ゆったりとしたペースのレース展開と思いきや、激しい横風区間による集団の分断という波乱の展開となった休息日明けの第17ステージ。完璧なタイミングで飛び出したバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)がゴールを制した。総合1位、山岳賞、ポイント賞、複合賞の変動はない。

ステージ優勝のバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)

両手を広げてゴールするバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)両手を広げてゴールするバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング) photo:Kei Tsuji
派手にシャンパンを開けるバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング)派手にシャンパンを開けるバウク・モレマ(オランダ、ベルキンプロサイクリング) photo:Kei Tsuji今日のステージはチャンスだと思っていた。1日中ずっと残り1kmのどこで仕掛けるべきかを考えていた。最後の登りを終えた残り1kmでは、集団は小さくなるだろうと予想していた。

向かい風のために集団はかなり小さくなってしまって、完全に予想通りだった。(集団が互いに注意して)スピードが落ちたときに、このタイミングだと思った。できるだけ全力を出してフィニッシュラインまでもがいた。

今回のブエルタでは総合成績上位を目標にしていた。しかし、第1週の後に、タフだったツール・ド・フランスの後だということもあって、しだいにハードに感じるようになった。そのときから目標をステージ優勝に絞り込んだ。どうにか目標を達成できて、とてもうれしい。


総合1位のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)

常にチームメイトに守られて走るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)常にチームメイトに守られて走るヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsuji穏やかな休息日を満喫できた。今日のステージも序盤は穏やかだったが、残り30kmで横風が強烈になった。そのせいで集団が2つに分断されてしまった。危険はつねにつきまとうものだと理解した。運の良いことに、隣にいたベテランの選手たちのおかげで、後方の集団に残されてしまうことはなかった。

マイヨロホを着てアストゥリアスの山岳3連戦に挑むことになったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)マイヨロホを着てアストゥリアスの山岳3連戦に挑むことになったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Kei Tsujiドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)とティボー・ピノ(フランス、FDJ.fr)が、このタイミングに遅れたという情報を聞いた。

だけど、クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)、ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)といった直接的なライバルたちが同じ集団にいたので、この動きが大きなチャンスだとは思わなかった。

明日のゴールについては、よく知っている。ペーニャ・カバルガは2010年にステージ2位でゴールしている(ステージ優勝はホアキン・ロドリゲス)。この登りは過去に2回経験している(2010年第14ステージと2011年第17ステージ)。序盤と最後の2kmの難易度がかなり高い。かなり慎重になる必要があるが、自分のコンディションには問題はない。


ポイント賞・総合3位のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)

スタート前に子供にキスするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)スタート前に子供にキスするアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) phpto:CorVos今日はマドリードのステージ前の最後の穏やかなステージになると思われていた。しかし、このステージもやっぱりいつものブエルタで、スタートからゴールまで気を抜けないことがすぐに明らかになった。風のせいで難易度が上がりそうだとは予想していた--レース中の大部分では向かい風だったが、風向きがよく変わっていた。

置いていかれないことに集中して、ゴールでの位置取りにも気を付けて走った。スピードが上がって集団が分断したときは、ぼくたちのチームも前方を走り、主にサクソ・ティンコフと一緒にスピードを上げていった。ゴールまで全力で走れるかどうかが疑問だった--だけど、このチームは超一流だった。ぼくを完璧に守りつつ、しっかりゴールした。それで満足だ。

昨日の休息日の効果もあった。ただ、今日の序盤は少しだけ脚にぎこちなさを感じていた。明日は勝負の日になるだろうが、あのゴールは登ったことがない。ブエルタのほとんどのルートは知っているが、知らない場所もある--ペーニャ・カバルガはそのひとつだ。ツールが終わった後に現地を調べに行くこともしなかった。好調なら、問題ないと思ったからだ。


山岳賞のニコラ・エデ(フランス、コフィディス)山岳賞のニコラ・エデ(フランス、コフィディス) photo:www.lavuelta.com山岳賞のニコラ・エデ(フランス、コフィディス)

2つの3級山岳の両方で山岳ポイントを稼ぎたかったが、獲得できたのは1ポイントだった。最初の山岳ではダニエーレ・ラット(イタリア、キャノンデールプロサイクリング)のおかげで困難になったが、2つめの山岳では目的を果たせた。

なにも獲得しないよりはずっとマシだ。他にも苦労したことといえば、残り20kmでパンクの犠牲になったヨアン・バゴ(フランス)にホイールを渡したことくらいだ。


複合賞・総合2位のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)

ホーナーのために集団を牽引するレディオシャック・レオパードホーナーのために集団を牽引するレディオシャック・レオパード photo:www.radioshackleopardtrek.com最後の数kmは、かなりテクニカルだった。今日のコースの最初から3分の2は、本当に退屈で、高低差はあるけど刺激のないものだった。残りの3分の1が信じられないほど楽しく、危険だった。ファビアン・カンチェラーラ(スイス)の走りは脅威だった。

マイヨコンビナーダはクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)がキープマイヨコンビナーダはクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)がキープ photo:Kei Tsujiたぶん前方には7人のサクソ・ティンコフの選手がいたのだけど、カンチェラーラは彼らを一気に置き去りにして、さらに2km以上の距離を牽き続けた。

今日は自分にとっては重要なステージだった。カンチェラーラがタイムトライアルのステージ優勝後でもできるだけ残っていてくれたことに感謝したい。

彼は山岳ステージの序盤であるにも関わらず、今日も驚くような走りだった(カンチェラーラはステージ5位でゴールして、ブエルタを去った)。

明日はとても重要な日になるだろう。明日が今年のブエルタに与える影響の大きさはわからないが、ファンならば誰もがテレビで見るべきステージになることは確かだろう。ビールを用意して、素晴らしいショータイムに備えておいてほしい!


ステージ4位のタイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・シャープ)

ステージ4位に入ったタイラー・ファラー(右、アメリカ、ガーミン・シャープ)ステージ4位に入ったタイラー・ファラー(右、アメリカ、ガーミン・シャープ) photo:Kei Tsujiチャンスだったけど、真の意味のスプリント勝負ではなかった。残り20kmは本当にハードだった。脚は好調だったけど、最後のちょっとした登りで酷使してしまった。横風区間はまったく問題なかった。ヨハン・ファンスーメレン(ベルギー)が守ってくれた。

最後は牽制があって、モレマがうまくチャンスを掴んだ。チームでのコントロールがないときは、ああいう事態は起こりうるものだ。ペーニャ・カバルガ(第18ステージ)、ナランコ(第19ステージ)、アングリル(第20ステージ)では勝利を狙うつもりはない。ステージ優勝を狙う最後のチャンスは、マドリード(第21ステージ)になる。


総合5位・ステージ10位のニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)

メイン集団のペースアップを図るサクソ・ティンコフメイン集団のペースアップを図るサクソ・ティンコフ photo:Vuelta a Espana/Graham Watsonゴールまで残り20kmの地点では、激しいバトルがあった。ぼくたちは集団を分断するつもりで可能な限り高速で走って、分断に成功した。最初にポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)が取り残されたことを知り、次にピノ(フランス、FDJ.fr)も取り残されたことを聞いた。

ぼくらのチームメイトの何人かも巻き添えで取り残された。横風の強い区間については、地図上で予習しておくべきだ。身体的な能力ではなく、チームとしての実力が功を奏した。チームメイトたちの素晴らしいアシストに感激している。


ステージ12位のデーヴィッド・タナー(オーストラリア、ベルキンプロサイクリング)

今日は非常に好調だった。今朝の段階ですでに自分の実力を試そうと決めていた。残りの数kmの地点では、監督やスタッフのおかげでチームメイトたちを含めて3名が残っていた。彼らから必要な情報すべてを得られたのは大きかった。それに、ぼくらが集団前方でどの位置に待機すべきかも知っていた。

それが多いに役立った。最後の登りの後で、スプリントに絶好のポジションにいた。だけど、バウク(オランダ)が完璧なタイミングでアタックした。その瞬間から、バウクのリードを守るように目標を切り替えた。ぼくたちのチームには、今日の優勝を得られるだけの価値はある。

昨日まではわずかなツキしかなかったにも関わらず、チームメイトたち全員が最大限のベストを尽くしていたからだ。


※ソースはレース公式リリース、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。

translation & text: Seiya.YAMASAKI

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