登りでアタックに反応し、下りでリードを奪う走りでマテイ・モホリッチ(スロベニア)が独走。キャノンデールプロサイクリングへの加入を決めている今年U23一年目の18歳が、U23の世界チャンピオンに輝いた。



逃げグループを5分差で追うメイン集団逃げグループを5分差で追うメイン集団 photo:Kei Tsujiロード世界選手権U23ロードレースは、文字通り23歳以下(1991〜1994年生まれ)を対象にしたレース。1996年に初開催され、過去17年間の優勝者リストには現在のトップ選手の名前が並ぶ。若手にとっての世界一の称号だ。

逃げグループを率いるメロン・テスホメハゴス(エリトリア)逃げグループを率いるメロン・テスホメハゴス(エリトリア) photo:Kei Tsujiなお、23歳以下であっても、UCIプロチーム所属選手は出場出来ない(UCIプロコンチネンタルチームやUCIコンチネンタルチーム所属選手は出場可能)。

スタート地点は、エリート男子のチームTTや個人TT、さらにはジュニア男子とエリート女子ロードレースと同じモンテカティーニ・テルメ。平野を57.2kmにわたって駆け抜けた後、フィニッシュラインを通過して周回コースに入る。各カテゴリー共通の16.57kmコースを7周する合計173.19kmで行なわれた。

保養地のモンテカティーニ・テルメを発ってすぐ、アタックに次ぐアタックでミケル・ライム(エストニア)とヤカ・ボストナー(スロベニア)が先行。これにコルヤ・シュモフ(ベラルーシ)、ゾルタン・シポス(ルーマニア)、アンチュ・フラクシス(ラトビア)、メロン・テスホメハゴス(エリトリア)が追いつき、開催国イタリアが率いるメイン集団を5分引き離すことに成功する。

逃げるグループとメイン集団は、それぞれ人数を減らしながら淡々と周回を重ねて行く。レースが加熱したのは、逃げグループとメイン集団のタイム差が1分を切った残り2周。フランス勢のペースアップによって逃げは吸収され、カウンターアタックでフラヴィアン・ダソンヴィル(フランス)ら4名が飛び出した。



フィレンツェの街を見下ろすフィエーゾレの登りフィレンツェの街を見下ろすフィエーゾレの登り photo:Kei Tsuji
フランス勢がサルヴィアーティ通りで攻撃を開始フランス勢がサルヴィアーティ通りで攻撃を開始 photo:Kei Tsujiサルヴィアーティ通りで飛び出したジュリアン・アラフィリップ(フランス)サルヴィアーティ通りで飛び出したジュリアン・アラフィリップ(フランス) photo:Kei Tsuji



注目スプリンターのカレブ・イワン(オーストラリア)注目スプリンターのカレブ・イワン(オーストラリア) photo:Kei Tsujiしかしダソンヴィルら4名は決定的なリードを得ることが出来ないまま吸収。すると、若手の登竜門ツール・ド・ラヴニールでステージ優勝を飾り、2014年オメガファーマ・クイックステップ入りを決めているジュリアン・アラフィリップ(フランス)がサルヴィアーティ通りの激坂でアタックを仕掛けた。

先行するジュリアン・アラフィリップ(フランス)とマテイ・モホリッチ(スロベニア)先行するジュリアン・アラフィリップ(フランス)とマテイ・モホリッチ(スロベニア) photo:Kei Tsuji逃げていた選手たちをごぼう抜きにしたアラフィリップには、マテイ・モホリッチ(スロベニア)が単独でジョイン。こうしてアラフィリップとモホリッチの2人が20秒リードで最終周回の鐘を聞く。

フィニッシュラインまで独走したマテイ・モホリッチ(スロベニア)フィニッシュラインまで独走したマテイ・モホリッチ(スロベニア) photo:Riccardo Scanferlaやがてフィエーゾレの登りでモホリッチがアラフィリップを引き離し、代わって後方から追い上げたMTNキュベカ所属のルイス・マインティーズ(南アフリカ)がモホリッチに合流。しかし、続く下り区間でモホリッチが独走に持ち込んだ。

空気抵抗軽減のためにハンドルに上半身を乗せながらペダルを回す独特のダウンヒルフォームでリードを広げたモホリッチは、勢いを保ったままサルヴィアーティ通りを駆け上がる。モホリッチは2番手のマインティーズから8秒、そしてメイン集団から12秒リードしてサルヴィアーティ頂上(残り5km)をクリアした。

再び下り区間でリードを広げる走りで、モホリッチがゴールまで独走。牽制するメイン集団とマインティーズを振り切ったモホリッチがヘルメットを抱えて喜びをアピールし、最後は余裕をもってガッツポーズを繰り出した。

昨年のロード世界選手権リンブルグ大会ジュニア男子ロードレースで優勝したU23一年目のモホリッチ。「一緒に逃げていたアラフィリップが苦しんでいるのを確認してから、タイムトライアルに持ち込んだ。前半からずっとチームメイトに守られていたので、予想していたほど厳しい闘いにはならなかった。多くの選手を輩出しているスロベニアという小国の代表として、このタイトルを獲得出来てよかったよ」。2年連続でアルカンシェルと金メダルを手にした。

モホリッチは2014年キャノンデールプロサイクリングと契約済み。スロバキアの韋駄天ペーター・サガンのチームメイトとしてプロデビューする。サガンについて記者会見で問われたモホリッチは「本当に光栄だ。彼は日曜日に勝つと思うよ」と答えている。



独走でフィニッシュラインを駆け抜けるマテイ・モホリッチ(スロベニア)独走でフィニッシュラインを駆け抜けるマテイ・モホリッチ(スロベニア) photo:Kei Tsujiジュニア男子ロードレース表彰台ジュニア男子ロードレース表彰台 photo:Kei Tsuji



ロード世界選手権2013U23男子ロードレース結果
1位 マテイ・モホリッチ(スロベニア)                 4h20'18"
2位 ルイス・マインティーズ(南アフリカ)                +03"
3位 ソンドル・エンガー(ノルウェー)                  +13"
4位 カレブ・イワン(オーストラリア)
5位 トムス・スクジンス(ラトビア)
6位 ダヴィデ・ビレッラ(イタリア)
7位 ディラン・ファンバールレ(オランダ)
8位 シルヴィオ・ヘルクロッツ(ドイツ)
9位 ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
10位 パトリック・コンラッド(オーストリア)

text&photo:Kei Tsuji in Firenze, Italy