1週間前、フィレンツェの表彰台で涙を流したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が、レッコの表彰台の頂点でガッツポーズを繰り出した。悔しい世界選手権のリベンジ達成。得意の勝ちパターンで大会連覇を果たした。



イル・ロンバルディア2013コース高低図イル・ロンバルディア2013コース高低図 image:RCSsport107回目の「落ち葉のクラシック(クラッシカ・デッレ・フォリエ・モルテ)」。2013年シーズンのモニュメント(五大クラシック)最後を飾るイル・ロンバルディアが、10月6日、イタリア・ロンバルディア州で開催された。

世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)が登場世界チャンピオンのルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)が登場 photo:Riccardo Scanferla冷たい雨が降る中、本格山岳を含む242kmコースでミハエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・グリーンエッジ)ら6名が序盤からエスケープ。コースの厳しさと天候の悪さからペーター・サガン(スロバキア、キャノンデールプロサイクリング)やアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・レオパード)が早々にバイクを降りる。

「ソルマーノの壁」で集団のペースを作るナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター)「ソルマーノの壁」で集団のペースを作るナイロ・クインターナ(コロンビア、モビスター) photo:Cor Vosレース中盤に差し掛かると逃げは一旦吸収。続いてダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)らを含む21名が先行したものの、いずれの動きも短命に終わる。昨年復活した最大勾配27%の「ソルマーノの壁(159km地点)」を前にレースは振り出しに戻った。ソルマーノに向かう道中に落車したヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)は左膝を痛めてリタイアしている。

「ソルマーノの壁」でサクソ・ティンコフやモビスターがペースを作るメイン集団は一気に30名足らずにまで縮小。アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)は苦しい表情で遅れる。なお、全長1920mの「ソルマーノの壁」の最速登坂タイムは9分32秒。平均スピードは11.328km/hだった。

続く雨に濡れた下りでアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)やイヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)ら5名が先行するシーンも見られたが、決定的なリードを奪えないまま引き戻される。すると、単独で先行グループに追いついていたトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)がそのままカウンターアタック。ゴールまでおよそ75kmを残してヴォクレールの独走が始まった。

メイン集団を引き離しながら名物「マドンナ・デル・ギザッロ(196km地点)」をクリアしたヴォクレールは、力強い走りで最大2分55秒のリードを稼ぎ出すことに成功する。このヴォクレールの逃げについてロドリゲスは「良いタイミングでの良いアタックだったから、逃げ切ると思った。彼との3分差を詰めるのは楽な仕事じゃない。これまでの実績からヴォクレールの単独逃げは危険だと分かっていた」と振り返る。カチューシャやサクソ・ティンコフの集団牽引によって、平坦区間でヴォクレールのリードは縮まった。



「ソルマーノの壁」で苦しい表情を見せるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ)「ソルマーノの壁」で苦しい表情を見せるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソ・ティンコフ) photo:Riccardo Scanferla「ソルマーノの壁」で集団に食らいつくダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ)「ソルマーノの壁」で集団に食らいつくダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・メリダ) photo:Riccardo Scanferla
先頭でマドンナ・デル・ギザッロ教会を通過するトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)先頭でマドンナ・デル・ギザッロ教会を通過するトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Cor Vos


「ヴィッラ・ヴェルガノ」でアタックを成功させたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)「ヴィッラ・ヴェルガノ」でアタックを成功させたホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Cor Vosやがてゴールまで15kmを残してヴォクレールのリードは1分を切り、最後の勝負どころである「ヴィッラ・ヴェルガノ(232km地点)」の登りでついに吸収。最大勾配15%の細い登りで勝利に向けたアタック合戦が始まる。

独走でゴールするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)独走でゴールするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferlaティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)やドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)のアタックによって人数を減らした集団から、ロドリゲスがアタック。観客が詰めかけた登りを突き進んだロドリゲスは、後続を10秒引き離して頂上をクリアする。

雨に濡れたフィニッシュでスリップするドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)雨に濡れたフィニッシュでスリップするドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル) photo:Riccardo Scanferla「勝つためにはあそこでアタックするしかチャンスが無かった。10月という遅い時期の240kmオーバーのレースで、雨が降って気温が下がり、昨年よりも速いレース展開。誰もが疲れきっていた。一発で決める必要があった」と、ロドリゲス。ゴールまで約9kmの下り&平坦区間に単独で突入する。

表彰台で固く握手するホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)表彰台で固く握手するホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)とアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) photo:Cor Vos後方ではバルベルデとラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)、ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)の3名が追撃したものの、ロドリゲスとの差が縮まらない。無線が壊れていたというロドリゲスは、ただひたすら前を向いて踏み続けた。

「完璧なタイミングでアタックして、そのまま単独で下った。下りのコーナーはあまりにも滑りやすくてストレスフルだった。世界選手権にも似た展開で、10秒差で先行。無線も壊れていたので、捕まるんじゃないかと思った。ヘアピンの連続で後ろを振り返る余裕もなかったし、誰が追いかけているのかも分からなかった」。そう語るロドリゲスが、バルベルデの追撃を振り切った。

最後の登りで単独エスケープし、バルベルデが追うという、1週間前の世界選手権を彷彿とさせる構図。リベンジに燃えるロドリゲスが、今回は後続を振り切ることに成功し、ロンバルディア連覇を果たした。

「美しいレースでの美しい勝利。今この瞬間を楽しんでいる。僕はいつでも前向きに闘っている。世界選手権の悔しい結果のおかげで辛い1週間を過ごしたけど、家族や友人のおかげでこのレースへの集中力を絶やさなかった。世界選手権からリカバーして、次なるレースに万全の体制で挑めると証明したかった。2014年に向けて自分のモチベーションを上げる勝利だ」。2年連続でレッコの表彰台に上がったロドリゲスは嬉しさを隠せない。

2位に入ったのはバルベルデ。最終コーナーで落車したマーティンを振り切ったマイカが3位に入っている。マーティンは落車でチャンスを失ったものの、ジャパンカップなどのシーズン終盤戦に向けて好調ぶりを見せた。ジャパンカップ参戦予定者としては、ピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)が7位、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)が11位、ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック・レオパード)が14位に入っている。

また、今シーズン限りでの引退を発表したフアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM)が13位に。フレチャはツアー・オブ・北京を最後に現役から身を退く。このロンバルディアがキャリア最終戦だったデーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・シャープ)はDNFに終わっている。



イル・ロンバルディア2013結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)            6h10'18"
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)              +17"
3位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)             +23"
4位 ダニエル・マーティン(アイルランド、ガーミン・シャープ)          +45"
5位 エンリーコ・ガスパロット(イタリア、アスタナ)
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                +55"
7位 ピーター・セリー(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
8位 フランコ・ペッリツォッティ(イタリア、アンドローニジョカトリ)
9位 イヴァン・サンタロミータ(イタリア、BMCレーシングチーム)
10位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ベルキンプロサイクリング)
11位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)
12位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)
13位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、ヴァカンソレイユ・DCM)
14位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック・レオパード)
15位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, Cor Vos
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