再び最年長のクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)が強豪ひしめく集団からアタックを成功させ、頂上ゴールを制覇した。大会2勝目を飾ったホーナーは、同時にマイヨ・ロホを手にしている。

逃げグループを形成したトマシュ・マルチンスキー(ポーランド)ら10名逃げグループを形成したトマシュ・マルチンスキー(ポーランド)ら10名 photo:Unipublic/Graham Watson9月2日に開催されたブエルタ・ア・エスパーニャ第10ステージ、この日のコースとして選ばれたのは、スペインらしい荒涼とした風景が続くアンダルシア州。スタート地点のトレデルカンポから一路南下し、グラナダ近郊の超級山岳アルト・デ・アサリャナスの頂上へと至る186.8kmだ。

荒涼としたアンダルシア州の山岳地帯を走るプロトン荒涼としたアンダルシア州の山岳地帯を走るプロトン photo:Unipublic/Graham Watsonコースは全体的に起伏が大きく、特に後半40kmからは1級山岳アルト・デ・モナチル(距離8.5km・高低差665m・平均7.7%・最大15%)が登場し、急斜面を一気に下ると距離15.8kmのアルト・デ・アサリャナスが待ち受ける。休息日を前にしたこのステージでは、激しい総合争いが展開されることが予想されていた。

アルト・デ・アサリャナスを登る先頭集団アルト・デ・アサリャナスを登る先頭集団 photo:Unipublic/Graham Watsonしかし、ステージ後半の上り勝負に水を差すかのように、この日はリアルスタート前のニュートラル区間で大きな落車が発生する。

集団中ほどで発生したこのアクシデントの影響で、ロット・ベリソルのエースナンバーをつけるバルト・デクレルク(ベルギー)やギヨーム・ボワヴァン(カナダ、キャノンデール・プロサイクリング)、アルベルト・ロサダ(スペイン、カチューシャ)、トーマス・デヘント(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)ら6名がリタイアを喫することとなってしまう。

マイヨ・ロホを着るダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)も落車に巻き込まれたものの、特に大きな影響は無かった。

この日はスタートから激しいアタックが掛かり続け、およそ1時間後に20名による先頭集団が形成される。しばらくするとこの先頭集団にはシャッフルが掛かり、最終的に人数は10名に落ち着くこととなる。

残り5kmからアタックしたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)残り5kmからアタックしたクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Unipublic/Graham Watsonここに入ったのはディエゴ・ウリッシ(イタリア、ランプレ・メリダ)やジャンニ・メールスマン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)ら。唯一ヴァカンソレイユ・DCMはファンアントニオ・フレチャ(スペイン)とトマシュ・マルチンスキー(ポーランド)を送り込み、逃げに積極的な姿勢を見せる。

牽制状態となったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) ら牽制状態となったヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)やアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター) ら photo:Unipublic/Graham Watson主にカチューシャなどがペースメイクするメイン集団に対して、先頭10名は80km地点でおよそ3分強を稼ぎだす。レースは特に大きな動きを見せないまま、後半の山岳に向かって残り距離を減らしていった。

ホーナーを単独で追うヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ホーナーを単独で追うヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ) photo:Unipublic/Graham Watsonそしてタイム差が2分弱に短縮した状況で、逃げ集団はアルト・デ・モナチルへと突入。後方から徐々に追い上げるメイン集団では、世界選をにらむファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・レオパード)が先頭を牽き、ホーナーのアシストを務めあげていく。

カンチェラーラが下がると、次いでモビスター勢が集団先頭でハイペースを刻み出す。このアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)のための動きにより人数は急減少し、およそ30名程度で山頂を通過した。

ダウンヒルを経て、レースはゴールが設置されたアルト・デ・アサリャナスの上りへと分け入っていく。平均5%ながら局所的に20%に迫るこの急登坂では、イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)のアタックにより人数が大きく絞られた。

モレーノが遅れる中、イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)やホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)、ヴィンツェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)ホーナー、バルベルデら約10名は、残り5kmで最後まで逃げたマルチンスキーをキャッチする。

そして一瞬バルベルデが遅れたことを確認したホーナーが残り4.6kmからアタックを仕掛けると、これを追撃できる選手はいなかった。追走グループは互いを見合う牽制状態となり、思うようにペースが上がらない。残り2kmを切ってからニーバリが単独追走したものの、力強いペダリングを続けるホーナーには追いつくことはできなかった。

超級山岳アルト・デ・アサリャナスの頂上へと飛び込むクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)超級山岳アルト・デ・アサリャナスの頂上へと飛び込むクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Unipublic/Graham Watson
再びマイヨ・ロホを取り戻したクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)再びマイヨ・ロホを取り戻したクリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) photo:Unipublic/Graham Watson結果ニーバリを52秒突き放したホーナーが、アルト・デ・アサリャナスの頂上でガッツポーズ。マイヨ・ロホの奪還に成功すると共に、41歳313日というグランツール史上最年長ステージ優勝を成し遂げた。今大会2勝目、いずれも頂上ゴール制覇という好調さを見せつける結果となった。

2位のニーバリに次いだのは、後続グループから若干抜け出したバルベルデ。バッソやロドリゲス、ピノはバルベルデから4秒遅れ、以下ロッシュ、アントン、ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)と続いた。

翌日は今大会最初の休息日。選手達にとっては休息日翌日に控える38.8kmの個人タイムトライアルに向けての準備期間となる。


ブエルタ・ア・エスパーニャ2013第10ステージ結果
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) 4h30'12"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)            +52"
3位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)            +1'08"
4位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)     +1'12"
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)             
6位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)
7位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          +1'20"
8位 イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)             +1'35"
9位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)
10位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)           +2'02"

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード) 40h29'14"
2位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、アスタナ)             +43"
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          +53"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)            +1'02"
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)             +1'40"
6位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)              +2'04"
7位 イヴァン・バッソ(イタリア、キャノンデール・プロサイクリング)     +2'20"
8位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ)                    +3'11"
9位 ラファル・マイカ(ポーランド、サクソ・ティンコフ)           +3'16"
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、アージェードゥーゼル)     +3'28"

プントス(ポイント賞)
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               97pts
2位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)             81pts
3位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          77pts

モンターニャ(山岳賞)
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード     18pts
2位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)          15pts
3位 レオポルド・ケーニッヒ(チェコ、ネットアップ・エンデューラ)       12pts

コンビナーダ(複合賞)
1位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック・レオパード)   7pts
2位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、サクソ・ティンコフ)           8pts
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)               11pts

チーム総合成績
1位 サクソ・ティンコフ                         120h38'19"
2位 モビスター                               +1'47"
3位 アスタナ                                +2'25"

text:So.Isobe
photo:Cor Vos

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