げ切れると思わせるものじゃなかったけど、今日は違った。コースがフラットじゃなかったからね、可能性はあったはずだ。幸也は良くやった、誇りに思うよ」と新城をほめた。

お互いの苦労をねぎらう新城幸也(Bboxブイグテレコム)と福島晋一(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン)お互いの苦労をねぎらう新城幸也(Bboxブイグテレコム)と福島晋一(EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン) photo:Hitoshi.OMAE残念ながら逃げは失敗したが、ゴールスプリントではEQA・梅丹本舗・グラファイトデザインが実力を見せつけた。清水が4位、パクが5位、グレゴーが9位と、10位以内に3人を送り込んだ。

福島は「俺が逃げると、みんながスプリントで成績を出してくれるからうれしいよ」と複雑な笑いをとったが、清水はこう話した。「(ペナルティを食らった)昨日の雪辱? まあ、そうですね。いけると思ったんですけど、回りを囲まれてしまって4位でした。でも、パクが復活したのは大きな武器になりますよ。残るステージも期待して下さい!」

photo&text:大前 仁(Hitoshi.OMAE)